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【銭湯巡り】中野区・松本湯/入口にスッポンモドキ!時代とともに進化するウェルビーイング銭湯
のっけから銭湯とは直接関係ない話題ですが、「WIRED」という雑誌の日本語版を購読しています。
雑誌のテーマは先端科学技術や環境問題、最新ガジェットやテクノロジー、そしていま話題のウェルビーイングなど様々。読んでいて未来世界の雰囲気がして特に好みです。
最新刊では「リトリート」という概念が特集されていました。本来は「撤退・退却」という意味ですが、転じて「日常のストレスやトラブルから距離を置いてリラックスし、幸福を高める」ということのようです。
その中のとある特集では、「あなたのリトリートは何ですか?」というテーマで、様々な学者さん作家さんクリエイターさん達のコメントが集合。「大自然に出かける」「善良な人々とパーティ」といったコメントが並ぶなか、コメントのトップバッターを務める画家・友沢こたおさんは「サウナがリトリート」という回答でした。
プールのあるサウナもあります。キンキンの水風呂に入ったあとにそのプールに浮かぶと、不思議と温かく感じられ、身体と水の境界がなくなって透明人間になったような感覚を覚えます。
サウナでプールというと何か覚えがあるな…と思いつつ、コメント横に添えられていた写真を見ると、そこには「松本湯」という字の看板が。
普段から購読している雑誌のなかで、自分が行ったことある銭湯の名前を見ると嬉しいものです。松本湯のマスコットであるスッポンモドキちゃんと、友沢こたおさんがツーショットしてる写真もありました。
近年は豊島区・椎名町の「五色湯」、墨田区・錦糸町の「黄金湯」など、様々なリノベ銭湯が話題となっています。個性的でスタイリッシュなデザイン、拘りのサウナ・水風呂・外気浴、ジェット風呂や電気風呂など設備も充実。
なかでも近年話題になったのが中野区の「松本湯」。冷えた水風呂への熱いこだわりなどが知られ、テレビ東京の「アド街ック天国」などでも取り上げられています。
何回か行ったことはありますが、休日は靴箱の鍵がなくなるほどの人気銭湯なので、今回は平日に行ってみました。久しぶりにゆったりと入浴して、ハイコンテクストでウェルビーイングな気分に浸ることにしましょう。
※サウナとプールがあるのは、松本湯の近所の別の銭湯です。
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◆松本湯の概要と外観
松本湯は東京メトロ落合駅の3・4番出口から歩いて2〜3分の駅近という便利な位置にあります。
昭和11年創業の老舗銭湯で、昭和63年にビル型へ改装されました。そして、令和3年には2度目のリノベーションが行われ、現在の姿に生まれ変わりました。
リノベーションの際のクラウドファンディングは僅か1日で達成し、目標の倍以上の600万円強を集めました。松本湯のファン層の厚さや、クラファンをする人たちの銭湯文化への強い関心が伺えます。
入り口は和モダンな雰囲気で木製のゲートが連なり、どことなく神社の鳥居のようです。
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◆内装と脱衣所
平日16:30に来店しても、既に大半の靴箱が埋まっており、残っている鍵はまばら。再オープンから2年経った現在も人気が高いことが伺えます。
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ロビーは広々としていて、テーブル付きの休憩座席がいくつかと、マッサージ椅子が2台設置されています。奥には畳座敷とちゃぶ台も。
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入り口にはこの銭湯のマスコット、スッポンモドキの「かめきち」君が泳ぐ水槽も設置されています。いつ見てもベリーキュート!
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券売機でサウナ込みの入浴料1,000円とタオル・バスタオルのレンタル料150円を支払い、チケットを購入。
それをフロントに渡すと、タオル類を渡されるのと一緒に、サウナの黄色い紙のリストバンドを腕に巻いてもらえます。これは後で靴箱の鍵と交換になるので、風呂上がりに破って捨てたりしないようにしましょう。
脱衣所も天井が高く、広くて清潔。ベンチもあるので湯上がり直後の休憩もしやすいです。ロッカーの大きさは大小さまざまで、少し多めの荷物を抱えていても問題なし。客層は全体に若い人が多い印象です。
◆浴室の構成
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浴室内は無駄を廃したスマートなデザインながら、ベージュの壁面・柱と白一色の天井が暖かみを感じさせます。
奥の壁面には4面の大型サイネージがあり、グランピング風の焚き火映像や自然・季節の映像を表示。ときおり入浴中のマナーや違反行為について注意喚起の表示もされます。
僕が入った時は、何やら工場の風景もサイネージに映っていました。何事かと思うと、どうやらクラフトコーラで知名度の上がりつつある伊良(いよし)コーラさんのPVのようです。
人気のチルアウトなども含めて、最新の清涼飲料水は銭湯とコラボの相性が良いですね。
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浴槽や各スペースの壁面などには黒地に白文字で「熱」「石」といった表示がされています。どこにどういう風呂があるのか一目で分かりやすい工夫です。
①中温風呂
表示は「石」。湯温は40〜41℃で、L字型の浴槽が独特。ラドン温泉と同じ効果を持つらしいバドガシュタイン鉱石なるものと、紀州備長炭をふんだんに使用していて、健康に良いらしいです。
L字浴槽の奥側は水深が深くなっており、サイネージを見ながら「立ち半身浴」なんてことも出来ます。
②高温風呂
表示は「熱」。湯温43℃だが表示以上に熱く感じられる、染みるタイプのお風呂。段差が手前と奥に2箇所あり、半身浴もしやすいです。
③ジェット風呂&電気風呂
一つの浴槽に併設されていて、湯温は40〜41℃。
表示「寝」の寝風呂(2席)のジェットはボタン式。脚の横から噴き出すジェットというのはなかなか珍しいです。
表示「座」の座風呂(2席)のジェットはなかなか強めで、足腰を良く揉んでくれます。
表示「電」の電気風呂は強弱2種類で座風呂型。両脇と腰裏、ふくらはぎ部分に電極があり、下半身をくまなくビリビリやられます。「強」の方は中々にキツイので、無理は禁物。
④泡風呂
表示は「泡」。水温は30℃弱で、ぬるめの水風呂のような感覚です。
底面のパネル(珪藻土かな?)から細かい泡が吹き出していて、泡の圧力で刺激するのでなく、優しく撫ぜる感じが心地よいです。
⑤水風呂
松本湯の目玉とも言える浴槽で、表示は「水」。水温は16〜17℃でけっこう低め。
手前から奥まで階段状になっていて、体質や気分によって冷やし具合を選べます。奥の方は立ちながら肩まで水に浸かる深度で、冷たい水が底に溜まるので足元はかなりヒエヒエ。
段差部分に青い間接照明が付けられていてオシャレです。
⑥サウナ
松本湯のもう一つの目玉で、表示は「芬」。この漢字でサウナと読むらしいです。10分、30分、50分にオートロウリュあり。
間接照明だけで照らされた、広めで薄暗い室内は、L字型で3段構成。室温はかなり高めで、数分いるだけで汗がドバドバ。
個人的には、室内に小さく流れるしっとりしたジャズサウンドが、リニューアル前のサウナを思わせてくれて懐かしくなります。
⑦ととのいスペース
他の銭湯では珍しい松本湯独特のスペースで、正方形の畳敷。壁面にはサウナ→水風呂→外気浴のオススメな入浴方法についての掲示あり。
天井から吹き下ろしてくるサーキュレーターの風を受けながら壁面にもたれていると何とも爽快。出る時は前の人との段差部分に少し注意。
⑧ジュビナバス
シャワーブースの反対側にあり。ボタンを押すと四方から強いシャワーが噴き出し、全身マッサージしてくれます。勢い強めでほどよい圧力。
こちらも、リニューアル前の松本湯に似たようなシャワーがあったのが僕としては懐かしポイントです。
◆松本湯の『推し』ポイント
①デザインも浴槽も高レベル
まさに劇的ビフォーアフターという変わりぶりが凄いと感じています。年季の入ったビル型銭湯というイメージから一新され、スマートでスタイリッシュなデザインになっています。浴槽も高品質で健康効果のある素材を使用し。階段式の水風呂や、ととのいスペースなど、松本湯独自の要素を多く採り入れているのもポイント。
②細かい遊び心や温かみ
脱衣所やロビーのあちこちの壁面に手書き風の暖かみのある掲示がされていたり、排水溝のフタにスッポンの絵が描かれていたりと、オシャレ感とは別に従来ながらの手作り感や温もりもあり。スッポンモドキの「かめきち」君もカワイイ雰囲気を漂わせています。
◆リノベ前の思い出、リノベ後のこれから
前述のとおり、リノベ前の松本湯は年季の入ったビル型銭湯でした。浴室中央に円形の大浴槽、長く使われて色味のついたジェットバス、こぢんまりとした水風呂、ジャズの聞こえる高温サウナが今でも懐かしいです。
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さらに昭和末期の改装前の、ビル型以前の松本湯の姿については、僕は知りません。昭和初期、昭和末期~平成初期、そして令和初期と時代ごとに進化してきた松本湯。だいぶ先になりますが次の時代への変わり目にはどんな姿になっているのか楽しみですね。
◆松本湯の湯上がり
松本湯はインドカレー屋さんと隣接しており、他に蕎麦カフェやラーメン屋などが近所に点在。お風呂上がりに行ってみても良いでしょう。10分弱ほど歩いて、落合駅周辺からJR東中野駅近くに移動すれば、さらに様々なお店がよりどりみどりです。
以上、簡潔ながら中野区「松本湯」の紹介をいたしました。松本湯さんは公式ホームページとTwitterアカウントもお持ちなので、詳細はこちらからご覧下さい。
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