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改正資金決済法により、国内でもステーブルコインが発行可能に!

6月1日に新たに施行された改正資金決済法により、日本円などの法定通貨に裏付けされた暗号資産であるステーブルコインが国内でも発行できるようになりました。

法定通貨にペッグ(固定)されているステーブルコインは、従来の暗号資産に比べて価格の変動が抑えられることが特徴です。(ステーブルコインの詳細についてはこちらの記事でご紹介しています!)

今回の改正資金決済法によって何が変わったのか、そして国内でステーブルコインを発行できることによってどんなメリットがもたらされるのかを解説します!

改正資金決済法、何が変わった?

今回の法案によりデジタルマネー類似型ステーブルコインは「電子決済手段」と定義され、発行者は裏付け資産を準備する責任を負います。

一方、海外で発行されるステーブルコインについては、裏付け資産の保全義務は発行者ではなく流通業者にあります。

法改正の主な目的は、投資家の保護とマネーロンダリング(資金洗浄)対策の強化です。ステーブルコインは法定通貨と連動するため、マネーロンダリングの標的になりやすいことが理由です。

改正法の柱となっているのは以下の3点です:

  1. ステーブルコインの規制

  2. 取引共同監視システムの対応

  3. 高額送金時のマネーロンダリング対策

2.の取引共同監視システムの対応は各発行業者での取り組みに加え、一部マネロン対策を共同で行う機関の創設を可能にします。

3.のマネロン対策は高額な電子ギフト券(1回の送金額が10万円、1カ月の合計が30万円を超える)が取引される場合に、発行者にユーザーの本人確認手続きが義務づけられるものです。

ステーブルコインの発行と管理は「発行者」に、売買・交換は「仲介者」と明確に役割が分けられ、発行は銀行・信託会社など、規制と監督が容易な組織に限定されます。

一方「仲介者」は登録制となり、厳格なマネーロンダリング対策や規制遵守が求められます。金融庁は必要に応じてこれらの事業者に資料提出や業務改善命令などの行政処分を行うことを明確にしています。

ステーブルコインによってもたらされる2つのメリット

ステーブルコインはボラティリティ(価格変動性)が低いことにより、従来の暗号資産には難しかったユースケースへの応用が可能になります。

  1.  従来の暗号資産よりも有効な投資・預金先となる

    ステーブルコインは従来の暗号資産よりも価格安定性が高いために、長期的な資産形成に有効です。

    法定通貨の価格と連動しているという特徴から、外貨にペッグされたステーブルコインとして入手しておくだけで擬似的な外貨預金の役割を果たします。

    例えば、日本円を米ドルとペッグしたUSDTに変換すれば、ドルを保有している状態と同様の預金が可能です。

    同様の理由により、投資損失のリスクが比較的少ないことも特徴です。ステーブルコインには需要が供給を上回っているために貸付金利が高いものも多く、金利獲得を目的とした長期保有や投資リスクの分散先として注目されています。

  2.  国際的な送金が容易になる

    企業間決済の市場規模は国内だけでも1000兆円とも言われていますが、既存のシステム下ではその手数料の高さや送金の遅さが問題となっています。

    クロスボーダー決済に至っては各国の決済方法が異なることはもちろん、決済代行業者など仲介者の存在によりさらに手続きが煩雑化しています。

    ステーブルコインの活用により、企業間決済が仲介者を挟むことなく低コストかつ短時間で行われることが可能となり、利便性の高い国内・国際送金が可能になると考えられています。

今回の改正法はステーブルコイン導入に関する政府内での議論が実を結んだ結果であり、日本政府がweb3政策に本腰を入れ始めていることを実感させられます。

今後もweb3政策の促進に期待するとともに、日本にweb3イノベーションの土壌が形成されていくことに期待しましょう!

web3事業にご関心がある方は、ぜひDeFimansへご相談ください!

(勉強会:北野、文:山田)



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