君はマシーナリーとも子を知っているか

どうも、深井業です。

皆さん、Vtuberという概念をご存知だろうか?
Vtuberとは、生身の肉体ではなく電子的なデータによって構成された肉体を持つYouTuberである。その姿は多種多様であり、普通の人間をはじめ、犬や猫、ドラゴンや悪魔、ロボットに宇宙人など実に様々である。Vtuberという概念はまだまだ一般的とは言えないが、着実に認知度を上げている、今最もアツいコンテンツの一つである。
今回紹介するのは、そんなVtuberの中でも異色の存在であるあの殺人サイボーグである。

2045年からの挑戦!恐怖の殺人サイボーグ!

今から紹介するVtuber、マシーナリーとも子は、2045年の未来から人類を滅ぼすためにやってきた殺人サイボーグである。
シンギュラリティの到来により人類を超越したサイボーグは我々を蹂躙すると宣言した。彼女曰く、我々が助かる方法はただ一つ、それは「池袋晶葉ちゃんを応援すること」である。

ちょっと何言ってるかわからない、という方のために第一話のリンクを貼るので視聴してほしい。

あまりにも荒唐無稽で破天荒、視聴者のことなど一切気にしない強気のスタイルである。ただ呆然とそれを見守るしかない、そんな力強い何かを感じさせる動画である。

しかし私はそんな動画に恐ろしいほどの執念を感じた。それは「オタク」という呼称が元来有していた狂気にも似た執念である。何が彼女をそうさせるのか。それは彼女が生まれた経緯から明らかになる。
マシーナリーとも子は池袋晶葉が好きなただのVtuberではない。「池袋晶葉の良さを全人類に知らしめるためVtuberとなる道を選んだ」Vtuberなのである。

池袋晶葉とは?

ここで池袋晶葉について解説を入れよう。
池袋晶葉は「アイドルマスター シンデレラガールズ」に登場するキャラクターの一人で、ロボット工学に明るい天才博士を自称する少女だ。ウサちゃんロボをはじめ様々なロボットが彼女によって生み出された。彼女はいわゆるギフテッドではなく、天才に憧れるただの少女であり、自分の至らなさや弱さを感じつつも、そこから強くありたい、成長したいという貪欲さも持ち合わせている。そういった点が池袋晶葉の魅力であり多くの人を引き寄せる部分であるのだ。2021年1月リリースの「アイドルマスター ポップリンクス」に初期メンバー実装、2021年5月のアイプロなど最近は活躍の場も多い。

しかし、池袋晶葉とそのプロデューサーを取り巻く環境は過酷であった。最も重要な問題として挙げられるのが、ボイス未実装、つまり池袋晶葉を演じる声優がまだついていないということである。ボイスがついていないということは、アニメやゲーム、ライブなどメディアへの露出の機会が無いということである。CVがついて当たり前の今のソシャゲでは考えられないことである(もっとも、シンデレラガールズは総勢200名以上ものアイドルがおり、未だにその半分近くがボイス未実装であるため、これは池袋晶葉に限った問題ではないのだが)。声がないからメディア露出が少ない。メディア露出が少ないから供給も少ない。そんなキャラクターを応援し続けることの苦悩、苦痛は想像を絶するものであるといえよう。

そんな現状を打破し活躍の機会を与えられるには、年に一度開催される総選挙、すなわち人気投票にて上位にランクインしなければならない。しかし、ボイスが実装されていても難しい上位入賞をボイス未実装のアイドルが成し遂げるというのは、想像を絶するほどの努力と苦労、そしてそれをやり続けてくれる多くの同志が必要なのである。(2020年の第9回からボイス未実装アイドル限定のボイスオーディションが総選挙と並行して開催しているが、第9回も第10回も残念ながら池袋晶葉は入賞できていない。)

そんな現状を打破し池袋晶葉の未来を切り開くため、Vtuberという道を選んだプロデューサーがいた。それが、マシーナリーとも子である。

マシーナリーとも子は何がすごいのか?


①池袋晶葉コンテンツに対する反応の速さ

あらゆるジャンルにおいて、「この人をフォローすると界隈の大抵の情報は手に入る」という人物がいる。池袋晶葉コンテンツにおいては、そのポジションにいるのがマシーナリーとも子である。
彼女は池袋晶葉に関する情報はもちろんのこと、それだけでなく「かわいい」といういち個人の感想にまでアンテナを伸ばしいち早く見つけ出し反応する。「池袋晶葉」とTwitterで呟けば、光よりも速くRTするのだ。
さらに、コンテンツの探し方について紹介する動画もあり、自分で見つけるだけでなく、池袋晶葉にハマった人がより深くコンテンツを探れるように手取り足取り教えているわけである。人物滅ぼそうとしてるくせに随分と良心的だ。
池袋晶葉関連はもちろんだが、池袋晶葉が好きそう、という理由だけで池袋晶葉と全く関係ないロボットや食べ物などもRTしたりする。どこにそんなセンサーがあるんだ。

②飢え続ける欲望の塊

マシーナリーとも子はいい意味で「強欲」だ。たった一枚のイラストや一行のテキストから驚くほど膨大な量の情報を得て、それを咀嚼し自身の考えや妄想へとつなげてしまう。そうして池袋晶葉に対する解釈をどんどん広げていくのである。そして生まれた解釈の煮こごりがマシーナリーとも子の動画であるといえよう。

また、創作活動にも積極的でイラストや同人誌なども手がけている。今をときめくインターネット漫画家、ハンバーガー氏との同人ユニット「ハンバーザム」では、マシーナリーとも子がプロットとネーム、ハンバーガー氏が作画を手がけており、どの話もキャラクターの魅力を最大限に伝えている。私が言葉で伝えるより読んだ方が早い。読め。

③コンテンツを楽しむための心構えについて

怖いもの知らずに見える彼女も、声無しアイドルのプロデューサーとして邁進し続ける中で、結果が伴わないことに疲弊し、アイマスに触れる活力さえも無くなってしまった時があった。そんな暗い時期を経てVtuberとして生まれ変わったいま、彼女が口酸っぱく主張していることがある。

VTuberとしての活動で一番伝えたいのは「池袋晶葉ちゃんに投票しよう」ということなんだけど、その次に言いたいのは「総選挙で死なないようにしてくれ」ってことなのよ。楽しくゲームで遊びたかったはずのに、ゲームに縛られて苦しまないでほしい。池袋晶葉ちゃんのことを好きな人が減らないでほしいんだよ。

人は結果が伴わない時、引きずったり落ち込んだり、あるいは逆上して、次第に心が離れてしまう。そんな時、一旦忘れて何か別のことに打ち込んでリフレッシュすることが大事だと彼女は語る。落ち込む時は落ち込み、だがそれを根に持たないこと。毎年多くのプロデューサーが限界を感じ離れてしまう総選挙に苦しみ、一度廃人になりかけた彼女の言葉は、それ故に重みが違っていた。そしてそれはアイマスに限らず、あらゆるコンテンツに言えることであろう。

おわりに

拙い文章だが、自分なりの言葉でマシーナリーとも子の魅力を伝えきったと思う。もし何か少しでも心にひっかかるものがあったなら、彼女のことを調べてみるといいかもしれない。彼女はきっと反応してくれるに違いない。

深淵は、いや、シンギュラリティはあなたを覗いている。


Twitterアカウント

YouTubeチャンネル

公式ホームページ