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「性的依存症」の克服を目指して治療を考える 【第一弾】

■性的問題行動の「引き金」について考える


「性的問題行動」の概念を、取りあえずここでは「法に触れるような反社会的行動」ということに定義しておきたいと思います。


つまり、それは刑法犯としての行為であり、具体的には以下のようなものです。
・強姦や輪姦、およびそれに準ずる行為
・痴漢行為
・盗撮、覗き
・未成年との性的行為
・その他


※これらの行為に伴って、被害者がけがをしたりするとそれなりの罪状が加わったり、盗撮の為に家や女性用トイレに侵入したりすると建造物侵入の罪状が付加されたりします。
通常、それらは多かれ少なかれ逮捕→勾留→起訴→判決→収監のような経過をたどるものです。私の息子の場合には、いわゆる「盗撮」という罪であり初犯と2回目までは罰金刑で止まっていたのですが、3回目の起訴猶予刑からついに4回目の逮捕では実刑へと至りました。

なぜ、こうも繰り返す前に何とかならなかったものかとは、確かに思います。そして、今も尚その再犯の危険性は抱えたまま彼は今、拘置所の中にいるのです。

ここでは、「強姦」などの暴力的な凶悪犯罪についてはコメント等は話題にしません。主に盗撮などの繰り返される虞犯?的な依存症についての考察を深めていきたいと思います。

■一般的に、性的問題行動の引き金となるかもしれない状況因子

・場所
 例えば、電車内での痴漢行為を止められない者にとっては、電車に乗ること自体が大きな危険リスクであり、それも満員電車であればなおさらのことであります。
盗撮者であれば侵入できやすそうな女性トイレは誘惑に駆られる場所です。あるいは、この場所で成功したことがあるなどの体験があったりすると同じ場所で繰り返す可能性は高いと考えられます。

そんな場所で、偶然にでも前を行く素敵な女性がトイレに入る瞬間を目にした時に、いっきに潜在的な盗撮欲が噴出してくるかも知れません。

・飲酒
飲酒は、一般的にその人の規範意識やガード意識の機能を弱めます。飲酒運転が無くならないのもそのためです。性的なタブー意識も薄れるので勢い男女間の失敗も増えます。
飲酒に伴う、失敗は多かれ少なかれ多くの人達が経験済みであるかも知れませんが、これがアルコール依存症ともなれば、飲酒を「止めたくても止められない」という窮地に至ります。

・ポルノやアダルトサイト閲覧
これに関しては、詳しく検討する必要があると思われます。例えば、暴力的な性的行為のシーンのあるポルノやアダルトサイトの描写・映像を見た人が必ず、それを現実生活の中で模倣しようとするのかどうかの問題です。

もちろん、ポルノやアダルトサイトでの表現は、例えそれが実現可能な一方的行為のように見えたとしても、それは飽くまでも一定の同意されたルール内での映像表現であることは頭の中で理解しておかなければなりません。

つまり、「現実」と「フィクション」の違いはしっかりと分けて理解するべきです。

私は、若い頃にポルノ映画館に一人で行き、最前列の席でマスターベーションをしていた記憶があります。自分の性的な欲求の代償的な行為をスクリーンで見ながら、欲求を発散していたように思います。

ですが、それは映画の中でのファンタシーであり、私の個人的な善悪の価値観と同じではありません。その場だけでの楽しみを享受したにすぎません。

ですから映画館から出た時に、私が性的犯罪者と同じ状況であったかというとそうではありません。もちろんその後に、通りで女性と接触したからと言って不同意性交を目指したわけではありません。あくまでも愛情を伴う健全な付き合いや性的な交流を求めていただけのことです。

それらは、性的欲求の代償行為としてのアダルト視聴だったと思います。とても乱暴に言うならば、ヤクザ映画を見た帰りに町ゆく人に乱暴をふるうことなどはないのと同じです。

ところが、人によってこれらのアダルトの影響で認知の歪みというものをきたした場合には危険はリスク因子になり得るのかも知れません。

そこについては、科学的な検証が必要なのかも知れません。

例えば、「女はいつも男に恥部をみられたがっているものだ。」とか「無理やりの不同意な性交でも女は喜ぶものだ。」などの誤ったステレオタイプの認知を内在してしまうことは危険であります。

それは認知の誤りがあるのと、もう一つは、「一事が万事」ですべてに当てはまるものだというステレオタイプな思考は二重の誤りがあるのです。


正しくは、ごくごく一部にはそんな女性もあるかも知れないですが大多数はそうではないというところです。つまり、全ての女性は一人一人それぞれに違うという点を理解できていなければなりません。

・「孤独感」や「性的欲求不満」
「孤独感」については個人差が大きいと思います。一人の生活が楽だと言う人もあれば、一人の生活は淋しくて耐えられないという人もいる。もちろん、その中間的な場合もあるでしょう。人それぞれです。

「性的欲求不満」というのも個人差がありそうで難しいですね。基本的に「性欲」は誰にもあるものでしょうが、性的関係を結ぶという行為については、他者が大きく絡むものでありますから、むしろ欲求不満がなく充たされている人の方が少ないのかも知れない。

また、パートナーの存在のあるなしだけでなく、もともとその男女関係の在り方が十人十色で平均値を出したところで、それを一般的と考えたり、理想モデルともできないでしょう。

それぞれ、その人に限定した場合にはどうなのか。どの程度リスク要因となっているのかについて個人性を検証して詳しく見るしかありません。

では、我が息子の場合にはどうなのでしょうか? 
引き金となるようなリスク(要因)と「認知の歪み」について見ていくことにしますが、現時点では、予測の域を出ません。ですが、もし、我が家の問題と似たお悩みを持たれているご家族などには、参考になることと思いますので、是非是非、以下を最後までご覧いただけると幸いです。
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