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Galaxy Interactive Richard Kim氏が語る、web3ゲームエコノミーの十戒(part 3/3)

前回に引き続き、Richard Kim氏の"Can Joy be Financialized as a Positive-Sum Game?"の日本語まとめです!



8:一般ユーザーと投機目的ユーザーの行動パターンの相違に注意

トークンが一旦フィアットと交換可能になった後は、トークンを積極的にトレードする層と、HODLする(トークンを手放さない)層にユーザーが二分することを避けなければいけない。トレードを簡易的にする目的で人工的に設計されたインセンティブは、最終的にはユーザーを分断する方に働く。

GDPが成熟しているバーチャルエコノミーにおいては、ステーキングなどのメカニズムはいらない、必要なのは消費だ。トークン供給を制限するのではなく、トークンに対する純粋な需要を作り出さなければいけない。

9:VAT(付加価値税)によるマネタイズシステムを確立せよ

ゲーム界におけるビジネスモデルは以下のように進化してきた。

  • コイン制=プレーごとに課金

  • プレミアム=ゲームタイトルを購入するごとに課金

  • F2P=Free to Play、プレイ無料でゲーム内コスプレなどバーチャルプロダクト販売、広告有

  • P2W=Pay to Win、プレイ無料、ゲーム内アビリティを売り買いする

  • P2E=Play to Earn、プレイ無料、トークン/NFTで資金調達、多くはポンジスキーム

次に到来すると個人的に期待しているのが、ゲームのデジタル組合である。ゲームタイトルごとに課金するシステムで、GDPの「リフトオフ」(ゲームシステムがトークン売買の経済的圧力に耐えられるようになった時点)でトークンに可換性を持たせる。①ゲーム内取引額のうち、一定割合のテイクレートを確保②トークンをフィアットに変換する定期的な一括オークションを行うことの2手段で収益化を図る構造だ。

この「デジタル空間上にて形成される組合」は、ゲームプレイヤーと開発側の利害が一致する過程で至る最終到達点と言っても過言ではない。

10:人間性証明・チート防止機能を導入せよ

リアルエコノミーが発達するにつれて、ゲーム内における十分なチート防止機能および人間性証明のニーズが高まっていく。これらの問題への対処法として、文書を必要としない手段(例えば、年齢や在住証明など特定の項目を検証するためにゼロ知識証明を利用する)を採用できれば大きな前進となるが、規制の整備には時間がかかると思われる。

一方、最大の問題はユーザー側の摩擦だろう。ゲームを続けるために自身のパスポートをスキャンするゲーマーはいるのか?プレイヤーの年齢を把握しなければいけないと自覚している開発者はどれほどいるのか?このような摩擦を考慮すると、おそらく最も効果的なプランは、ボットを識別すること自体をゲームデザインそのものの中核部分にすることだ。人間性の証明を確認することは、現在よりもはるかに重要なものになる。

結論

Javier Barnesは、自身のブログHow can the next wave of Web3 games become sustainable?で次のように言っている:

「web3ゲームがサステナブルではない理由は、ユーザーからの期待とは裏腹に完全なpositive-sumなゲームなど存在しないからだ。プレイヤーの大多数が稼げるゲームなど存在しえない、なぜなら、その資金はどこかしらから捻出されているためだ。すべてのゲームはこの意味でnegative-sumであるといえる。web3ゲームが維持可能になるためには、『お金を使って楽しめる』という従来のゲームの常識を180度ひっくり返し、『お金を稼げる』場所になる必要がある。

ついこの前まではJavierの主張に完全に同意していた私だが、今はweb3ゲームには明るい未来が待っているに違いないと思っている、そんな気がする。

まずは、かの偉大なジェダイマスター、ヨーダが説いたように「今まで学んだことを捨て、学び直さなければならない 。」


以上、Richard Kim氏によるブログまとめです!既存のweb3ゲームが抱える問題点に鋭く切り込み、人間の本性にまで言及した熱いゲームエコノミー論を展開していましたね!昨今のweb3ゲーム失敗作を思い返すと、非常に痛いところを突いてくる内容でした。

彼のブログはこちら。業界に対する俯瞰レベルが高い内容になっているので、ぜひメルマガ登録をオススメします。(編集者も早速登録しています)

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原文:Richard Kim、翻訳・編集:山田


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