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【DeFimans共同代表小野】web3ゲームのトークノミクスのトレンドの話

DeFimans共同代表の小野と佐藤は京都IVSに行き海外の複数のファンドやキャピタリスト、サービス設計責任者と議論する機会がありました。最近web3ゲームのトークノミクスについてやはり思うのは「トレジャリー(中央金庫)の運用と分配」が今1番の争点になっていると感じます。

「財産を正しく資産運用してユーザーに配りましょう!」ってだけで何も難しくありません。Treasury(トレジャリー)とは、トークン発行体(やDAOなど)が保有しているトークンなどの暗号資産をプールしておく場所のことです。手数料や没収された資金等を貯めておきます。トークン発行体はこのプールされた資産を運営や投資、資金調達などに利用します。保険や金融、政府の財政政策では「トレジャリー(中央金庫)の運用と分配」はいつの時代もずっとメイン争点です。

web3で異なるのは透明性・コントリビュータへの分配・方針決定・リスク管理あたりです。あとはレバレッジなでどです。それがオープンソースのオンチェーンで多様な選択肢を提示しているわけです。これは別にゲームに限らずLayer1/Layer2のチェーンのエコシステムやDAO全般の運営の争点でもありますね。エコシステムの参加者にどうトークンで報酬を出していくのかを考える時、トレジャリーの運用戦略無しでは報酬設計も難しいですよね。

逆に「コミュニティの盛り上げ」とか「ゲームの面白さ」とかは当たり前の要素(自明の理)としてそこまで議論にはならない印象です。リソースは有限ですので、アジェンダには当然「優先順位」がありますからね。もう少し詳細にイシューを切ると、以下4点が論点になっているかなと思います。

1: トレジャリー(中央金庫)の運用とユーザーへの分配メカニズムをどう設定するか?

2: マクロ経済指標の導入(トークン発行体を中央銀行に見立てた国家としての通貨発行・運営モデルを参考に設計)をどうサービス内の計測可能なKPIに落としていくか?

3: 上記2の「マクロ経済指標」の延長線ですが、閉鎖経済ではなく開放経済前提のトークノミクス設計(ゲームの中だけのトークンの動きだけではなく、外に持ち出されて換金されること、新規で人が外からサービスに流入してくることなどを前提とした設計)をどこまで行えるか?

4:トークンのオンチェーンでの流動性をどう広げていくか?

大体上記4つの論点で最近のトークノミクスのトレンドはカバーできるかなと思います。「とにかくゲームを面白くすべき」という議論はトートロジー(論理学でいう同語反復)でしかないのと、「コミュニティを盛り上げるべき」はweb3固有の論点ではなく、今までの全てのコンテンツ(エンタメに限らず、株式の取引などの金融コンテンツも含む)に当てはまることなので、そこまでメインの争点にならないというトレンドを感じています。いやもちろんすごく大事なんですけど、大事なのは誰も反対しないので、粛々とちゃんとやっていきましょう!ということです。

いじめはよくない、とか差別はやめるべき、とか世界は平和になるべき、と同じ解像度の議論だと思われます。Axiomatic!

逆に最近はトレジャリーの運用と分配のメカニズムのMethotology(具体的なオペレーション手法論)についてかなり細かく議論されます。自分も2019年からPlay to Earnのプロジェクトの立ち上げに入って、ローンチから運営までしていましたけど、トレジャリーを運用して増やした資産をユーザーに分配すれば別にポンジスキームにならないことは理解していました。

ただ何故か「トレジャリーの運用」という争点が日本では全く議論されないのが不思議ではありました。多くの日本人がX to Earnはポンジスキームなのか?そうではないのか?を永遠と議論していましたが、何故か「トレジャリーの運用」という観点が全く出て来ず、「広告による外貨の獲得」と「コミュニティの盛り上がりによるトークン価格の上昇」が一時的な答えみたいに扱われていました。

なぜ!?

外貨の獲得とコミュニティの盛り上げってweb2のゲームと結論同じじゃありませんかね!?今はトレンドとして、トレジャリーの運用戦略は当たり前で、ユーザーへの分配メカニズムのMethotology(具体的なオペレーション手法論)に議論のフォーカスが当たることが多い気がします。

分配方法をダッチオークション形式にするのか、特定のトークンホルダーを還元対象にするのか、トレジャリーのうち何%をユーザーに還元するのか、などなど。

逆に、トレジャリー運用せず流動性も作らなければweb3ゲームはweb2ゲームに比べて運営目線でかなり収益性下がるだけになってしまいます。自社収益をユーザーに還元するだけなので。トレジャリーを運用せずに、そのままトークンとして置いておくと単に売り圧に対してトークンで調達した資金をバイバックにぶつけるだけなので資本効率落ちてしまいます。トークンは開発資金前借のためだけの道具ではないはずです。

海外のファンドが書いてるこのあたりの記事を日本語に翻訳する元気がアレばいいのですが、順次有益な理論や情報は発信してきたいと思います。

情報に関して言語の壁は想像以上に大きいですね。日本が遅れていて海外が進んでいるとかそういう話でもないので、自分が納得できる理論を信じていきます。逆に海外でも参考にならない議論も沢山ありますし。

業界の偉い人が言ってるから、とかそういう基準でもなくて、最後は自分しか信じることができないですのでね。激しいこと書きましたが、別に誰に喧嘩を売っているわけでもないです。アンチテーゼは大切だと思っています。アウフヘーベンしましょ!(文:DeFimans共同代表 小野)



トークノミクスに関するご相談も承っておりますので、ぜひDeFimansへとご相談ください!


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