ジャズとレディオヘッド

この間ジャズ喫茶に行ったらトークイベントをしていて

「ギターがジャズの現代化を図る過程を克明に追う」

というテーマでトークをしていた。
  
それを聴きに行った訳ではないが、イベントがあると知らずに店に入った直後に始まったのである。

話はかなりマニアックな内容だったが面白かった、しかし時間の都合上前半だけ聴いて帰った。

出版記念を兼ねていたので本を買って帰ったが(これもかなりマニアックな内容)その本の中にはギターとジャズの関係が書いてあり、(例えば)ジミヘンドリックスがジャズに与えた影響などが書いてあった。

その本の中で「レディオヘッドという黒船」という章がある。

ジャズを論じた本の中でレディオヘッドという90年代以後のロックバンドを絡めるのは珍しい。

2000年代以後レディオヘッドを賞賛し、曲を演奏するジャズミュージシャンが増えたらしい。

特にレディオヘッドの曲を取り上げているのはブラッドメルドーで「paranoid android」や「exit music」「everything in it’s right place」「knives out」を演奏している。

ロバートグラスパーなども「In my element」などの作品にレディオヘッドの曲を演奏している。

ジャズギタリストのジョンスコフィールドは

「レディオヘッドは僕が1番今を感じる音楽の1つだ、サウンドもそうだけど歌詞も気に入っている」

らしい。

この本の記述を見ると彼らだけではなく、自分が知らないジャズミュージシャン達がレディオヘッドに影響を受けたり、曲を演奏したりしているみたいだ。

こうしたジャズミュージシャンの動きを「レディオヘッドシンドローム」と書かれている。

レディオヘッドが「ok computer」や「kid A」「amnesiac」をリリースした時はメディアからかなり騒がれていた記憶がある、「ロッキングオン」なんかは特にそうだったが。

自分は当時ジャズには全く興味ない学生だった、サウンドの激しいものばかり聴いていたので、レディオヘッドの良さは全く分からなった。

確かに当時は「レディオヘッドの良さが分かると何となく感性が良い」的な空気すらあった。
 
ジャズに分かりやすいメロディがない曲が多い、勿論例外はあるが、ジャズは基本そういったジャンルだ。

即興で複雑なコード進行でアドリブを取るのだから分かりやすいメロディなど存在するわけがないのだ。

レディオヘッドもメロディを排除したジャンルだ、レディオヘッドは大衆ポップス的な要素を排除した「アート的な要素」「実験的要素」がありそこがジャズと通じるものがある。

なのでジャズミュージシャンがレディオヘッドのような音楽性にシンパシーを感じ、演奏したり、影響を受けたりするのは何となく分かる気がする。

多くのジャズミュージシャンがレディオヘッドを賞賛しているようだが、例えレディオヘッドに「ジャズミュージシャンですら賞賛する要素がある」にしても今のレディオヘッドを聴くなら、自分は普通にビルエヴァンスやジョンコルトレーンやマイルスや他のジャズの作品を聴くだろう。

何故なら最近のレディオヘッドの作品も聴いたが、はっきり言って退屈だと思う。トムヨークやジョニーグリーンウッドが組んだ新バンド「スマイル」も似たようなものだった。

今の彼らの曲もジャズミュージシャン達はカバーするのだろうか?

正直彼らをそこまで持ち上げる理由は自分には分からない。

更に言うなら山中千尋さんや上原ひろみさんの演奏を聴く方がよっぽど面白いし、クラシック演奏家の卓越した演奏技術を聴く方がよっぽど自分にとってはためになる。

レディオヘッドに関しては、聴かないこともないし、良い曲もあるけど周りが言うほど良いとは思わない。

ずっとそんな感じである。

動画の曲は「paranoid android」この曲はレディオヘッドの代表的な曲で「ok computer」に収録されている、気になった人は聴き比べてみて下さい。

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