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青春の『怪獣VOW』

以前に投稿した記事で、怪獣VOWプロジェクト編『怪獣VOW』(宝島社)に触れた。

なので今回はその『怪獣VOW』について語りたい。『怪獣VOW』は全3巻が出版されている。
『怪獣VOW 怪獣ドラマはこう楽しめ!』
『帰ってきた怪獣VOW』
『さらば!怪獣VOW』


『怪獣VOW』はその名の通り、あの『VOW』の特撮版だ。
そもそも私は昔の特撮(特に昭和)が好きである。
まぁ自己紹介の如く、とりあえず好きな番組を挙げよう。
『マイティジャック』
『愛の戦士 レインボーマン』
『ダイヤモンド・アイ』
『イナズマンF』
『スーパーロボット レッドバロン 』
『超人機メタルダー』
『仮面ライダーBLACK』
『仮面ライダーBLACK RX』
など・・・。
ざっと、こんな感じである。
また私が小さい頃、リアタイで見ていたのは平成7年に放送していた『重甲ビーファイター』だ。『重甲ビーファイター』は初めて見た特撮ということで私にとって特別な存在であり、それから転じて今も特撮を見続けている。
まぁそれはさて置き、まだまだ見たことない特撮番組もたくさんあるが、いろんな昔の特撮を知る・興味を持つきっかけとなったのが、『怪獣VOW』なのだ。


前史

遡れば、昔の特撮を見るきっかけは兄の影響である。私が小さい頃、基本的に古いモノが好きな兄と一緒に見ているうちに自然とその存在が刷り込まれていった。また、その時期には復刻版の『仮面ライダーチップス』が出たのも大きかった。当然『チップス』付属の『仮面ライダー』カード=トレーディングカードはその名の通り、育ち盛りの子供ながらもその本能に刻まれた収集癖を刺激したのだ。それと並行してKONAMI版とバンダイ版(懐かしい)の『遊戯王』カードを集め出していて、今まさにカードという存在に触れたばかりでもあるから、余計に火がついた。
それから中1になり、兄の持っていた『怪獣VOW』を借りてよく読んだのだ。それが『怪獣VOW』との出会いである。
その他にも、特撮などを扱った双葉社の『大全シリーズ』も兄が持っていて並行して読んでいた。

『怪獣VOW』

これは前に投稿した記事の通りだが、中1の頃の私は本家『VOW』にハマり出し、某古本チェーン店に通っていた。その本家『VOW』の隣には『怪獣VOW』シリーズも並んでいたのである。
『怪獣VOW』は前述の通り、すでに兄のモノを何度も読んでいたが、次第に自分のが欲しくなってきたのだ。なぜなら、自分のモノなら気軽に学校などに持ち運びができるので、ボロボロになってもかまわない。それで古本で買い揃えたのである。
まぁ『怪獣VOW』は私が読んでいた当時からすでに発売されて10年以上経っていたが、古いモノにすっかり慣れている私にとっては、むしろ、古いモノを知ることに新鮮さを覚えていたのだ。
またそれと同時に『大全』シリーズも同様に古本で買い、特に『レインボーマン ダイヤモンド・アイ コンドールマン大全』と『イナズマン大全』(岩佐陽一 編)は何度も持ち運んで読んだため角がボロボロになっているが、かなり愛着が湧いている。この時期は昔の特撮を扱った書籍という側面からも、読書に目覚め出した。そう、私の中のカルチャーに方向性が生まれた瞬間だったのだ。
話を『怪獣VOW』に戻そう。
『怪獣VOW』は『VOW』シリーズという性質上、特撮のヘンなところに対して、ツッコミや指摘をした投稿がメインの内容で、確かに茶化してるし、不正確な指摘(それについての訂正のコーナーも存在する)もある。根幹には愛がゆえに・・・ということであるが、どこか冷笑的な部分も存分に感じる。しかし、それが思春期の私にはどこか刺さったのだ。やはり好きだからこそ、どこか冷めた目線でも見ていた。
と言っても、昔の特撮は技術的に荒い部分や内容の突飛さ・いい加減さ・強引さもあるが、むしろそれすら魅力の一つと言える。だが、それと同時に芯を食ったテーマや現代に繋がるメッセージも混在する、そのカオスさが特撮が唯一無二の存在であると言っても過言ではない。だからこそ、単に"ヒーローもの"と侮ることはできないのだ。
だが、なんだかんで『怪獣VOW』は情報量が多い。特撮と一括りに広く浅く扱う感じに思えるが、かなりディープな内容を扱っている。そう、マイナーなヒーローにも触れられているのだ。もちろん、そのマイナーさを弄っているが、はじめてそこで知るモノや、逆に興味が出てくるモノもたくさんあった。それが『レインボーマン』を好きになるきっかけでもあるのだ。敵の組織名が死ね死ね団で、主人公の歌がとても暗い歌詞だとか、7つの化身の中の一つの能力がナイフで刺されても死なないだとか、どんな番組なんだと・・・。だが、一度見たらそんなことが吹き飛ぶくらい『レインボーマン』は面白かったのだ。恐るべし、『レインボーマン』・・・。
そんな出会いをしたからには、他の番組も知りたくなってくるので、それと並行して当時は『怪獣VOW』や『大全』以外にも昔の特撮を扱った書籍などを漁るようになった。
今ではスマホで昔の特撮についての情報を簡単に調べることができるが、当時はスマホが普及する数年前のガラケー時代だったので、そういった書籍が私には唯一のキーアイテムだったのである。
つまり私にとって『怪獣VOW』は最も入りやすい入口だったのだ。まぁ、その入口の先は迷宮であり、未だに脱出できないのは内緒だ。いや、居心地が良いから、延々と居座っているが。
またニセ怪獣ブロマイド、B級カード図鑑として、パチモノの怪獣ブロマイドも載っていた。怪獣やヒーローの写真に絵を描き加えたり、コラージュしたりなどして、いじくりまわしているヤツだが、これがなかなか爆笑モノである。これらを見ていると、元のデザインがいかに素晴らしいかが良く分かる。こういったグッズ等も載っているのは非常に『VOW』らしい。その他におもちゃ・ソフビ、レコード、怪獣図鑑、雑誌の怪獣記事、さらには特撮大人のビデオなどについても触れられている。
個人的に特筆すべき点はヒーローを演じたり、特撮に出演した俳優の池田駿介氏(第1巻)、宮内洋氏(第3巻、また第2巻には宮内洋氏について語ったページあり)のインタビューが掲載されていることだ!!そこには役柄を演じる上でのこだわりや考えが語られており、感動する!!

ありがとう『怪獣VOW』

そんな『怪獣VOW』を読んでいたのが私の中学時代である。とにかくずっと読んでいた。この時期にいろんな昔の特撮を見たのたのだ。最初に挙げた、私の好きな特撮番組はだいたいこの辺で出会ったものが多い。
特に『イナズマンF』というものは異色のヒーローで、その尖った作風は思春期のどこかざらついた心情、いや中二病の私を刺激した。今思うとほんとに懐かしい。それに触発されて、尖った物語を何度か書きかけたことがある。いや、これに関してはまた別の機会に語ろう!!


学生時代はモラトリアムである。その時期は多感で、自分自身の新たな可能性を探す時期でもある。この時期に昔の特撮、『怪獣VOW』に出会えたことは私にとって何事にも変えられない財産である。
また、この時期は私の中のカルチャーに方向性が生まれたと書いたが、この直後、私の価値観や創作のバイブルとなった番組と出会うことになる。それは刑事ドラマ『特捜最前線』である。
というのも、刑事ドラマの脚本は特撮の脚本を書いている人も多く、その親和性は高いと言える。『人造人間キカイダー』などの脚本を書いた長坂秀佳氏は『特捜最前線』のメインライターとして参加されている。
さらに『特捜最前線』は"特撮最前線"と揶揄されるほど、刑事を演じた役者さんがヒーローを演じていたり、特撮に出演した人が多い傾向にある。もしかすると、私と『特捜最前線』との出会いは必然だったのかもしれない。
今回の記事は最終的に『怪獣VOW』から、『特捜最前線』に着地したが、人生とは地層のようにさまざまなものが積み重なって成り立っている。たまに掘り起こしてみれば、そこには大事なもの、最初の純粋な気持ちが眠っている。
『重甲ビーファイター』を最初見た時、純粋にビーファイターやライバルのブラック・ビートのかっこよさに魅了されていたのだから。要するにヒーローはカッコいいのである。だから好き。

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