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【不適】#30DaysFilmChallenge DAY12

「宇宙でぼっち」系作品の出来は主演で決まる。

広大な宇宙空間にひとりぼっち。そんな設定の作品が好みだ。スクリーンに映し出される宇宙は、映画館の暗がりによく馴染む。観る側であるこちらも一人であることが多いので、「宇宙でぼっち」系は、作品の世界にダイブして、主人公とシンクロしやすいジャンルのひとつだ。「宇宙でぼっち」状態にある主人公をサポートする地上スタッフには出来るだけ姿を見せてほしくない(管制室の様子なんて不要だ)し、「劇場でぼっち」状態にあるボクの席のまわりには出来るだけ誰にも座って欲しくない。

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この30日間のチャレンジで安易にピックアップしないという縛りを設けている『2001年宇宙の旅』や『ゼロ・グラビティ』『ファースト・マン』『インターステラー』(アン・ハサウェイがバディなんて、およそ現実的ではないから、実質ぼっちとみなして良いかと)…といった作品には最適な役者がキャスティングされている。「宇宙でぼっち」という設定である以上、基本的に主演俳優が出ずっぱりなのだ。観る側が夢中になれない役者を起用してしまっては、いくら最新の科学的考証に基づいた脚本や舞台を用意しても。「何一つ観るべきところのない、つまらない作品」に成り下がってしまう。

好きなジャンルの苦手な映画

というわけで今日のピックアップは、ボクが大好きなジャンル「宇宙でぼっち」系の中から、「夢中になれない役者」を起用した作品となる。後で触れるけれども、ただでさえ主演俳優が好きではないのに加えて、この作品は公開された時期、タイミングが悪かった。しかし、それでも容赦なく「本当に苦手だ!」と宣言しておこう。

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マット・デイモンは「宇宙でぼっち」に向いてない。

マット・デイモンは悪い役者ではないと思うのだけれど、作品に恵まれていないような気がする。主演作品はそこそこあるのだけれど、彼の良さが出ていない。マット・デイモンにはちょっと屈折したキャラ、精神的に未熟、不安定なキャラ、何だかいけ好かないキャラ、あまり人に好かれないキャラ、が合うと思う。ヒットした「ジェイソン・ボーン」シリーズも、記憶喪失という不安定なキャラクターが彼の個性とマッチしたのだと思う。個人的には彼のベスト作品は『リプリー』だ…という、マット・デイモン評価なので、主人公と向き合い、シンクロさせることを楽しむ「宇宙でぼっち」系作品には「向いていない」と思っていたのだけれど、観てもいないのに、そう決め付けるのは良くないなと思って鑑賞したわけですが…やっぱり無理でした。

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マット・デイモンが演じる宇宙飛行士マーク・ワトニーはエンジニア兼直物学者(そんな組み合わせあるのね)…とにかく冗談好きで明るく前向きな好人物。火星探索ミッション中に起きた事故に巻き込まれて死亡したと誤認されて、たった一人、取り残されるも、次のミッションで火星に別チームが来る4年間、知恵と勇気と元気を振り絞って生きながらえるという話なのだが、どうにも共感、応援できなかった。表情の作り方がまずいというわけではないのだけれど、明るい振る舞いが素直にスッと入ってこなかった(個人の意見です)…顔の作りのせいか?他のキャラクターの印象なのか?それにしても、あんまりじゃないか?何故だろう…しばし考えて、気付いたのだ。彼は『オデッセイ』の公開前年、別の「宇宙でぼっち」系作品、『インターステラー』でも星に取り残される博士役(マン博士)を演じていたのだ!

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地球に住めなくなった人類が、技術の粋を結集して外宇宙に人の住める惑星を探索するミッションを実施。そのリーダーであるマン博士がマット・デイモン。やっとのことで到着した惑星はリサーチとは違い、人が住むには過酷な環境と分かるも、機材が壊れて地球に帰還することが出来ない。ならばと「ここ住める星だよー!早くおいでよー!」と地球ににウソの情報を発信して、後発隊を騙して自分だけ助かろうするという「きわめて人間らしい役」なのだ。このマン博士が、マット・デイモンにぴったり過ぎた。

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『インターステラー』でマン博士を演じた翌年に、真逆の「すぐれて人間らしくない役」、マーク・ワトニーを演じてどうするよって話。『オデッセイ』の監督はリドリー・スコット。世界観の構築に徹底する巨匠がまさかのミス?…老いたか?とすら思いましたよって、話です。


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