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ペットからもらう幸せ

今日、1年前に亡くなった猫が夢に出てきた。
昨日久しぶりにお線香を焚いたからだろうか。

彼とは17年間連れ添った仲で、
遊び相手になってもらったり、
酔っ払ってへべれけになった私の話を聞いてくれたり、
悲しい時はそっと近くにいてくれる
そんな優しい猫だった。

一家離散し(この話はいずれ…)一人暮らしを始める時私が引き取った。当時彼が14歳の時だった。
一人で猫の世話をするのは初めてだったので大変だった部分もあったが
初めての一人暮らしも彼ら(実は2匹いました、1匹はまだ生きています)がいたから乗り越えられた部分もあったと思います。
大きな地震の時も、コロナ禍で一人が辛い時も、何をしてくれたわけではなかったがそばにいてくれるだけで安心することができました。

そんなある日、
彼は急激に痩せ細っていきました。
ご飯は食べているのになぜ…。

初めて一人で動物病院に行きました。
原因は歯がぐらついていて食べ物がうまく食べられなかったとのこと。
獣医さんにはこれは生き地獄よ、と言われました。
手術し歯を抜いて無事に回復!
(猫はご飯を基本丸呑みするらしいので歯がなくてもご飯が食べれるらしい)

安心しているのも束の間、
もう1匹の猫が今度は肝臓病を患い投薬生活の日々…
彼も今度は糖尿病を患いインシュリン注射が欠かせない日々が始まりました。

ここから晩年までの約2年間、
ほぼ一人で行った老猫介護は本当に辛いものでした。
彼はインシュリンを朝晩毎日、
もう1匹は投薬。
薬を嫌がりあの手この手であげようと必死でした。
仕事から帰って猫に投薬するのに1時間かかったこともありました。
頼むから飲んでくれ、と泣きながら投薬したこともあります。
体調は良くなったり悪くなったり波があり、
その度に一喜一憂していた、慌ただしい日々でした。

今の夫と一緒に暮らすようになって、
私は3泊4日で出張に行くこととなりました。
彼はご飯を食べる量が少しずつ少なくはなっているものの、体調は安定していたので、良い子でお留守番するんだよ、夫と仲良くねと声をかけて家を出ました。

その夜です。
夫からLINEと写真が送られてきました。
「飯場でぐったりしてる」
「おしっこの色も変」

その頃の彼はインシュリンに加えて、
たくさんの薬を飲んでいました。
けれど彼は薬が大嫌いで、
1粒まともにあげるのも困難な日々が続いていました。

とにかくご飯を食べさせないと回復しないことは経験から分かっていたので、ウェットのご飯の種類を変えてみたり、大好きなチュールをあげたりするよう指示しました。
私はまだ仕事があったので帰れなかったからです。

やっと家に帰れる日。
朝夫から彼は元気は無いけどちょこっとだけご飯を食べたと報告を受けました。
とにかく彼の顔が見たい。
私は急いで帰ろうとしましたが、
飛行機が遅れてしまいました。
最終便ではなかったのですが、
これだと確実に日を跨ぐ。

夫もその日は日帰りで出張で、
夫の飛行機も遅れていたようでした。

夫の方が、早く家に着いたようです。
私が飛行機を降りてバスに乗ろうとした時に電話が鳴りました。
夫からでした。


無言でした。
早く帰ってきて
か細い声でそれだけ言って電話は切れました。


彼はベッドで冷たくなっていました。
嘘だと思って彼の身体に耳を当ててみましたがとても静かでした。

夫が家を出る時は床にある餌場でゆっくりご飯を食べていたとのことでしたので
亡くなる直前にも自分の力でベッドにジャンプして登ったのでしょう。
そしていつも通り私たちの帰りを待ちながら、
ひと眠りしようと思って
永眠したのだと思われます。

私は彼にただいまを言えなかったのがとても悔しくて
彼が目を覚ました時に私たちがいない世界にいて困惑しないか
彼は天国でうまくやっていけるのか
想像しただけで涙が止まりませんでした。

帰ってこれなくて本当にごめんね。
最後彼が目を閉じる瞬間にそばにいてあげられなくて本当にごめんね。


獣医さんは
この様子だと苦しみは最小限で天国に行けたと思いますと言ってくれました。
彼を思い出すと今でも涙が出ます。

私は彼からたくさんの幸せをもらいました。
たくさん心が安らげるひと時を過ごせました。
私は幸せでした。


彼は幸せだっただろうか?
天国でまた会えたら聞いてみたいです。
彼にまた会いたい。

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