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韓国ドラマ「旋風」に見る言葉の力と独特の政治文化

いま話題のNetflix制作の韓国ドラマ、「旋風」を見始めました。

相変わらず、韓国で作られた政治を扱った作品はレベルの高さを感じます。権力闘争やミステリーを絡めてはいるものの、観客に媚を売るような小手先の工夫はなく、ハードな政治モノにしつつも圧倒的な駆け引きの面白さでもって視聴者を惹きつけてきます。

まだ一話しか見ていませんが、印象的だったセリフを紹介します。

「政治は算数じゃない。数学よ。
変数もあるし、未知数だってあるの」

しびれますね。残念ながらこれは、主人公と対立する悪役のセリフです。この後、セリフを放った登場人物は主人公を失脚させまいと動き出すので困ったものですが。しかし、言葉としての力は凄まじいものを感じます。短いながらも、この言葉を発するに至った長い長い政治闘争の積み重ねを感じます。説得力のある言葉は作品の没入感を高めます。

あまり日本腐しばかり言っていても仕方ないのですが、さて日本で政治闘争を描いた物語を探そうとすると、えらく子供じみたものばかり目立ってしまっています。総理大臣の父親とグレた子供の中身が入れ替わっただとか、そんなネットに溢れた転生モノのようなドラマがありました。数年前に話題になった三谷幸喜の「記憶にございません!」も、安いコメディとしては笑えるのですが、扱っている政治問題が小学生レベルで失笑してしまいました。もてはやされていい気になってるだけで実社会の社会構造の勉強を何もしていない人間が作ったんだということだけわかりました。いい歳したオッサンがドヤ顔で、ここまで幼稚な「ぼくがそうりだいじんになったら」を開陳できるとは凄い国だなと感心しました。

あと最後にはなりますが、大統領の権限代行という立場に着眼した作品が多く作られるのも韓国ならではだなと思いました。韓国の大統領はみな自殺か逮捕で政治生命を終えると言われたりしますが、そんな歴史的な積み重ねがこういったドラマにも反映されているのでしょう。褒められたことではないのですが韓国の検察は「第二の権力」と言われるくらいはちゃめちゃに強いので、財閥や政治家ともしっかりと癒着しています。なので使える時とそうでない時に落差が大きいのですが、とはいえ政権交代がなく自民党と癒着しまくった日本の検察を見ていると、彼らはとくに逮捕の不安もなく政治をやっていることでしょうから、「権限代行」というのは政治的変動の少ない日本ではなかなか想像しにくいのかなと思います。クオリティの高さに注目するのもいいですが、そういった微妙なところに現れる政治文化の違いを感じられるのも海外ドラマの良さですね。

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