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【邂逅】#30DaysFilmChallenge DAY1

映画館の営業再開が発表された夜に始める理由。

友人・知人がSNSにアップしているのを目にしても、すぐに自分もやってみようと思わなかった「30日映画チャレンジ」をいよいよやってみるかとなったつい先ほど、緊急事態宣言が解除されて馴染みの映画館の営業が再開されることを知った。元々は映画について語るより、ただひたすら観ていたい方ではあるのだけれど、映画館に行くことのできなかった2ヶ月あまりでボクの中で「映画」というものが良く分からなくなってしまった。一緒にいることが当たり前のワイフと2ヶ月離れて暮らしたらどんな感じになると思います?…ちょっと考えてしまうでしょう?緩やかに日常が回復・修復されていくうちに、「何でそんな風に考えこんでしまったかなあ」と思うかもしれないけれど、せっかくの機会なので、映画そのものと、映画館という場所について見つめ直す30日間のリハビリテーションとして(すっかり放置していたnoteをさわるきっかけとして)チャレンジを始めてみようと思った次第。

【DAY1】自分の覚えている中で初めてみた映画

自分の覚えている中で初めてみた「暗闇の中のスクリーンに映し出された映像」は、近所の公会堂で目にした『サイボーグ009』と『ゲゲゲの鬼太郎』と、交通安全の啓蒙映像という三本立てだ。おそらく夏休みの子供向けイベントだったのだが、いずれも何故か古い時代のモノクロ映像でとにかく怖かった記憶しかない。企画責任者にその選択の意図を問いたいところではあるが叶うわけでもないので、せめてアレを「初体験」から外すことを許してほしい。「真っ黒な白昼夢」を除外して、セカンドバージンを捧げた作品がこちらである。

『ウルトラ6兄弟 VS 怪獣軍団」

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1979年公開の作品。当時のボクは幼稚園の年長さん。そりゃあウルトラマンにハマっていましたよ。デパートの屋上で怪獣ショーとサイン会が開かれた時は狂喜乱舞で、イベント終了後に楽屋に引き上げたタロウとレオを追いかけて、ふたりのウルトラマンの上半身から汗まみれのおじさんふたりが生えているのを目撃して声を失うほどの熱心なファンでした。そこまで好きなら映画も観に行くかと父が有楽町の映画館に連れていってくれたわけですよ。このポスターもよく覚えていますとも。でもね…実際はポスターと違う内容だったのですよ。

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「誰やねん、お前?」…と、関西弁でツッコミを入れることはありませんでしたが、衝撃を受けましたよ、大好きなウルトラ6兄弟のセンターに陣取る、初見の「猿」に。いま見ても震えが止まりませんわ。

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そもそもこれは、タイの制作会社によるタイ国内で向けの作品で、タイで人気の神様「白猿ハヌマーン」を主人公とした『ハヌマーンと7人のウルトラマン』というタイトルだったのです。そこそこ大きくなってから色んな事情…タイの制作会社の社長が若かりし頃、東宝撮影所に留学して円谷英二や円谷皐らと親交を深めていた縁で作られたこと、当初は日本で公開する予定はなかったこと、「ウルトラマンレオ」がいまいち人気が出ない中、変わらず人気の高い「6兄弟」が出てくる作品を市場に送り込むために急遽、逆輸入して公開したこと等々…作品についての詳細は以下のページで興味ある方にはじっくり読んでもらうとして…

そんなこと知る由もない「とにかくウルトラ6兄弟の姿が見たくて、父に初めて映画館に連れられてこられた幼稚園児」が、どんな気分でスクリーンを眺めたと思います?自宅のテレビでは味わえないウルトラマンの変身・巨大化のシーンに期待していたのに、これですよ(ハヌマーンに罪はない)

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Q1:期待に胸を膨らませて初めて観た映画がこの作品というチビッコが、その後どんな大人に成長したと思いますか?

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Q2:ウルトラマンが空を飛ぶ姿に期待していた幼稚園児に、謎のポーズの猿を見せたら、どんな風に映画を味わうようになると思います?(いまあらためて観ても難解な内容/タイの人たちやハヌマーンに罪はない)

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Q3:ウルトラ6兄弟とハヌマーンを引き合わせたのは「ウルトラの母」。母親に対して反抗的になりがちだった幼稚園児は、その後、作品の重要人物となり得る女性キャラをどのように捉えるようになったでしょうか?

思えばこれが「すべてのはじまり」だった。

ボクが足繁く映画館に通うのには、いくつかの理由がある(のだと思う)。おそらく、良くも悪くも「裏切って欲しい」と願っているのだろう。認めてしまうのはどうかと思うが、どちらかと言えば、悪い意味で裏切って欲しいのだ。「何でこんな作品を撮ろうと思ったのだろう?」「いや、むしろこの作品を選んだ自分が悪いのだ」「んん?この作品、そんなに悪いか?」といったモヤモヤを映画館の暗闇の中で楽しむのが結構…かなり好きなのだと思う。いわゆるB級映画を求めているのではない。うまく説明できない感情だ。どう捉えたら良いのだろう?…映画と映画館について語ることで、何かをつかむつもりでいたのだけれど、初日から自分が映画と映画館に何を求めているのか、ますます分からなくなってきた。おそらく、この30日間のチャレンジを通して明らかになってくるのだと思う(知らんけど)。


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