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インタビューで大切にしている20のこと 4/4 【現場編:佳境に入ってできること】

30年近く聴いて書くことを生業にしてきたライターのインタビュー術の最終回です。

第4回は、インタビューが佳境に入ってきたときに心がけていることをお伝えします。


16. 脱線を見極める① 実は脱線していなかった

インタビューは時として脱線するものです。でも、話し手にとって、それは自然なことだから脱線するのです。そもそも、質問案の流れは聴き手が考えたものでしかなく、話し手には話し手の自然な話の流れというものがあるのです。

だから脱線した場合は、焦らずに、そのまま話を聴きます。インタビューの本流に戻るタイプの脱線であれば、「脱線話を通じて、これを言いたいんだな」と分かる瞬間があります。それが分かれば、よい話の区切りで「〜〜ということですね」と簡潔にまとめれば、インタビューの本筋に戻っていくことができます。

17. 脱線を見極める② 脱線から話し手を救う

ただ、人によっては本当に脱線して帰れなくなる方もいます。そういった場合は、話の区切りでさっと「なるほど、ところで」と切り替えます。

話すことはエネルギーの発散行為です。水を吸ったスポンジは、水を絞らないと新しい水を吸収しないように、話したいことをちゃんと言葉にしてもらった方が、その後、こちらの話も聞いてくれるし、より意図に合った話をしてくれるものです。

ただ、時間は限られています。話し手自身が話しながら迷子になっている場合もあります。だから、切りのよいところで話を切り替えることは、話し手にとっても助かる場合があるのです。

18. あと一歩、相手に踏み込む勇気を

インタビューが進むなかで、「これは聴いてよいのだろうか」という思いが生じることがあります。

「これを聞くと基本的なこと過ぎて呆れられるかも」「相手が気分を害するのでは」など、ブレーキをかける自分がいます。でも、実は、その「モヤモヤ」した感じがとても大切なサインであることが多くあります。

勇気を出して、もう一歩踏み込んだ質問をする。きちんと準備していることが前提ですが、人は自分の話を理解しようとする聴き手の行為をありがたく感じるものです。その質問をしたことで、「よくぞ、聴いてくれた」と一気に話が広がることもあります。

逆に、質問をしたことで自分の観点があまり重要でないことが分かり、先入観が払拭され、その後のインタビューの軌道が修正されることもあります。

ぜひ、一歩踏み込んだ質問をする勇気を持ってください。

19. メンバーの力で"聴き高"を引き上げる

インタビューが終盤に差し掛かったとき、一度、企画者をはじめその場にいるプロジェクトのメンバーの方々に聞きたいことはないかを確認します。企画者から見て、足りない部分があれば補足の質問をしてくれるので、”聴き高”がアップしますし、企画者が考えるインタビュー記事の着地点を捉えるうえでも重要な情報となります。

もう一つは、自分自身の思考を整理する時間になることです。企画者にインタビューのバトンを渡してしまえば、その間は少しだけ緊張から逃れて考えることができます。残りの時間で聴いておくべきことはないか、改めて整理をします。そして、バトンがこちらに戻ってきたときに、「補足ですが」と質問をします。これで、インタビューは一通り完了です。

20. インタビューが終わったらすべてを忘れる

急ぎの原稿は別ですが、インタビューが終わったら、録音した音源のバックアップを取り、いったんすべてを忘れます。理想的には美味しいビールと食事を楽しみたいところですが、仕事をするとしてもインタビューとは関係のない業務をするようにします。

時間をかけて準備し、真剣に向き合ったインタビューの体験だからこそ、それをいったん忘れることによって、まったく別の行為である記事を書くことへの準備が始まるのです。

まとめ

シンプルに整理したつもりですが、実際に列挙してみると20項目もありました。インタビューのスタイルは人それぞれです。あくまで私が経験から体得したことですが、どれかひとつでも参考になるようであれば、試してみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後は、それぞれのポイントで、さらに書けることを別記事としてまとめていきます。

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簡単にインタビューで大切なことを知りたい方はこちらをどうぞ。


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