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【スポーツアナリティクス】トラッキングデータの分析のためのWebアプリを開発しました【LiverpoolAnalyzer】
こんばんは、さえない / saenai (@saeeeeru)です。Twitterをフォローしていただいている方はご存知かとは思いますが、最近は英語でもツイートするようになりました。理由はYouTubeチャンネル「Friends of Tracking」作成の #FoT というハッシュタグで、サッカーのデータ分析に興味を持つ世界中の人たちにプレゼンスできるようになったからです。(ちなみに、上記のYouTubeチャンネルを作ったのは、「サッカーマティクス」の著者であるDavid Sumpeterさん(@Soccermatics)です。)
その「Friends of Tracking」主催で、リバプールのゴールシーンのトラッキングデータを用いた、選手・コーチ向けの分析レポート作成を競い合う「Liverpool Analytics Challenge」がGW前から始まっています。(当該動画は以下を参照)
このコンペのための開発物が、タイトルにも記載した「LiverpoolAnalyzer」という、トラッキングデータを以下の2つの指標とともに確認することのできるWebアプリケーションです。本noteでは、その使い方の説明をしていきたいと思います。
1. Stretch Index: 各チームの陣形の縦横の間延び度
2. Pitch Control: 各スペースへ仮にボールが来た時に、どちらのチームがコントロールすることができるかを示した指標 [解説動画]
リンクはこちから↓
1. Overall
トップページはこのようになっていて、sidebarにて可視化・分析メニューを選択できるようになっています。(下に軽く自分のプロフィールを記載)
2. Stretch Index
sidebarで「Stretch Index」を選択し、見たいゴールシーンをセレクトボックスから選ぶと、トラッキングデータをStretch Indexとともに見ることのできる動画が表示されます。
この可視化から、下のような分析結果(情報)を導き出すことができます。フィルミーノのパラレラ、マネへのリターンでゴールゲットしたシーンにおいて、フィルミーノのランニング時にチェルシーの「Stretch Index」が上がったことから、守備陣形を(縦に)広げたことが定量的に確認できます。
Annotated Tracking Data Visualization with Stretch Index on game against Chelsea. Mane → Firmino → Mane Beautiful Goal Scene. It shows that Firmino run made Chelsea Defense Block stretch vertically. (data from @lastrowview ) #FoT pic.twitter.com/5sdXryY2gM
— さえない / saenai (@saeeeeru) May 4, 2020
3. Player Pitch Control Impact
sidebarで「Player Pitch Control Impact」を選択し、前章同様、見たいゴールシーンをセレクトボックスから選ぶと、トラッキングデータをPitch Controlとともに見ることのできる動画が表示されます。
この指標を使うと、下のような分析結果を得ることができます。こちらはサラー独走のロングカウンターのシーンなのですが、ペナルティボックス付近までサウサンプトンDFが寄せられない&シュートコースをGKと協力して抑えられなかった要因として、フィルミーノの並走が考えられます。動画を再生していただけるとわかると思うのですが、サウサンプトンDFの左右が紫(リバポ)に色づいており、選択肢が複数あったために立ち位置にミスが生じたのではないかという考察が得られます。
Visualization of tracking data with "Pitch Control" on Liverpool Sarah's goal against Southanpton. The reason why Southampton's DF can't attack is because Liverpool are using space on the left and right. #FoT pic.twitter.com/fnXFoTMxlD
— さえない / saenai (@saeeeeru) May 6, 2020
上記に加えて、パスの前後において選手のランニングがどうPitch Controlへ影響したかをシミュレーションする「Player Pitch Control Impact」機能も加えています。使い方は下図の通りで、シミュレーションしたい項目をセレクトボックスから選択することにより、下に画像が出力される形になっています。
例えば上記の例だと、ザルツブルク戦のヘンダーソンの満点斜めパスのときに、受け手のTAAが支配していたスペースは赤い部分で、ペナ脇までコントロールできていることが確認できます。これを使うことで、ザルツブルグのLSBは少し絞りすぎていたよね、もう少しTAA寄りでもよかったんじゃない?というコミュニケーションの材料になります。(逆に背中を通されそうだけれど)
以上が開発したwebアプリケーションの紹介になります。トラッキングデータという扱いづらそうなものを、選手や指導者へのフィードバックに繋げられるよう、集計や可視化は大事ですね。そこにデータサイエンスの力を組み合わせながら、こうしたアプリをバンバン作っていきたいところです。
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