メダカブーム
今は空前のメダカブームらしい。
我が家にも、スーパー幹之と流星の2匹がいる(正しくは「スーパー幹之」じゃないし「流星」じゃないんだけど、詳しくは後述する)。
噂に聞くところによると、過去には1匹100万円の値がついたメダカもいたらしい。
今ブームになっているのは「改良メダカ」。
いわゆる品種改良の末に生まれてきたメダカたち。
品種改良のポイントは多岐にわたり、色、ヒレ、ラメ、体形、目などなど。
スーパー幹之とか流星、楊貴妃、オロチなど、名称がつく改良メダカには明確な基準があるらしい。
○○牛とか、○○メロンとか、いわゆるブランドと呼ばれるものと一緒。
明確な基準を作ることによって、他と差別化し付加価値を高めるというもの。
ホームセンターの中にあるペットショップとかにいくと、有名な改良メダカしか売っていないけど、街のペットショップなどにいくと、様々な種類の改良メダカが様々な値段で売られている。
たいがいメダカの種類ごとに、水槽とかケースに入れられて売られていることが多い。
じっくりと眺めていると、1つの水槽や1つのケースの中に、様々な色や形のメダカが入れられていることに気づく。
しかも、1匹120円とかで売られている。他の改良メダカ から比べたら破格の値段。
店員さんに、「どうしてこんなに安いんですか。」と聞いたことがある。
答えは非常に単純で「規格外だから」ということであった。
つまり、色や形などの一定の基準を満たしていないので、「スーパー幹之」とかの名前をつけてもらえないメダカたちなのだ。
野菜とか果物でも、味は変わらないのに、ちょっと大きすぎたり、色が悪かったりするだけで、安いのと一緒。
最近は、安さ故に規格外の野菜とか果物にも一定の人気があるけれど、果たして規格外のメダカたちにはニーズはあるのだろうか。
そんなことをつい思ってしまい、我が家にいるメダカは2匹とも規格外のメダカ。
もちろん、値段が安いということもあるんだけれど、特別支援教育に関わる身としてはどうしても見過ごすわけにはいかないような気がした。
メダカ×特別支援教育に関しては、他にも気になることがある。
ペットショップにいくとたまに見かけるんだけれども、明らかに体の形が歪で泳ぎ方が他のメダカを大きく違うメダカがいる。
品種改良の負の側面を見たような気がして、なんだか薄暗い気持ちになる。
でも、ついそのメダカに見入ってしまう。体を縦にしてしか泳げず、他のメダカのように餌も上手に見つけられないんだけれど、精一杯餌を食べている。
どんな形で生まれようと、生きようとしているメダカ。
メダカの世界には、障害という概念も、差別という行為もない。
あるのは、強いものが生き残り弱いものは死んでいくという自然の摂理だけ。その摂理の中で、先ほどのメダカも必死に生にしがみついていたのだ。
人間の世界はなんて複雑なんだろう。
障害という概念もあるし、差別という行為もある。
昔から人間は、植物や生物の品種改良を繰り返し、その恩恵を存分に享受してきた。でも、その過程には多くの犠牲があったんだろう。
品種改良という考え方を、人間に当てはめると優生思想につながっていく。
人間は植物や生物だけに飽き足らずに、自分たちを品種改良しようとした過去がある。
特別支援教育に携わるものとして、こういった感覚は失わずにいたい。
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