人生別れもあれば出会いもある
2月。どんよりした曇り空。太陽は雲に完全に隠れてしまい、肌寒い土曜の夜。その日、僕は彼女とカフェにいた。普段の僕ならアイスコーヒーを頼むが、さすがにこの日は寒く、体も冷えていたのでホットコーヒー、それと少しおなかがすいていたので軽食にとパスタを頼んだ。彼女も温かい飲み物と、ケーキを注文した。
「あ、俺が払うよ。」
「いいの。いつも出してもらっているから。今日は私が払うよ。」
「気にしなくてもいいのに。でも今日は甘えさせてもらおうかな。」
「うん。」
お互いに空いている椅子に座る。この日は久しぶりに会ったので、お互いの近況を話していた。どんなことを話したのか、今はもう覚えていない。最近見た映画だとか、最近の仕事は忙しかったとかそんな話をしていた気がする。
時間がたち、「さて、次はどんなことを話そうか」と考えていると、彼女が切り出した。
「最近さ、わたしの反応が遅くなったと思わない?」
「反応?LINEとかのってこと?」
「そう。」
「うーん。忙しいのかな?って思ってたんだけど。」
「あのさ…」
…
色々あって、別れることにした。距離を置きたいとのことだったが、その話を受けた後同じように接することができるか自信がなかったからだ。もし復縁したとしても、どこかで亀裂が生じて結局ダメになるような気がした。お互い何かを我慢して続けるくらいなら、別れて相性のいい人と付き合った方が幸せになる確率は高いだろう。そんなわけで1年に満たない付き合いは終わった。
別れてから1週間くらいたったころだろうか。僕は一人の女性と知り合った。一緒にいて落ち着く人だった。彼女の話は、どこか心地よく、優しい声だった。ある日彼女を誘ってランチに出かけた。お互いの身の上話をしつつ、仲良くなった。付き合うまでに時間はかからなかった。とんとん拍子に行き過ぎて、友人からは「詐欺とかじゃないよな!?」とか「自暴自棄になってないよな!?」とかさんざん言われた。
「質問に対する回答はまともだし、なにかはぐらかすようなそぶりは見せていないから大丈夫だと思う。」
そう答えると、「おまえがそういうなら…」と黙ったが、それでも
「でも、なんか心配だ。なにかあったら相談してくれ」と心配してくれた。もしこれが詐欺だったら、もう女性不振になってもおかしくないなと思いながら、友人との電話を切った。。
前の彼女と別れたから、今の彼女がそばにいる。
出会いと別れ。
人生ってそんなもんなんだな。
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