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grandma's life recipes

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世界を旅する台所研究家 中村優が瀬戸内のばあちゃんたちのもとへ。ばあちゃんたちから集めた幸せレシピの記録。
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新涯町の智子さんの「水炊き」grandma's life recipes

福山駅徒歩2分の伏見町に、「IKEGUCHI MEAT PUBLIC HOUSE」という和牛バルがある。立地もよくおしゃれな外観だが、定評があるのはそこで出す和牛の美味しさ。それもそのはず、ここはお肉屋さん直営のお店なのだ。このお店から車で20分ほど離れた新涯町という住宅街に「池口精肉店」はある。今回は、初代社長の奥さんが評判の料理上手だと聞き、訪ねてみることにした。新涯町で育ち、みんなから「智ちゃん」と親しみを込めて呼ばれる池口智子さんは75歳。地域の祭りがあるとなればご飯

内海町の千佐登さんの「おいなりさん」grandma's life recipes

夫婦漫才のような、アイドルユニットのような「#かずじとちさと」というハッシュタグをつけてインスタグラムにアップされる、じいちゃんとばあちゃんの日常がある。互いに85歳を超えた今でも手を繋いで現れるほど仲良しなかずじさんとちさとさんは、60年近くもの間、一度も大きな喧嘩をしたことがないという。インスタグラムの投稿者であり、ふたりの一番のファンである、孫夫婦の中尾守岐(もりみち)さんと圭さんに誘われ、ばあちゃんとじいちゃんが住む、福山市内海町の横島へとお邪魔した。 内海町は、瀬

駅家町の玲子さんの「うずみ」 grandma’s life recipes

 世界を旅していると、容姿もカルチャーも唯一無二な個性豊かなばあちゃんたちに出会う。そして、そのばあちゃんそれぞれが繰り出す料理も同じく。育ってきた国も文化も違うのだから容姿も味わいも違って当然のこと。そうは思っていても、箸やフォークを口に運んで、「……あれ!?」と驚いたり、「……なぜ?」と手が止まる料理がある。今回出会った料理もそのひとつ。何気ない見た目に驚きと不思議が隠されている。そして、その不思議の由来は、味わい深い一口ずつが私の胃袋に落ちていくまでに、ばあちゃんがちゃ

千田町のタズ子さんの「お好み焼き」grandma's life recipes

 福山では知らない者はいない老舗和菓子店「虎屋」。江戸時代から400年続く老舗でありながら、最近、なんとも不思議な新商品を打ち出して話題になっていた。「たこ焼きにしか見えないシュークリーム」や「麻婆豆腐みたいなゼリー」や「ざるそばのようなモンブラン」「お好み焼きそっくりなチョコレートケーキ」といった具合。そんな虎屋さんのばあちゃんが、たいへん料理上手だとの噂を聞いて会いに行くことにした。ばあちゃんの料理は、家族や友人、知人、それからお仕事中の営業マンまでも引き寄せて、いつも誰

百島のキシ子さんの「ぶどうすすり」grandma's life recipes

「もどりうけ」をつくり終えると、 「ぶどうすすりもつくろうか」と、キシ子さん。 「この季節にぶどう?」 と思ったら、昔から豆の栽培が多かったこの島では緑豆が「ぶどう」という名で呼ばれているらしい。緑豆とサツマイモ、そして白玉粉と上新粉を使ってつくる「ぶどうすすり」は、おぜんざいのようでいて小豆よりも胃に優しいという素朴なおやつだ。 「昔はな、家族が多いから綺麗に丸める時間も無くて、ぎゅっと片手で握ってそのまま入れたんよ」と、白玉粉と上新粉を捏ねたものを片手で適当に掴んで団

百島のキシ子さんの「もどりうけ」grandma's life recipes

 鞆の浦からフェリーでたった10分でたどり着く百島。穏やかな海に囲まれてた家々の庭には美しく花が咲いている。ここは、あちこちにかわいいばあちゃんがいる、フレンドリーなばばパラダイスだ。  島の人口は約500人。じいちゃんばあちゃんはみんな、自分で野菜を育てて料理をして、自分の力で暮らしてきた。超少子高齢化が進み、コンビニどころかスーパーもレストランもない。それでも数年前からは廃校を利用したアートの拠点に外国人アーティストたちがやって来たり、移住者が登場したりしている。  

鞆の浦の睦子さんの「コチの煮付け」grandma's life recipes

「これがコチで、こっちはギギ」。鞆の浦はジブリ映画の舞台となった土地だと聞いていたから、魚の名前を聞く度に、登場人物にいたかなと考えてしまう。おもては、車2台がすれ違うのがやっとな狭い道がくねくねと続く小道ワンダーランド。港からは穏やかな潮風が吹いていて、街並みは江戸時代から続く美しい世界。福山からバスで30分ほどのこの鞆の浦の町には、「旅で会えたら」と旅人たちが思う、のんびりとした地元の空気が流れている。  どうにも狭くて、ちょっと不便そうで、それでも地元の人たちに愛され