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実はあんまり教えて貰えないマーケットメイカーのお話

こんにちは。共同代表のTaishiです。たまたま定例会議がなくなったのでサクレ食べながら書いていたらサクレにハマってしまいそうです。

なんやかんやで徐々に名前が知られてきている?マーケットメイカーですが、実際どんな感じなの?と思われる人も多いと思うので会議の空き時間に書きました。暇つぶしに読んでいただければ。

※所謂伝統金融のマーケットメイカーとは実態や定義が多少異なります。伝統金融におけるマーケットメイカーは別途記事を書こうと思います。

では、今日のお品書きです。

・マーケットメイカーって何?
・DMMとは
・DPMとは
・どっちがいいの?
・注意点

マーケットメイカーって何?

マーケットメイカーとは、流動性を提供し金融市場(クリプトの場合も)が機能することを目的に、特定の資産を大量に売買する市場参加者を指します。マーケットメイカーは取引の円滑な約定に資する責務があるため、迅速な呼び値の提示や正確なプライスでの約定といった健全な価格形成及び取引環境の構築に貢献するプレイヤーです。板取引を提供する取引所に上場した際に、流通量もそこまで多くない中で見えざる手によってオーダーブックは形成されない、というか十中八九無理なのでそれを補って貰おう!という話です。

ちなみに伝統金融(TradFi)の世界ではマーケットメイカーの存在は一般的です。マーケットメイカーという言葉の意味は、需給バランスの確保に必要な範囲内で市場価格を設定する行動に由来しています。ボラティリティの上昇により原資産の価格変動が激しくなっても、取引の円滑な実行環境を構築する責務、即ち一定のリスクテイクがマーケットメイカーには求められています。

web3領域では(規制環境が未発達且つ複雑なため)発展途上ではありますが、大まかに2種類のマーケットメイカーが存在します。

DMM(Designated Market Maker)とDPM(Designated Primary Market Maker)です。

DMM(Designated Market Maker)とは

DMM(Designated Market Maker)とは、取引所上で複数の銘柄に対して市場の流動性を維持する役割を持つマーケットメイカーです。主な特徴としては以下のような点が挙げられます:

  1. 流動性の提供: DMMは常に売買の両方の側に注文を提示し、市場の中で連続的に取引を行うことで、市場の流動性を維持します。

  2. 価格の安定化: DMMは需要と供給のバランスを調整し、価格の急激な変動を抑制することで市場の価格安定化に寄与します。特にボラティリティの高いクリプト市場では、価格の安定化は重要な要素となります。

  3. 取引量の確保: DMMは常に取引の意欲を示し、大量の注文を提示することが期待されます。これにより、市場において十分な取引量を確保することが出来るよう努めます。

具体的には、DMMはトークンの流動性を維持するために売買の不均衡が生じた場合にはアービトラージ取引等で反対売買を行います。また、DMMは発行体の取引現場の窓口としても機能し、一般的な市況、トレーダーの雰囲気、誰がトークンを売買しているかなどの情報を提供してくれます。

※ここではクリプト領域におけるマーケットメイカー個社への言及は中立性の観点から避けます。気になる方はお問い合わせください。DMM型のマーケットメイカーには一般に以下のような責務が期待されています。

  • DMMは見積もりを維持し、売買取引を促進する責任があります。

  • DMMは電子取引に比べてより高いレベルのサービスを提供します。

  • 市場環境をフロアブローカーのオファーと一致させることで投資家の市場参加を促進し、市場の質を向上させます。

契約内容としては、毎月のリテーナーに加えてパフォーマンスフィーを四半期ごとないし月次で求められることが多いです。また、DMMには自社発行トークンのみを売り板として渡し、買い板用のステーブルコイン等は自前で用意の上、MMアカウントに入金するというフローが一般的です。故に、売り玉又は買い玉が不足している場合MMのアクティビティが制限されます。

DPM(Designated Primary Market Maker)とは

DPM(Designated Primary Market Maker)とは、特定の割り当てられた銘柄、オプション、またはオプション指数でポジションを取るマーケットメイカーです。

※ここではクリプト領域におけるマーケットメイカー個社への言及は中立性の観点から避けます。気になる方はお問い合わせください。特定の銘柄に対してDMMよりもさらに中心的な役割を果たすことが期待されています。主な特徴としては以下のような点が挙げられます:

  1. 優先的な取引権: DPMは特定の銘柄に対して特権を持ち、他のマーケットメイカーよりも優先的に取引を行うことができます。このため、DPMの提供する価格や取引条件が優先される場合があります。

  2. 流動性の維持: DPMは指定された銘柄に対して常に売買の両方の側に注文を提示し、市場の流動性を維持します。トレーダーがスムーズに取引を行える環境を提供します。

契約形態はトークンを一定期間オプション付きローンないし一定割合をアロケートするケースが多いです。故に、追加でのステーブルコインの入金は必要ありませんが、トレーディング益も発行体に帰属しないため注意が必要です。

どっちがいいの?

結論DMMとDPM、どちらが良い悪いということはないのですが、法的リスクやオペレーションフローを鑑みてDPM型を選択するプレイヤーが国内では増えてきている印象です。一方、海外勢はDMM型を好んで使うケースがそれなりにあるような印象です。

契約書の観点だと、DPMの方が詳細且つ厳密な内容となるケースが多いです。

注意点

まずは、マーケットメイカーとの契約に焦らず経済条件を吟味の上判断すると良いでしょう。焦って契約すると後々大変です。(これはビジネス一般にですが・・・)また、しばしばマーケットメイカーとトラブルになって契約をスイッチしたい、というご相談をいただきます。

マーケットメイカーとのトラブルの原因として、成功報酬の算出手法や市場でのアクティビティの内容に関することが非常に多いです。

一方、マーケットメイカーは市場の安定性に寄与するために原資産のリスクを取っているということを忘れないでください。即ち、発行体とマーケットメイカーのインセンティブを一致させていればトラブルは起きにくいということです。

マーケットメイカーには、発行体にとって不利益となるような行動を取るに足るインセンティブ(つまりマイナスのインセンティブ)を与えないように気を付けましょう。

DMM型とDPM型でそれぞれどのような発行体にとっての負のインセンティブが働きうるかはまたの機会に。


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