金融引き締め観測はさらに加速。暗号資産市場には向かい風だが、底は固めてきたか?
前週からの動き
ビットコインは先週半ばまで反発となり、若干の回復の兆しが見えたかと思われたが、21、22日と米国株の急落に伴うように価格を押し下げ、再び市場の関心が遠のくような展開となった。
FRP・パウエル議長が討論会にて、来月の会合では通常の倍に当たる0.5%の利上げを検討する旨の発言をしたことで、米国の金融引き締め観測が加速し、株をはじめとするリスクアセットから資金が流出することとなった。米長期金利は3%手前の高止まりとなっている。
一昨年からの暗号資産相場の急成長の背景には、世界的なインフレ傾向から資産を守るためのインフレヘッジとしての需要があった。
コロナやウクライナ情勢のようなイベントリスクや地政学的リスクでの短中期的な下落とは違い、金融緩和・金融引き締めは長期での金融市場の流れとなるので、金利上昇が引き起こす暗号資産市場への向かい風は、長続きするのではないかとの意見も聞こえ始めている。
しかしながら、一昨年からのビットコインの上昇分と、昨今の米国の金利の高止まりを比較すると、金融引き締め局面でも40,000ドル近辺を保っていること自体が、数年前と比べアセットクラスとしての地位が別のステージに到達したことを意味するのではないだろうか。
昨日に19日の安値をわずかに割り込み、3月以来の安値を付けてしまったことが気がかりではあるが、やはり安値圏では一定の買い需要が観測でき、再度勢いよく40,000ドル台を回復している。
ビットコインに関心が深い米テスラ社CEO・マスク氏のTwitter買収提案の報道による上昇、という短期的な要因とみられるが、安値圏で買って保有しておきたいとの思惑が透けて見える相場だ。
金融市場概況
米国の金融引き締め観測の加速により、ドルインデックス(主要通貨に対する米ドルの為替レート指数)は高止まりしており、ドル円は128円を挟んだ円安水準が続く。
株式市場からの資金流出も続いており、特にハイテク株の下落が目立つ。中でも、先週、サブスクリプションビジネスの代表格ともいえるネットフリックス社の株価が1日で35%超も下落したことは市場を騒がせた。
GAFAやFANGと呼ばれ世界のIT企業の雄とされてきた企業の暴落は、米ハイテク神話の陰りの前兆との声も多く、今後の投資家の物色は今まで以上に慎重になっていくだろう。
筆者:齊藤成芳
参照:Bitcoin日本語情報サイト
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