Nirvana「you know your right」

ニルヴァーナは1994年カートコバーンの死によって自然消滅、解散してしまった、因みカートコバーンが亡くなってから30年になるらしい。

2002年に未発表曲だった「you know your right」を含むベスト盤をリリースした、「you know your right」以外は全て持っていたが、この曲のためだけに買う価値はあった。

この曲は静かなギターアルペジオから一気にディストレーションをかける彼のスタイルを踏襲したものだが、未発表曲というと大した曲でないことは多いがこの曲はニルヴァーナの中でも屈指の曲だと自分は初めて聴いた時思った。

実はこの曲は1993年シカゴ公演で演奏されたことがあるらしい、その時は「on the mountain」という曲名だったらしいが、この曲名でなくて良かったかもしれない(笑)

「こんなに物事が上手く行ったことはない」
「こんなにいい気分になったことはない」

と歌ってもいるが、その後「pain」と叫ぶのだから、皮肉と捉えてよいだろう。

この曲の映像を観るとギターやアンプを破壊したり宙にぶん投げたり、ドラムキットに突っ込んで行ったりしているが、一種のパフォーマンス的な部分はあるにしても、彼(カートコバーン)の自暴自棄な精神状態がそうさせたのだろう、他のバンドには真似できない一線を超えたスリリングなものとなった。

ニルヴァーナは他のグランジ(と呼ばれる)バンド、例えばパールジャムやアリスインチェインズと何が違うのか?根本的な違いはカートコバーンは決して「苦しいふり」をしていたわけではなく、本当に苦しかったのだ。

「成功」を収めれば今の腐った状況も悩みも全て無くなるどころか「成功」は更に彼を苦しめたように見えるが、しかし彼は生まれながらにして精神的に疾患を抱えており、「成功」が彼を更に追い詰めた面はほんの一部に過ぎなかったのかもしれない。

カートコバーンが亡くなる前かなりドラッグをやっていて手がつけられなかったようだが、現実から逃げるようにドラッグをやり、結局依存症から抜け出せなくなった感がある、「成功」という現実を手に入れたが、その現実は彼を救うことにはならなかった。

海外のロックミュージシャンはドラッグと切っても切り離せない関係にあるみたいだ、アリスインチェインズのレインもドラッグの過剰摂取で亡くなってしまったが彼らだけでなく多くのミュージシャンはドラッグを断つための施設にまで入っていることがある。

ニルヴァーナは3枚のオリジナルアルバムをリリースしたが、1枚目の「bleach」を聴くとアンダーグラウンドな匂いとパンク色が強い、「nevermind」が多少ポップとはいえ曲は基本重い。

例えばパンクロックといえば、セックスピストルズの「nevermind the bollocks」を思い浮かべるが、この作品は実際聴いてみると意外とキャッチーで聴きやすく、ニルヴァーナのような「重さ」はない。

レッドツェッペリンのロバートプラントは

「ニルヴァーナは90年代にアメリカ独自のパンクを生んだ」

と言っていたが、そうなのかもしれない。

ニルヴァーナ解散後ドラマーのデイヴグロールはフーファイターズを結成した、現在でも活動していて商業的にもかなり成功しているようだが、自分も聴いたことはあるが…実際聴いても「来る」ものがなかったので、フーファイターズは追いかけてはいない。

「ロック」という言葉の定義を考えるとニルヴァーナというのは自分の中で正しく「ロック」という存在そのものだったりする。

聴き手を遠ざけるような危ういサウンド、詩の内容、既存の音楽シーンにアンチだったこと、そしてその音楽シーンそのものをひっくり返してしまったこと…ステージ上パフォーマンス等を含めると、やはりそう感じてしまう。

彼らのライブアルバムで「live at reading」というのがあるが、初めから終わりまでダレることなく突き進む、海賊版では出回っていたが2009年にオフィシャルでリリースされたが、凄まじい、ミスもかなりあるが。

聴いた時は「これこそロックであり、パンクだなぁ」と思ってしまった。

まあ今の自分は昔みたいに「ロックってなんぞや?」とは思わず、音楽そのものを一括りにし、ジャンル関係なく、良ければいいんじゃないかという感じなのだが。

グランジロックをやっているバンドはもうそんなにいない気がする、日本でこんな激しいロックをやっても売れないだろう。

未だ伝統的なグランジロックをやっているのはやはりアリスインチェインズぐらいだと思うが、彼らが少し前にリリースした、「Rainer fog」はなかなか良かったのでもう少し頑張って活動して欲しいものである。

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