第17回書き出し祭り感想 1-01『陰陽師たちと不可思議のこと』

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陰陽師たちと不可思議のこと

良かった所

前々回の第15回書き出し祭りで感じた1-1でこれがくるか!
と思わせてくれる実にレベルの高い書き出しだったと思います。
平安時代・式神を操る陰陽師という設定でありながら、そこから推理ミステリというジャンルに持ってこられるとは、その発想に驚かされました。

また、京極帝のキャラが実に素晴らしいと思いました。
帝らしいカリスマを持ちながらも、愉快に一方で辞世の句を読み始めたり、吐いてしまったりとこの物語において非常にいいキャラをしていると思います。

シリアスさをしっかり兼ね備えながら、どこかコミカルな笑いも仕込んでくる辺りのバランス感覚も非常に良かったと思います。

気になった所

『九六八年、平安京』とあらすじにあることから、史実をベースにフィクションを混ぜた感じになるのかなと思っていたのですが
登場人物の名前や階級が史実と合致しない。特に帝の名前が全然違うところで、
ああ、これは完全にフィクションの世界観で書かれてるんだなと察しました。
完全にフィクションの世界観として書かれるならば、年月は入れないほうが良かったかもしれません。

あと、網代が死因は硫黄としておられますが、厳密には青い死体になっているということなので硫化水素が死因だと思われます。
硫黄を直接摂取しても硫化水素は発生しません。硫化鉄辺りならば胃液で硫化水素を発生させるとは思いますが、硫化鉄は自然発火する物質なので難しい……。
もちろん、硫黄という言葉が現代の硫黄ではない可能性もあるので、ここらへんはちょっと意地の悪いツッコミかもしれません。

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