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読書感想:西郷さんの生き方の原点「言志四録」

私、西郷さんにとても興味を持っています。
よく知られているようで実は謎の多い人物、西郷さん。
その西郷さんの人物を形作ったであろうと言われるのが「言志四録」という書物です。

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超訳「言志四録」西郷隆盛を支えた101の言葉

西郷さんについて、2018年 NHK 大河ドラマ 制作統括の櫻井賢さんはこう語っています。

”西郷隆盛は、どんなに偉くなろうが清貧を貫き、人にこびず、人を愛し、故郷を愛し、国を愛し続けました。たくましさと生命力と愛嬌にあふれた彼の生涯には、今を生き抜くヒントがあふれています。”
https://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/2000/256040.html

今を生き抜くヒントがあふれている西郷さんの生涯、その生涯を支えた「言志四録」。
いったいどんなものでしょう?

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西郷さんと言志四録

言志四録は江戸時代の儒学者である佐藤一斎が著した書物で、生き方やリーダーの心構えなどを説いた文が 1,133文もあるという大ボリュームの書物です。

佐藤一斎は江戸幕府直轄の学問所の先生を務め、門下生は 3,000人以上、その中には佐久間象山(吉田松陰の先生)や横井小楠(勝海舟の先生)がいたそう。

西郷さんはこの言志四録を愛読しており、特に心に残った 101文を自ら書き留めて繰り返し読んでいたそうです。
西南戦争の最中もその 101文を持ち歩いていたのだとか。

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人の心はいつの時代も同じ?

この本は西郷さんが愛読した言志四録中の 101文の原文と、それをわかりやすく現代の言葉に直した文を載せた上で解説を加え、さらにその内容に沿った西郷さんのエピソードなどを紹介しながら西郷さんの生涯も追っていくという意欲的な内容になっています。

西郷さんが初めて薩摩藩の役職についたところから西南戦争まで、言志四録のそれぞれの文に関連した話を持ってきて、よくぞそこまで当てはめたなと感心しました。
途中、これはだいぶ苦労してるなと感じる箇所もありますが。(笑

言志四録のそれぞれの文は現代文への訳もあってか決して古臭い文句ではなく今の世にも通じる、もっと言うと現代の話じゃないの?と感じられるものです。
これが書かれた江戸時代とは時代は大きく変わってますが、人の心、考え、悩みはさほど変わらないのかもなと考えたりしました。

文の一つに『人は体の健康には気をつけるのに、心の健康には無関心なものだ。』という話があります。これなど約200年前の話とは思えない、正に現代人の話のようです。
その先に心の健康を保つ方法として『日々を愉快に楽しく過ごしているか』と並んで『人の見ていないところでも良心に恥じるようなことをしていないか』とあります。

これ、見ようによっては説教臭く感じられるかもしれませんが、私はちょっとハッとさせられました。
”日々を愉快に楽しく過ごす”は現代でもよく聞く解決策と思うのですが、それだけじゃダメなんじゃないか?ちょっとぐらい自分に厳しく自分を律して行く方が実は”楽”なんじゃないか?そんな風に思ったのです。

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南洲翁遺訓がさらによくわかる

西郷さんの死後に西郷さんが語った言葉をまとめた「南洲翁遺訓」という書物があります。
語録というか名言集のような書物なのですが、西郷さんの考え方がよくわかる書物です。

最初に言志四録を『西郷さんの人物を形作ったであろうと言われる書物』と言いましたが、なるほど言志四録を読んでいるとこの南洲翁遺訓に通じるところが随所に感じられます。

西郷さんに興味のある方、南洲翁遺訓を読まれた方は特にこの言志四録も読んでみてはいかがでしょうか。



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