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ヨメのワタシ その3

濃密で激動で怒涛の1週間だった。

何度かMSWへ仕事の合間を縫って電話した。
キーパーソンの義母が他言を拒んでいるから、ここからはお話できませんと数回言われた。

そうしている間にも、義父の容態は低下していた。
ドクターから面会はいつでも何人でも何分でも良いと話があった。いよいよだなと少し覚悟して義父を見舞う。同じ都内だか、西の端と東の端に住む私たちは数年ぶりに、このようなシチュエーションで対面した。

聴覚はまだ健在なはず。
入院して、1月半。もう自分の置かれた状況を理解して、やがて来る旅立ちを受け入れているのだろうか。
お義父さん、帰りたい? 
ワタシは質問していた。
帰りたくない。
義父から、まるで周りの動きを理解しているかのような返事が返ってきた。

転院/入所か在宅か。
家族は意見が噛み合わず、時間ばかり過ぎていた。義父と同居するキーパーソンの義母と義妹が1番迷っていた。
転院となると
・家から遠い
・面会が頻回にできない
・終わりが不明な経済的な事
在宅となると
・介護の仕方が分からない
・沢山の他人が自宅に出入りするのが嫌
・満足な医療を受けられないかも
等々。
無理もない。義母は想像することすらできないのだ。人付き合いをしないので世間話から習得して年齢的に知ってて欲しい事を知らないのだ。

お義父さん、ここにいたいの?
質問を重ねた。
帰りたい、帰りたい。
一点を見たままの義父が繰り返し発した。
帰れる準備をするからね。頑張ってね。
ヨメのワタシは、勝手に約束した。

義母に義父の帰りたいを伝えた。ワタシも勿論お手伝いに通う、週末は泊まり込みもできると併せて伝えた。
そうやって沢山の他人が来るわけでしょ、気を使って疲れそうだわ。
ワタシは他人なんだ。やっぱりイエの外側にいる女のヨメなんだ。もう30年近くが経ったが、未だイエの中に入れて貰えない嫁なんだ。そう感じた。

ワタシは義母や義妹、オット達と義父をサポートするチームを作りたかった。

#義母 #義父 #嫁 #ヨメ
#家族


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