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【ヤクルト】Look-Back on Swallows #28 <日本シリーズ!>

こんにちは。でぃーだ(@Dee_bbyS)です。

私なりの視点で特定の試合・カード・週間等を切り取って簡単に振り返り、出来る限りポジティブに書いていく「Look-Back on Swallows」第28弾。

今回は6年ぶりの進出となった日本シリーズについてです。過去の振り返りは下のマガジンより。


・総評:20年ぶり6回目の日本一!🏆


ということで(今更オブザイヤーではありますが)オリックスとのSMBC日本シリーズ2021での戦いぶりを振り返ってみましょう!

11/20(土) ●3-4× 先発:奥川恭伸 7回 1失点
11/21(日) ○2-0 先発:高橋奎二 9回 0失点○(完封!)
11/23(火) ○5-4 先発:小川泰弘 6回 3失点(※自責点2)
11/24(水) ○2-1 先発:石川雅規 6回 0失点○
11/25(木) ●5-6 先発:原樹理 5.2回 2失点(※自責点1)
11/27(土) ○2-1 先発:高梨裕稔 4.2回 1失点


ということでご存じの通り、見事東京ヤクルトスワローズが20年ぶり6度目の日本一を達成しました!

全ての試合が2点差以内の決着となったこともあり、常に接戦で白熱した歴史に残る日本シリーズとなりましたね。


ここからはいつものように振り返っていきたいのですが、1試合1試合の振り返りはnumberや週刊ベースボール等の雑誌にもありますので、こちらをご確認いただきたく。


そして今回は、日本シリーズ前に出したこちらのnoteにて日本シリーズの40人ロースターの全ての選手について触れていましたので、それをなぞるような形で振り返っていこうと思います!
(更新後も適宜追記修正を行いますがその点ご了承ください)



【先発投手】

予告先発を採用しないで開催された今回の日本シリーズ。
それを逆手に取って(?)オリックス中嶋監督は第1戦からユニークな形で予告先発を行うなど、激しい情報戦が繰り広げられました。
(下は第4戦終了時のもの)

一方のヤクルト高津監督
予告先発を拒否したことからも分かるように、まったく先発を明らかにせず。むしろ第6戦の前には下のように選手たちがそれぞれ攪乱コメントを出すなど、情報戦を逆手に取って楽しんでいたことが分かります。

一方、ヤクルトはこの日も先発投手を明らかにせず。報道陣が集まる16時半には奥川恭伸や高橋奎二、高梨裕稔らが参加した投手陣のみの練習を終えたが、第3戦で好投した小川泰弘は「俺だよ!」と明日の先発を宣言し、田口麗斗は頭部を触りながら「俺が練習に参加しているということは……?」と先発登板をにおわせるなど、投手陣がこぞって報道陣を翌日の先発情報で“かく乱”した。

  https://npb.jp/nippons/2021/dailyreport_1126.html

結果的に、第6戦まで行ってすべての試合で異なる先発投手をマウンドに上げたヤクルト。過去には7試合目までもつれた際に6人目の先発はあったようですが、6試合で6人の先発投手が登板したのは史上初。まさに今年のヤクルトの先発投手の”量の強み”が出た起用と言えるでしょう。

そして何より、先発全員が5回持たなかった2015年と比較すると、日本シリーズでのQS達成が実質5人もいることからも分かる通り、ヤクルト先発のレベルが上がっていることが分かるかと思います。

さて、ここからは1人ずつ見ていきましょう。


・奥川恭伸(第1戦,(第7戦))

7回 97球 被安打6 奪三振3 与四死球2 失点1

大方の予想通り、日本の大エース山本由伸とのマッチアップとなる第1戦には奥川恭伸をぶつけてきました。
高津監督も「ぜひ、奥川に山本投手をぶつけたいと初戦に指名しました。」というコメントを出しており、この辺りも高津監督らしいですね。

この日はコントロールが(奥川恭伸比で)バラついたりしてオリックス打線に良い当たりをされるケースも多く、決して本人にとっても満足のいく内容ではなかったと思います。
ただ、結果だけなら山本由伸の上を行く7回1失点と見事なピッチング。大逆転でのサヨナラ負けを喫したこともあり本人に勝ちこそ付きませんでしたが、今後の自信にもなるのではないでしょうか。

また、日本一が決定した後の球団公式YouTubeにて、本人の口から「第7戦に投げる予定だった」旨が語られていました。続けて、「(チームが日本一になれたので)投げなくて良かったです」とも。

そして高津監督は、後日談として第7戦の先発を事前に告げていたことを明かしました。奥川に関しては”決まった時間までに調整を行うことが出来る先発での登板を徹底しているので、こちらも予想通りですね。

――結果的に第6戦で日本一に輝きましたが、球団公式YouTubeを見ると、「今日決まってよかったです。明日、投げる予定だったので」と奥川投手が語っている場面が流れました。これは第7戦での先発、あるいはリリーフ登板、どのような想定だったのですか?

高津 先発です。CSファイナルでジャイアンツを完封した後、すぐに監督室に呼んで、日本シリーズの初戦と7戦目の先発を告げました。京セラドーム大阪での第1戦を終えたときにも、「もう一回、投げるからね」ということはベンチにいる時点で言ってありました。

https://www.alphapolis.co.jp/business/official/takatsu/5787?page=3


次の高橋奎二の項とも通じますが、投手力が課題と言われていたチームにおいて、この若さで最終決戦を任せられるような投手が出てきたことが何よりも嬉しいですし、そういった投手が日本シリーズや日本一を経験したことがこれからのチームにとっての大きな財産になることでしょう。


・高橋奎二(第2戦)

9回 133球 被安打5 奪三振5 与四死球2 完封!○

こちらも予想通り第2戦の先発。
第1戦を守護神マクガフの大乱調のサヨナラ負けで落とすという嫌な雰囲気の中、プロ入り初完投・初完封という偉業をこの大舞台で成し遂げてくれました!

(後に改めて良く分かりますが)マクガフのことを深く信頼していたとはいえ、前日の結果があり、点差も少ない中で完投経験がなかった高橋奎二に8,9回のマウンドを任せたこと。そしてその期待に応えた高橋奎二は本当に立派でしたね。
2軍監督時代から息子のように接してきた高津監督にとって、最高の瞬間だったのではないでしょうか。

シリーズを1勝1敗のタイに戻したこともそうですが、前日にサヨナラ勝ちでオリックスに大きく行っていた流れを強力にヤクルト側に引き戻したことに本当に価値がありましたし、その後の日本一に大きくつながる投球だったと思います。MVP級の優秀選手賞でしょう。

また、その後は第7戦に向けてスタンバイしていたとのこと。

「7戦目に入った場合、高橋投手はブルペンに入る予定だったのですか?」 日本シリーズから時間が経っていたこともあり、左腕はすぐに“答え”を教えてくれた。
ブルペンに入る予定でした。(先発で)奥川が投げて、僕は中継ぎ待機。『2人でいくぞ』ということは、監督から言われていたので」

https://hochi.news/articles/20211217-OHT1T51043.html?page=1

奥川の項にも書いた通り、第7戦では登板する時間が決まっていて調整が比較的やりやすい先発で奥川恭伸を起用し、行けるところまで行ってから高橋奎二で繋ぎ左右の若手エースで勝利をもぎ取る作戦だったのでしょう。
そう、お気付きの方もいらっしゃるでしょうが、この高橋奎二の起用法はリーグ優勝決定戦の時と同じ起用なんですよね。こういった”予行練習”がしっかり出来ていた運用には改めて脱帽です。


・小川泰弘(第3戦)/石川雅規(第4戦)

小川泰弘:6回 97球 被安打5 奪三振7 与四死球1 失点3(自責2)
石川雅規:6回 77球 被安打3 奪三振5 与四死球1 失点1(自責0)○

こちらも予想通り第3戦に小川泰弘、第4戦に石川雅規の先発となりました。

シーズン終盤にはどちらも調子を落としていましたが、流石と言うべきか大舞台である日本シリーズでは小川泰弘は6回3失点(自責2)、石川雅規は6回1失点(自責0)としっかりと役割を果たしてくれました!

日本シリーズ第3戦での小川泰弘さん(筆者撮影)

勢いのある若手にはまだまだ負けないぞ、という気持ちが感じられましたし、結果的にこの2試合でどちらも勝ちを掴み取ることができたのは、長年チームを支えてきた両投手の意地と言えるのではないでしょうか。

小川泰弘はFA宣言するも結果として4年契約を結んでからの残留初年度。色々と言われながら(※コロナ離脱もありながら)もチーム最多の128.1回を消化したことは間違いなく大きな働きでしたし、日本シリーズの舞台でもしっかりと役割を果たしてくれたのは本当にデカかったです。

そして、なんと言っても石川雅規はプロ20年目での日本シリーズ初勝利。40代での勝利は71年ぶり2度目の大記録だそうで。

どこまでも謙虚にチームのためにスワローズ一筋で腕を振り続ける石川雅規が日本シリーズでの勝利投手、そして日本一を掴み取ることが出来たことは本当に良かったなとつくづく感じます。

また、第8戦以降を想定し、第6戦の試合前に2人が投球練習をしていたとのこと。高津監督が”第5戦の時点で想定していた第8戦”ではこの2人のリレーとなっていたのでしょうか。真相が明かされることはないかと思いますが、ファンとしては想像したくなることですよね。

高津 詳しいことは言えないけど、第2戦を1勝1敗で終えたときに、当初のプランから別のプランに変更しました。それで試合が進んでいって、第4戦が終わって3勝1敗となったときにまたプランを変えました。このときには第8戦のプランも入っていましたね。
――つまり、日本シリーズ当初は「プランA」でスタートしたものの、第2戦終了後に「プランB」となり、第5戦後には、第8戦も見据えた「プランC」になったということですか?
高津 言えることと、言えないことがあるんですけど、まぁ、そういうことです(笑)。で、3勝1敗で第5戦を迎えるときにはすでに第8戦を考えてはいました。第6戦も延長12回表、ツーアウトランナーなしだったので、「引き分けもあるな」という思いで第8戦のイメージはしていました。

https://www.alphapolis.co.jp/business/official/takatsu/5787?page=3

後日追記:第7戦,8戦の先発起用については、その時々に応じて様々なことを考えていたそうで…改めて難しい起用をしていたのだなと痛感しました…。


・原樹理(第5戦)/高梨裕稔(第6戦)/金久保優斗(救援待機)

原樹理:5.2回 81球 被安打6 奪三振1 与四死球0 失点2(自責1)
高梨裕稔:4.2回 84球 被安打4 奪三振7 与四死球2 失点1
金久保優斗:登板なし(全試合ブルペン待機)

戦前のnoteでは下記のように記載していた3人ですが、こちらも予想通りとなりました。

それぞれ経歴や経験は違いますが、日本シリーズでの立ち位置は先発orロングリリーフといった辺りの立ち位置になるのではないかと予想しております。

https://note.com/dee_bbys/n/ne6abc895ae63

CSFinal第3戦で打球が直撃して状態が不安視されていた原樹理でしたが、状態は問題なかったようで王手がかかっていた第5戦に先発しました。(今年はずっとその傾向ですが)奪三振も少なく全体的に制圧力のある投球ではなかったですが、一番の持ち味であるゴロを打たせるピッチングでアウトを積み重ね見事に試合を作りました。
それにしても日本シリーズで流れる 煌めく瞬間に捕われて / MANISH は本当に感慨深かったです…。

高梨裕稔は大エース山本由伸とのマッチアップとなる第6戦に先発。
第6戦ということで残り試合が多くないこと、そして何より相手が山本由伸ということもあり、イニングを食うというよりはフルスロットルで、できる限りゼロをスコアボードに入れるというのが至上命題だったように思います。
極寒の神戸にて持ち前の三振奪取能力を発揮し、求められていた最低限の役割を果たしたあたりは流石日本シリーズ経験者というべきでしょうか。それにしても、リーグ優勝決定が決まった試合といい、日本一が決まった試合といい、彼の勝運はすごいですね。

金久保優斗は結局登板機会はないままシリーズを終えました。全試合でベンチ入りしていたことからもロングリリーフの役割を担っていたことが想像されますが、先発投手が序盤で降板することも、また大差がつくこともなかったため、登板機会がなかったのでしょう。
将来のことを考えると登板させてあげたかったですが、次は自分がチームを引っ張って日本シリーズのマウンドを経験してほしいですね。


【リリーフ投手】

ここからは日本シリーズの大部分を担っていた、シーズン同様に獅子奮迅の活躍を見せたリリーフ投手について書いていきます。

・大西広樹/田口麗斗

大西広樹: 1試合 1回 被安打2 奪三振1 与四死球0 失点1(第5戦)
田口麗斗: 3試合 1.1回 被安打2 奪三振2 与四死球1 失点0(第3,5,6戦)

シリーズ開幕前は中盤・火消しの役割を担うと私が想定していた2人ですが、起用法は大きく分かれました。

大西広樹は第5戦2点ビハインドの8回表に登板。簡単に2アウトを取った後にカウントを取りに行くストレートを連打され失点し、このシリーズ最大の3点差を付けられてしまうことに。
試合展開もあり登板自体もこの1試合に留まりましたが、日本シリーズでも151km/hをマークするなど今年見せた球速増を大舞台でも発揮。来年以降は更にしびれる場面での登板に期待ですね。

田口麗斗は対左のワンポイントとして3試合に登板しました。第3,5戦はピンチの場面で火消しに向かうも共に失点…。難しい状況でしたが、ここを抑えてればチームが乗っていたとも思えるだけに悔しい登板となりました。
しかし、その悔しさを悔しさのままで終わらせないのが実力者たる所以。第6戦の10回裏先頭から宗佑磨吉田正尚という左の好打者2人を見事に抑え、伝説となったマクガフ魂の2.1回投球に繋ぎました。

リリーフ仕様のオラオラ田口麗斗さんも好きです(第3戦・筆者撮影)


・石山泰稚/今野龍太/スアレス

石山泰稚: 3試合 2.2回 被安打4 奪三振3 与四死球0 失点2(第3,4,5戦)
今野龍太: 1試合 0.2回 被安打1 奪三振0 与四死球0 失点0(第5戦)
スアレス: 2試合 2.2回 被安打1 奪三振2 与四死球2 失点1(第3,6戦)

先般のnoteでは勝ちパターン候補として候補にあげていた3人。

結果的にリリーフのキーマンとなったのが石山泰稚。シーズン終盤から調子を上げてきたこともあり、重要度が高い場面での登板となりました。
特に第3戦は1点勝ち越された7回表2アウト満塁という大ピンチで登板し、見事アダムジョーンズを空振り三振で打ち取ると、8回も続投して三者凡退に抑える大活躍!結果的に勝ち投手にもなりました。

第3戦の隠れヒーロー石山泰稚(筆者撮影)

3連投となった第5戦では2失点してしまいましたが、第6戦でもマクガフが魂の2.1イニングを投げている裏でスタンバイをしている様子がテレビでも映っていました。リリーフ陣のまとめ役としての影での活躍もあったようですし、いやはや、残留してくれて本当に良かったです…。

同じ中継ぎ投手の石山の姿には感銘を受けたといい「打たれても下を向かず、悩んでいる姿を後輩に見せない。石山さんの存在は大きかった」。

https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2021/12/16/kiji/20211216s00001089091000c.html


石山泰稚とは対照的に、終盤に疲れが見えた今野龍太は1試合のみの登板に留まりました。第5戦で石山泰稚が2点を取られた後に登板し、福田周平吉田正尚を抑えて被害を最小限に留めたことは、後の同点劇に繋がるピッチングでした。楽天からリリースされて僅か2年で64試合+日本シリーズに登板したこと、まさにサクセスストーリーです。

スアレスは第3戦で2四球と制球が定まらず田口麗斗にマウンドを譲るなど不安要素が露呈した形となりましたが、第6戦では高梨裕稔の後を受けて2.1イニングをほぼ完璧に抑えるロングリリーフを見せるなど、元々が先発投手である強みが出た好投でした。田口麗斗といい、シーズン終盤でのリリーフ転向にはなりましたが、自分の持ち味を発揮してくれたことが日本一に繋がりました。


・清水昇

3試合 4回 被安打4 奪三振6 与四死球4 失点0(第1,4,6戦)

新記録であるシーズン50ホールドを記録した清水昇

そんな清水昇の日本シリーズでのハイライトはなんといっても第6戦の回跨ぎでしょう。シーズンを通じて勝ち試合の8回を任されていたことや延長戦がない特別ルールもあり、シーズンでの回跨ぎは5/21DeNA戦1度のみ。

しかし、延長戦(12回まで)がある日本シリーズでは、同点という事もあって第6戦の8.9回を回跨ぎ。2イニングともピンチを招きましたが日本シリーズという場で、回跨ぎを見事にこなした清水昇は改めて素晴らしいピッチャーだと認識することになりました。


・マクガフ

 5試合 5.1回 被安打6 奪三振5 与四死球4 失点4(第1,3,4,5,6戦)

マクガフの個人成績は1勝2敗2S。マクガフのマクガフによるマクガフのための日本シリーズと言っても過言ではない展開になりました…。

第1戦は2点リードを守り切れずサヨナラ負け、第5戦も勝ち越しホームランを浴びるなどクローザーとしては失敗の働き。この要因の一つに”ボルチモアの英雄”アダム・ジョーンズの存在が挙げられるのではないでしょうか。
アダム・ジョーンズは言わずもがなボルチモア・オリオールズで偉大なキャリアを築き上げてきましたが、マクガフも2016‐17年シーズンに同チームに在籍していました。(マクガフはMLB昇格はありませんでしたが)

実績あるメジャーリーガーをリスペクトするのは、オスナ・サンタナが青木宣親をリスペクトしていることからも明らかですし、アダムジョーンズ程の選手ともなれば尚更”投げにくさ”はあったことでしょう。

「青木のメジャーでの実績が(助っ人の)2人よりはるかに格上だったことが大きい。彼らがメジャー定着を目指していたころ、青木はバリバリのレギュラーで常にゲームに出る存在。日本人以上に外国人選手はメジャーリーガーだった人間をリスペクトしますから」(チーム関係者)

https://www.tokyo-sports.co.jp/baseball/npb/3728404/

第3戦は私も現地観戦をしていましたが、登場曲のRYDEENに乗せる手拍子や登板中のマクガフを後押しする手拍子がとても暖かく、これぞチームスワローズといった力を感じました。


MLBに定着できずNPBに活躍の場を求めて3年。NPBで成長し、誰よりもチームを愛する鉄腕。

マクガフとしては東京五輪アメリカ代表に選ばれて、結果として悔しさも味わった2021年でしたでしょうが、悲願の日本一を決める瞬間のマウンドにマクガフが上がっていたこと、何よりも嬉しかったです。

第1戦のリベンジを果たしたマクガフ(第3戦・筆者撮影)


・星知弥/坂本光士郎/大下佑馬

バックアップとしての役割になると予想しておりましたが、メンバーの変更がなかったこともあり1度もベンチ入りすることはありませんでした。
しかし40人ロースターに名を連ねたことは間違いのない事実ですし、次の日本シリーズで登板があることを祈っております。



【スタメン野手】

続いては野手編。
両チームを通じて自慢の打線が低調だったのですが、それは五輪の兼ね合いでシーズンが長期化したことによる疲労や寒さの影響があったのでしょう(勿論ながらバッテリーの努力があってこそですが)。

そんな中でヤクルト打線はオリックスの大エース・山本由伸に対して、点数は殆ど取れないながらも第1戦ではチーム全体で徹底した粘りを見せ6回110球でマウンドから降ろしました。

<参考>
山本由伸が今シーズンの27先発(リーグ26試合+CS1試合)にて、6回終了時点で110球以上投げたのは10/16 日ハム戦1試合のみ
(※もっとも、山本由伸自身が日本シリーズ第1戦までの期間で体調不良があったようで、万全な調整が出来なかったようですが…)

https://nf3.sakura.ne.jp/php/stat_disp/stat_disp.php?y=0&leg=1&pcnum=18&tm=B&mon=0&vst=all


山本由伸と宮城大弥に結果として勝ち星を付けさせなかったことからも、味方打線を含めた中継ぎ勝負で上回ることが出来たのではないでしょうか。


・塩見泰隆

6試合 28打席 .250(24-6) 0本 1打点 出塁率.357/長打率.250/OPS.607

元々は積極的に強く振って三振も多いけど長打も多いというタイプのリードオフマンですが、この日本シリーズでは追い込まれた後は明確に出塁の意識に切り替え、カウントを整えようとしていたようには映りました。
実際、データとしても6安打全てが単打でしたが、両チーム合わせてトップの出塁率.357をマークしました。

第6戦、勝ちがなくなりかける12回表2アウトからのレフト前ヒット。そしてPBで2塁に進塁してから川端慎吾の技ありヒットで試合を決めましたが、前進守備のレフトの送球をものともせずにとんでもないスピードでホームインしており、彼のスピードが生きた瞬間でした。
今年ベストナインも獲得した躍進の立役者は、残念ながら日本シリーズでもMVPを獲得することは出来ませんでしたが(笑)、ポストシーズンでも大きな働きを見せてくれましたね。


・青木宣親

6試合 27打席 .222(25-5) 0本 1打点 出塁率.259/長打率.240/OPS.499

チームの精神的支柱である青木宣親は日本シリーズでの成績的な存在感は余りありませんでしたが、なんといっても第2戦の均衡を破る先制タイムリーが大きかったですね。

そして日本一が決まった瞬間に石川雅規と共に涙を流していた姿を見て、チームのレジェンドに日本一を経験することが出来たことを改めて強く噛みしめ、本当にこの結末を迎えられて良かったなと感じましたね…。


・山田哲人

6試合 27打席 .167(24-4) 1本 3打点 出塁率.259/長打率.333/OPS.592

2021年スワローズのキャプテンは日本シリーズでは寒さに弱い影響もあってか調子はイマイチでしたが、第5戦のホームランは日本中の野球ファンに対して、改めてスーパースター山田哲人を印象付けるものとなりました。

なお、次の回に勝ち越されてこの試合での日本一とはなりませんでしたが、結果的にこれが第6戦への伏線となっていたように感じます。

同点の12回表2アウト2塁から川端慎吾が決勝タイムリーを放ちましたが、塁が空いた状態で勝負せざるを得なかったのは次にスーパースターが控えていたからではないでしょうか。今年1年間このnoteで書いてきたように、全てのプレーが繋がっているとそう感じさせるホームランになりました。

7年という大型契約の初年度にキャプテンとして日本一を掴み取ってくれましたが、この円陣や試合後の涙はまさに彼が名実ともに偉大なるミスタースワローズであることの象徴となった出来事であったと思います。


・村上宗隆

6試合 25打席 .217(23-5) 2本 3打点 出塁率.280/長打率.565/OPS.845

両チームで唯一のOPS.800超えと文句無しの働きを見せた”令和の怪童”村上宗隆。自身がホームランを放った第1,5戦はどちらもチームが敗北していたこともあり”自身の行いが悪いのかな”とも語っておりましたが、そんなことは絶対になく、彼のフィールド内外での存在感は良い影響を与えていたはず。

オリンピックでは笑顔で金メダルを獲得しましたが、一転、神戸では涙…。
今後のヤクルトだけではなく日本球界を背負っていく存在であることは間違いないでしょう。まだまだ21歳と若い選手ですが、あの涙はチームを背負う覚悟と重圧の重さを感じさせるものでした。
また彼の力でこの舞台に連れてきてくれることを願ってやみません。


・サンタナ

6試合 25打席 .105(19-2) 2本 3打点 出塁率.320/長打率.421/OPS.741

日本シリーズ中に放ったヒットは第3戦の決勝ホームランに第4戦の先制ホームランの2本のみという、”This is Domingo Santana”というべき成績を残したサンタナ。その効果的な2本塁打のみで優秀選手賞を受賞したと思われがちですが、実は両チーム最多の5得点を記録していました。脚が速いわけではないサンタナがこのような成績を収めたのは高い出塁率があってこそ。

今年のスワローズの躍進にはオスナ・サンタナの2人がアジャストしてくれたことが大きかったですし、改めてスワローズに加入してくれたことに感謝ですね。


・中村悠平

6試合 24打席 .318(22-7) 0本 3打点 出塁率.348/長打率.318/OPS.666

押しも押されもせぬスワローズの正捕手が日本シリーズMVPですってよ!

打撃面では(末恐ろしい高卒2年目である)オリックス・紅林弘太郎と並んでトップタイの打率.318をマークしました。

勿論打撃面の働きも大きかったのですが、インタビューでもあった通り、中村悠平本人としても守備面での負荷が大きかったのでしょう。
外野からは色々なことを言われていましたが、自らの働きでそれを全て跳ね除け、真の”日本一のキャッチャー”となってくれました。語り始めたらキリがないのでこの辺で。これからも頼りにしてます…!


・オスナ

6試合 24打席 .292(24-7) 0本 1打点 出塁率.292/長打率.375/OPS.667

シーズン終盤には打棒が影を潜めていたオスナですが、日本シリーズでは少し状態を戻していたようにも見えました。

印象的だったのは第2戦で貴重すぎる2点目に繋がるヒットを放ったこと。
(※このタイムリーがあったから高橋奎二完封への決断と至ったようです)

そして第4戦、同点に追いつかれた直後に決勝点となる勝ち越しタイムリーを放ったこと、そして石川雅規に勝ちを付けられたこと。
どちらのヒットも本当に大きな一打でした。


・西浦直亨

6試合 24打席 .200(20-4) 0本 0打点 出塁率.333/長打率.200/OPS.533

西浦直亨は打撃面よりはショート守備でチームを支えていました。
特に第2戦、高橋奎二の完封をアシストするバックハンドトスでのダブルプレーを始めとする守備での貢献は見逃せません。
とはいえ本来はもっと打撃でも貢献できる選手ですし、来シーズンからはそちらでの活躍も期待ですね。


・宮本丈/坂口智隆/山崎晃大朗

宮本:2試合 5打席 .333(3-1) 0本 0打点 出塁率.333/長打率.333/OPS.666
坂口:4試合 5打席 .200(5-1) 0本 0打点 出塁率.200/長打率.400/OPS.533
山崎:5試合 4打席 .000(3-0) 0本 0打点 出塁率.250/長打率.000/OPS.250 

サンタナがDHに入ったことによるライトのスタメンですが、第1戦は宮本丈が務めました。ピンチの場面でフェンスにぶつかりながらもキャッチするファインプレーを見せますがそのまま負傷交代…。
状態が心配されましたが、第6戦にはスタメン復帰して1安打2犠打と素晴らしい働きを見せてくれました。守備面が不安と先般のnoteには書いていましたが、ファインプレーを含め素晴らしい働きを見せてくれたと思います。


その穴を埋めるように第2戦でスタメン出場したのは坂口智隆。オリックスからヤクルトに移籍してきたこともあり、第2戦のスタメン出場時には球場全体から大きな拍手が起こりました。そして、キャリア初の日本シリーズ、思い入れのある京セラドームで1本ヒットを放つことも出来ました。

かつての本拠地京セラドームや高校時代を過ごした神戸で日本シリーズを戦う事が出来ましたし、坂口智隆という一選手にとってキャリアでのハイライトになる日本シリーズになったのではないでしょうか。

また、自身が11シーズン所属したオリックスとの日本シリーズを振り返り「(試合に)出られると思っていなかったのでびっくりしましたが、いざ出てみて両方のチームのファンの皆さんから拍手を頂けたというのは自分の野球人生における財産になると思うので、感謝したいです」と振り返りました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ed3b49036eeb17821fdee8c37ab26e2766f2aa29

また、山崎晃大朗は第1戦の宮本丈負傷交代後や守備固めでの出場となり、スタメンでの出場はありませんました。ただ、同級生で今年レギュラーを獲得した塩見泰隆に対するライバル心は強いですし、来年以降は外野のスタメンでその2人が並ぶ姿をもっと見れますように…。


・川端慎吾

2試合 2打席 .500(2-1) 0本 1打点 出塁率.500/長打率.500/OPS1.000

”代打の神様”川端慎吾はDH制採用やシーズン終盤から肉離れをしていた(?)影響もあり、2打席のみの出場となりました。
それでも第6戦では文字通り日本一を決める決勝タイムリーを放つなど、改めて天才・川端慎吾の復活を印象付ける年となりましたね。


・内川聖一

2試合 2打席 .000(2-0) 0本 0打点 出塁率.000/長打率.000/OPS.000

1人”日本シリーズ5連覇”を達成した”短期決戦の鬼”内川聖一も、今年の日本シリーズでは結果を出せず。
来年は改めて勝負の一年になるでしょうが、稀代のバットマンとしてまだまだやれるぞという瞬間が訪れること、期待しています。


・荒木貴裕/渡邉大樹/元山飛優

荒木貴裕渡邉大樹はシーズン通り終盤の守備固めにて出場することとなりました。彼らの名前が日本シリーズで話題にならなかったのはそれだけ自分の仕事を全うしたからこそ。こういった選手がいてこその日本一です。

元山飛優は第2戦でDHサンタナの代走として2点目のホームを踏みましたが、出場はわずかに1試合。自身の過失ではない怪我で出場機会がなくなってしまったのは悔しい気持ちもあるでしょうが、今年のチームがここまでこれたのは西浦直亨元山飛優を良い意味で併用できたからこそです。
ポストシーズンでの出場機会はまた来年以降のお楽しみとなりましたが、彼もまたスターの星の元に生まれてきた人間ですし、すぐに見れることでしょう。


・古賀優大/嶋基宏/吉田大成

ベンチ入りする試合もありましたが出場機会はなし。
それぞれ違った役割にはなるでしょうが、来年以降は更に存在感を増してこの舞台に帰ってきて欲しいものです。

・西田明央/並木秀尊/太田賢吾/長岡秀樹

今回の日本シリーズでベンチ入りすることはありませんでしたが、40人ロースターに名を連ねたことは間違いのない事実です。
この経験を糧に次の戦いに臨んで欲しいです。



【最後に】

今更中の今更ですがSMBC日本シリーズ2021を振り返ってきました。

結果としてスワローズが日本一となりましたが、オリックス・バファローズもとても強いチームでした。来年以降も強豪チームであるでしょうし、良いライバル関係であれたらなと思います。


勝因は色々とありますが、”絶対大丈夫”という言葉の通り、不安になる時もチームを、みんなを信じ続けることが出来たことが日本一に繋がったと感じております。


さて、今年から"Look-Back on Swallows"と題して、このような振り返りnoteを始めましたが、始めた当初は1年でまさか日本シリーズで勝つところを書くことが出来るとは思っていませんでした。

書いている側として想像以上に負荷が大きく、来年以降同じ形で続けることは恐らくありませんが、1年間の記録として良いものが残せたと思います。

ということでここまで1年間お付き合いいただきありがとうございました。
来年も東京ヤクルトスワローズに関するnoteは書いていくつもりですので、そちらをお読みいただければ嬉しいです。



素敵な1年をありがとうございました!


東京ヤクルトスワローズ公式より画像引用


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