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詩『goodness』

胎盤から剥がれ落ちた魂の容器  銀河の星粒ほしつぶが降り注ぐ格子、
自我の部屋には非常口がない 他者の言葉に溺れる外ない。
無限級数の回廊を昇り 発散されてはた振り出しに、
喉に溜めた血混じりのつばき 毀れた刃物で指し示す脳髄。

喧嘩する子がいたら止めましょう。
嘘をついたら正直に言いましょう。
聖人君子の絶対条件は善良なる模範生たること、
外れ者は問答無用で放棄しましょう。

痴情を垂れ流す魂の瘴気  酸素にそこなわれし玉鋼の原子、
自我の部屋には玩具おもちゃはない 他者の言葉を寄せ集める外ない。
無限級数の梯子はしごを昇り 収束されて復た黄泉の国、
頬に溜めた泥塗れの胡桃 くずれた瓦礫を突き進む後悔。

風防玻璃ふろんとがらすに亀裂が疾走る、
ひずんだ前景がまばゆく映える。
海原を掻き分ける自我の箱舟、
光を蝕む藻屑となるまで。



  


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