VRChat内のお砂糖コミュニケーションと新しい関係性についてのレポート(怪文書)
はじめに
本拙稿を投稿するにあたり、インタビューを受けてくださった方々、また執筆するに際しアドバイスをいただいた方々に感謝し、御礼申し上げます。
また、本稿は特定の人物、集団に対してのものではなく、単純な興味から派生している怪文書であり、執筆者以外への誹謗中傷は一切を禁止させていただきます。
概要
新しい形のSNS”VRChat”
お砂糖という概念
お砂糖コミュニケーションの醸造
未来に生きるお砂糖関係(希望的観測)
まとめ
1. 新しい形のSNS”VRChat”
皆さんはVRChatをご存知でしょうか、もしくは、こんな拙稿にたどり着くある意味マニアックな方々は当然ご存知かもしれません。
上記引用の正確性はともかく、VRChatは、今までのMMORPGや数多のソーシャルゲームのような不完全なメタバース要素を取り込みつつ、より最先端のVR技術を用い、人類に新しいコミュニケーションプラットフォームを提供しているサービスです。
VRChatでの体験はまさに”百聞は一見にしかず”です。経験したことのない方であれば、老若男女問わず、ぜひVRヘッドセットをかぶってみてほしい、そこにあるのは新しい体験との邂逅です。
VRChatに参加しているプレイヤーは、自分の好みのアバターとなり、自分の好みのロールプレイングを行えます。どのワールドに行き、誰と会話し、どのようなコミュニケーションを築いていくのか。そこには現実社会にある様々な無意識、あるいは意識低な制約はなく、それぞれのプレイヤーがしたいことを非常に自由に行える環境があります(もちろん最低限のモラルを守ってのことですが)。
2. お砂糖という概念
前述した通り、自由で新しいSNSであるVRChat内には現実世界にはない新しい概念が発生します。その中で最も特徴的なものの一つとして挙げられるは、”お砂糖”という関係性です。
このお砂糖で特徴的な点は、VRChat内において、年齢、性別のくくりなく当該関係が形成されているという点です。
より注目したいのは、恋人やカップルとしての意味合いだけでなく、親密な友人、パートナーや親友を呼称するための言葉としても、この用語が使用されている部分です。
この点から、お砂糖関係を築いている当事者たちの意識として、代表的なものは下記と推測されます。
- 恋人としてのお砂糖
- パートナーとしてのお砂糖
- 親友としてのお砂糖
ただ、これは現在の実態を伴うコミュニケーションに当てはめて推測したものでしかなく、新しいコミュニケーションプラットフォームであるVRChat内で何が起こっているのか、どのような関係性を当事者たちが築いているのかは、サンプル数の少なさから定義が難しいと考えます。
ここからは私の推測でしかありませんが、そこには今までの社会生活を前提とした関係性とは全く違う、新しいコミュニケーションの形があるのでは、と考えています。つまり、上記に追加するとすれば、
- 現在の概念では定義できない新しい関係性としてのお砂糖
が、VRChat内に自然発生している可能性があります。
3. お砂糖コミュニケーションの醸造
ここまで記載していた内容は、すでに出来上がっているお砂糖関係を、第三者として、定点的かつ一部の時間軸だけを抽出した内容です。当然ではありますが、SNSの側面を持つVRChat内では、時間の流れとともに関係性も変容します。
お砂糖関係において、時間経過とその当事者の見る景色、考えることの仮説を下記に記載します。
- 前期(欲望期): お砂糖になりたい!
- 中期(お砂糖関係期): お砂糖は楽しいし安心できる最高の関係!だけど・・・
- 後期(破局期): 私達もう終わっちゃうんだ or 終わっちゃったんだ。
この時間経過において興味深いのは、前期に望んでいたお砂糖関係を構築できたとしても、中期を経て後期に至る時間経過の中で、先の見えなさ、将来の展望のなさ、あるいは先人たちの築いてきたレールが存在しないことから、多くのお砂糖関係が破局にいたり、その後双方は精神的に大きなダメージを、あるいはコミュニティには関係性の崩壊を、多くの場合は受容せざるを得ない状況に陥ることです。穿った見かたをすれば、”お砂糖関係のメリット<お砂糖破局後に受容するデメリット”となります。(この点は要検証)
皆さんが考えるお砂糖関係はどのようなものでしょうか。全く新しいパートナーとの関係性としてのそれ?同性同士の恋愛関係?バーチャル上でのシミュレーション?あるいは単に仲の良い友達と関係性を深めるためのものかもしれません。その関係性の中で注目したいのは、身も蓋もない話ですが、現実社会で食物を摂取し、睡眠を取り、排泄を行う人間としての生物的本質から逃れられない現実です。より曲解すれば、現在多くのお砂糖関係が陥っている罠は、こと新しいプラットフォームであるVRChatにおいても、現実のコミュニケーションという足かせの下、本来不要かもしれない”将来性”という言葉に惑わされ、その関係の多くが崩壊に至っているということではないでしょうか。
仮想現実であるはずのVRChat内でも、リアルの世界との関係性に足を取られ、それぞれの世界の間、及び時間経過の内で葛藤する、また、あいまいな、社会的に定義されていない関係、”お砂糖”において、相互の思いが統一されていないがために、互いに思い合っているはずの二人がすれ違うことで、より複雑な関係性を作り上げていく、これこそが、この関係性をより魅力的にさせているの一因なのだと推測します。
4. 未来に生きるお砂糖関係(希望的観測)
第2項、第3項では、この特殊な関係性の斬新さ、また、その関係性継続の難しさを論じてきましたが、この項では将来的にこの関係性がどのように発展していくのかを考察していきます。
VR機器の発展、普及により、現実世界にお砂糖という概念が普及したと仮定して、その関係性がどのように発展していくのか、また、定義づけられていくのかを、可能性の高いであろう下記3つの関係性から考えます。
- 現実の恋人関係と同意義のお砂糖(恋愛形)
- 親友等仲のいいパートナーとしてのお砂糖(親愛形)
- 新たな関係性としてのお砂糖(新概念形)
とはいえ、恋愛形、親愛形については、どちらかというと現実世界のコミュニケーションに影響され、すでに我々がよく知る関係性の類似形として定義されるでしょう。恋愛系は、擬似的な、あるいは新しい恋愛の形として発展していくパターンです。これは継続が難しいことからメインストリームになるのは難しいのではないでしょうか。また、親愛形についてはより難しく、すでに存在している友人関係という概念を上書きするほどの規模感になると考えるのは難しいでしょう。
特に考えたいのは3つ目の新概念形で、新しいパートナーシップの形としてお砂糖が定義づけられる形です。VR機器を使用したことのある方ならご理解いただけるかと存じますが、現在のVR機器の進化は凄まじく、一般向け機材でも現実のコミュニケーションに近い体験が得られます。また、フルトラッキングという技術を使用すれば、あたかもVRChat内のキャラクターが生きているかのように錯覚する瞬間があります。このような体験を通じ、恋愛や親愛とは違う、もしくはその中間に位置するような新概念が発生するかもしれません。今後もより多くの当事者、関係者に話を聞き、もっと深堀りしたいテーマです。
5. まとめと所感
こんな怪文書を見るな
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