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【色街の系譜】大阪・九条の歓楽街・松島新地発祥の地「松島遊郭」の痕跡を探す

「松島や ああ松島や 松島や」と芭蕉も詠んだと言われるほど(大嘘)のこの世の天国、美女の楽園などと大阪の地に生きる代々の男どもが喜び勇んでやってくるという裏名所、それが大阪市西区にある松島新地…あまり表立っては言えないが、いわゆる「ちょんの間地帯」というやつである。一般的には西成区の飛田新地がその手の場所では第一候補という認識のようだが、歴史的に飛田よりももっともっと長くて深いのはこちらである。

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飛田新地は今から100年少し前、明治末期に起きた「ミナミの大火」によって全焼した旧難波新地乙部が大正初期に町外れの天王寺村の原っぱにごっそり移転したのが始まりだが、こちら松島新地の始まりはそれより半世紀前、明治2(1869)年の事。公許の遊郭として開かれたものが大阪大空襲で全焼、戦後になって現在までナインモール九条商店街(九条新道)北側の一画(九条一丁目・本田二丁目)に移って今の今まで営業している。約90店舗もの「料亭」が軒を連ね、日が暮れる頃には“飛田”同様、淫靡な明かりが灯りだす。

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