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闘うカスハラおばさん 現金は大事です

この数年で一番変わったこと。私の場合は現金をまったく使わなくなったことな気がする。娘のお小遣いさえPayPayなので、日常生活はスマホとクレカ1枚あれば事足りてしまう。財布を持ち歩かないことも増えた。

先日、自宅から20キロ離れた図書館に行った。パーキングから車を出す際に、まずい、100円玉が必要なタイプかもと気が付いた。見るとクレカはもちろん、PayPayも交通系ICも何も使えない旧式だった。

うわぁぁぁやってしまった。

一旦、車を戻し、車内を100円玉が落ちてないか探しまくった。あるわけがない。仕方ないので、オペレーターさんに繋がる受話器を持ち上げた。

「すみません、現金を忘れてしまいまして」。受話器の向こうから、そのまま待つように、と指示された。

待っていたら後続車がやってきて、運転席のおじさんが、「100円玉?あるよ」と声をかけてくださった。

ご厚意に甘えちゃいたいとは思ったが、返すのに困る。「ありがとうございます。オペレータさんにつながったので大丈夫です」とお礼を言ったら、おじさんも「つながったなら、よかった」とさわやかに去っていった。

まさかこの人が、砂漠で唯一のオアシスになるとも知らずに。大丈夫なんて言ってる場合じゃなかった。

戻ってきたオペレーターさんは「家からお金を取ってこい」と言うのだ。

いやいや往復40㌔ある。取りに行くから、一回、ゲートを上げてくれと頼んだら、「ゲートはお金がないと上げられないので、お金を取りに行ってください」と繰り返す。

わからずやだねぇ、この人も。私だって歩いて取りに行けるならそうしてるわ。

私は外面良子(そとづらよしこと読みます)なので、「あんたもわからずやだねぇ」と言いたいのはぐっとこらえて、「取りに行きたいのはやまやですが、この辺は電車も通っていないし、車がないと無理なのですが」と言ったら、「お金をおろすか、誰か頼れる人に頼ってくれ」と容赦がない。

財布を忘れたからキャッシュカードはない。初めて来た場所に頼れる人なんて誰もいない。家族にお金を持ってきてもらおうにも、電車はないし、わが家唯一の車は目の前にある。娘が学校から帰ってきたら自転車で持ってきてもらう? ここであと7時間も待つわけ? タクシーで取りに行く? 一体いくらかかるんだ。

「キャッシュカードは手元にないないし、頼れる人がいないので、あなたに頼んでいるのですが」と食い下がったら、こやつ「何とか方法を考えてください」とどこまでも非情である。

くそっ。

話しててもらちが明かないので、スマホで交番を探した。800メートル先にあった。

暑い中、てくてく歩いて行ったものの交番は無人だった。20分待ったが、お巡りさんは一向に帰ってこない。

だんだん腹が立ってきた。私営ならともかく、公共施設のパーキングでこれはないだろうと。戻ってもう一度、お金を取ってくるからとにかく一回出してくれ、と交渉したら、敵もしぶとく「それはできない」と頑張るのである。優秀といえば優秀。サラ金か何かで働くべきだと思ったけど。

ハナコ50歳。幼少期より温和なハナちゃんで通ってきたが、いかんせん更年期。導火線は未だかつてないほど短いのである。生まれて初めて「責任者の方に代わっていただけますか?」とのセリフをはいた。

小心モノなので、昨今話題のカスハラに該当したらどーしよーとはおもった。が、20㌔離れた自宅まで歩いて100円を取りに行けというのもハラスメントではなかろうか。(財布忘れた自分のミスは棚に上げています)

責任者の男性も「ゲートは上げられない」と頑張っていたが、既に1時間以上が過ぎていた。バカバカしいにもほどがある。「わかりました。往復40㌔を歩いて100円玉を取りに行けというならば、市役所に一部始終を報告し、改善の要望を出させていただきます。御社は市の委託先のようですが、あなた様の御所属とお名前をフルネームで教えていただけますか」と言った。

すると「ゲートを上げますから、今からいう口座に100円を振り込んでください」というではないか。振り込みなら即、スマホからできる。いままでの不毛な時間はなんだったんだ。しかもゲートを上げる前にカメラに向かって、免許証を見せろという。

これでもかぁ~~というくらい、免許証を近づけてみせてきた。で、意地悪して「あなた様の御所属とお名前は?」と、もう一回、言ってやった。

聞いたとこでどうするわけでもないが、おそらく敵の弱点はここしかない、この闘いに負けてなるものか、という気分だったのだ。自分が100円忘れたのが悪いのに、おばちゃんってつくづく嫌な生き物です。

ここまで書いて、今更ながら図書館でお金借りればよかった気もしてきた。

とにかくいくらキャッシュレスの世界を生きようとも、現金、超大事と思ったわけです。














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