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フリーランスの生存戦略。相手を勝たせる働き方。どこまで無料でやればいいのか。


これからのフリーランスや小規模事業者はどう戦って行けばいいのか。

また、どこまで無料でやってあげるかというフリーランス特有の悩みまで紐解いていく。

さらに、「今後ともお願いします」と言われたきり今後の依頼がないなど、その理由を解明していく。


所要時間:6-8分



前回の記事では、信用という側面から個人と法人の違いを捉え、より優位にビジネスを回していくために必要な持続可能性について触れた。

今回はそのなかでもさらに、相手を勝たせる(持続させる)働き方について考えていく。相手を持続させることが、結果として自分の持続に繋がってくるため、必ず抑えておきたいポイントである。



ビジネスの移り変わり

現代では生活が豊かになり、第三次産業の従事者の割合が第一・二次産業の従事者より多くなっている。

また近年では販売において、単なるモノ・コトの品質よりも、体験が重要であると唱える説もでてきており、その(サービスの)種類は多岐に渡る。

様々な理由から価値の変化が起こっている近年、付加価値の重要性が高まっていると言える。むしろ付加価値のない商品を販売する事が難しくなっている。

これは売り手にとって、サービスを差別化しにくくなったという事実であり、言い換えるならば、自らを象徴する何かを持ちにくくなったと考える。


クリエイター(生産者)であれば、「○○(コンセプト)という作品を作る人」というポジションをとることでサービスを確立させることができるが、サービス販売者はどのように戦っていけばいいのか。



順当に勝っていける人とは

これまで私は長年フリーランスとして働き、また多くのフリーランスを見てきたなかで、ふたつの勝ちパターンを見つけた。


ひとつは、他者と比べて圧倒的なスキルを持つこと。

もうひとつは、勝ち馬に乗れた人。

安定した生活ができる報酬を定期的にくれる人がいれば、万人受けするサービスを作らなくても、その人に必要な存在であるだけで生き残ることができる。


前者になるためには深い専門性を裏付ける多くの経験と実績が必要となるため、数年で何とかなる問題ではない。

だとしたら私たちは、後者になるしかない。



勝ち馬に乗るのではなく、勝ち馬を育てる。

すでに有名な人や大手企業から、いきなり仕事を頂くことは難しい。

そういった人の周りには既に優秀なサポーターがいる。回ってくるのはせいぜいその2次・3次案件だ。

つまり、運よく勝ち馬が現れることに期待するのは難しいと言える。

しかし、勝ち馬を育てることはできる。


これからの競争社会では、勝ち馬を育てるという意識を持って仕事をしなければ、勝つどころか、生き残ることすらできないかもしれない。



付加価値の間違い

この方法は、実戦する事は難しいが、説明するのは簡単だ。


例えばホームページ制作の仕事を頂いたとして、与えられた予算で制作することは誰にでもできる。(必要機能の実装等など能力的な話ではなく、わりに合わない仕事をする人は多く存在しているという意味)

さらにその仕事に、付加価値をつけることも難しくはない。

例えばありきたりな付加価値とは、納期が早いこと。安価であること。追加サービス(素材提供やライティング)をすること。おしゃれなデザイン提案ができること。バックエンド側(サーバーの構築など)の処理もできることなど。

多くのフリーランスが制作できることは当たり前の中で、付加価値を乗せて戦っている。

しかしこれらの付加価値は、クラウドソーシングのサービス内で選ばれるための付加価値であって、クライアントがこれからの時代に競争で勝っていけるための付加価値でない場合が多い。


つまり、案件を通して一時的にクライアントの要求を達成できたとしても、その活用方法が最適ではない場合が多く、第2第3の課題が発生し、そこに対して新たなコストが必要となるため、クライアントにとっては今回の依頼が掛け捨てのお金となってしまう。

もしくは、第2第3の課題を見つけることができずに、せっかく作ったのに何がダメなんだろう・・・と行き詰る。



勝たせるための付加価値とはなにか。

勝たせるための付加価値とは、ひとつだけではない。

例えばそれは、SEO対策かもしれないし、広告運用かもしれないし、お問合せが増加するUIUXの設計かもしれない。もしくは自身の人脈を使った新たな出会いの紹介かもしれない。

それらは、結果として相手の企業に利益を生む。

これらの付加価値は、ただ求められたサービスを提供することに留まらず、利益を提供していると言える。つまり相手を勝たせている。


しかしこれらの付加価値は、素人には分からない場合が多い。

分かりにくい原因としては、効果としてすぐに目に見えないという点と、ただ単純に知らないから必要性が分からない場合もある。

だからクライアントとは、何となく見栄えの良いデザインを要求し、短納期を要求し、低単価を要求してくる。ついでに他のサービスをやってくれるなら楽だし、バックエンド周りについてもやってくれるなら楽だと感じる。



しかしそれらは、一時的な付加価値でしかない。それらは、一時的に相手を楽にさせるという点では付加価値と呼べるが、継続的に利益を生むわけではない。


勝たせるための仕事をしていかなくてはいけない。


例えばそれは・・・

SNS運用代行をするなら、ただ定期的に投稿するだけではなく、効果的なキャンペーンを提案すること。

キャラクターイラストを描くなら、ただキャラクターを作るのではなく、広く応用できる世界観を作ること。

チラシを作るなら、ただおしゃれなデザインではなく、一秒でも長く目に留まり集客・販売に繋がるデザインにすること。

ライティングするなら、ただ文字数を埋めるだけではなく、読まれて拡散される記事を書くこと。


このように、利益に繋がるプラスアルファをしていく。



一方でクライアントもまた悩んでいる

あまり触れないが次の話に進む前にしっかり理解しておきたいのは、クライアントもまた悩んでいるということ。

先ほどの章でこのように書いたが、

「分かりにくい原因としては、効果としてすぐに目に見えないという点と、ただ単純に知らないから必要性が分からない場合もある。」

やみくもに提案すればいいわけではない。


営業マンとは昔から、「必要ない物を必要に見せかけて単価を上げてくる」というイメージがある。つまり、不要な物を売りつけられたくないのだ。

特にWEBでフリーランスに依頼するような仕事の殆どは、ラクをしたいから依頼する場合よりも、知らないから依頼する場合が多い。

知らない物に対して必要性を説かれても、信じるべきかどうか分からない。

そんな疑心暗鬼な中では、最高のモノを求めるよりも、無難にコスパが良いものを求めたくなるのも分かる。


サービスを売る側である私たちは、単に「良いものを良いと伝えるだけ」ではなく、寄り添った対話をしてく必要がある。

今回の主題ではないためここでは割愛するが、非常に重要であるということは理解しておきたい。



どの程度無料でやるか

付加価値をつけよう。プラスアルファの提案を。と言ってきたが、「全ての依頼に対して無報酬でプラスアルファしていこう」という話ではない。

そんな事をしていては、消耗しすぎてしまう。

最近では「まずはギブする。ギバーになろう。」なんて言われているが、体力がない段階でそんな事をしたら、相手にギブされる前に潰れてしまう。

街中で、キャンペーンガールを雇って、飲むと翼が生えるジュースを無料で配るのは、体力がある大手がすればいい。

体力のない私たちは、ギブするタイミングには慎重にならなくてはいけない。慎重にならなくてはいけないが、ギブを辞めてしまってはいけない。


ほんとうは、理想は、できることなら、こんな打算的な考えなんて捨ててしまいたい。そして、関わった全ての人に対して出来る限りのことをしてあげたい。むしろ、するべきだろう。

学校教育では、そう習った。

道徳では、そう習った。

しかし現実は、「良い人だから得をしている」と言える人は、どれくらいの割合いるのだろうか。本当に良い友人に恵まれ、良い同僚や上司に恵まれたならば、良い人で居続ける事はもっとも合理的であり、自分も周りも気持ちが良い。

しかし現実は、そうではない。あまりにも一方的に奪っていく人が多い。特にビジネスでは。


少し話が逸れたが、「どの程度無料でやるか」ということの線引きは、「誰に対してやるか」という考えによって割り切れると考え、その、「誰」というのを打算的に考えたポイントがある。

それは、長期的にビジネスをやっていけそうな相手であり、返してくれそうな人である。

つまり、仕事が始まる前から決めておくのではなく、人を見て決めるということ。あまり大きな声で言いたくない内容だ。

しかし現実は、そうである。

ひとつ言い訳をしておくと、人を見て頑張り具合を決める一方で、良い人だと判断した場合にはとことん与える。

良いと判断しなかった場合も、与えられた仕事はきちんとこなす。そんな事は当たり前だ。その上で、どれだけプラスアルファで相手を勝たせることが出来るか。

そう考えれば、ただ何も考えずに仕事をしている人に比べて、よっぽど人道的な事をしていると思う。



勝たせるべき人と勝たせるべきでない人

先ほど書いた通り、勝たせるべき人は「長期的にビジネスをやっていけそうな相手であり、返してくれそうな人」だ。

逆に言えば、勝たせるべきでない人は「短期的なビジネスをやっている相手であり、返してくれそうにない人」だ。


長期的か短期的か。返してくれそうかどうか。この判断基準は、どちらもシンプルであり簡単だと思う。


ビジネスの持続性については、2つの側面から捉える事ができる。

ひとつ目は、既にそのビジネスが継続しているかどうかという点。

昨日ビジネスを始めた人よりも、10年ビジネスをやっている人の方が今後もやっていけそうなのは間違いない。


ふたつ目は、相手がどれだけそのビジネスについて考えているかということ。

世の中の在り方が目まぐるしく変わる中で、「昔からある=生き残る」という単純な方程式は成り立たない。

どれだけ自分のポジションを理解していて、どれだけ先を見据えているか。


このふたつの側面から相手を観察し、長期的に関わる事ができるのかどうか判断する。



相手の人間性については、どれだけ大事にしてくれるかで判断できる。

これに関しては人間性に関する話であるため、どこを明確な切り分けポイントとするかは一概には言えない。

参考までに「私は」という話をさせてもらうならば、、、

横柄ではない人。きちんと向き合う気がある人。信頼関係を築きたいと思える人。など。

挙げだすときりがないが、要するに「良い人」と思えるかどうかだ。



「今後ともお願いします」と言われたきり今後の依頼がない

これは今回の主題である「相手を勝たせる」という点において、勝たせることができなかった時に起こる現象だと解釈している。


こちらとしては継続的にお付き合いできる相手が欲しいため、初回は割に合わない価格だとしても丁寧に仕事を引き受ける。

そして、今回のご縁を生かして次から正規の値段で・・・と目論んでいるわけだが、今後がないのであれば単なる赤字経営となってしまう。


だがこれについては少し考えればわかることで、相手からすれば、「勝たせてくれない人」に対して単価上げして継続した依頼を出す必要性がないのだ。

それならまた改めて初回価格で受けてくれる、勝たせてくれる可能性がある人を探す。

仕事を依頼する段階で、勝たせてくれるかどうかという視点で物事を考えている人は大抵いないだろうが、おそらく無意識化でそういう思考を持っている。


つまり、依頼された内容に不備があったわけでもないし、クオリティに満足できなかったわけでもないし、対応態度が悪かったわけではない。

ただ、もっと何かしてくれそうな人がいると、無意識で感じている。その結果だと思う。



結論

どのような付加価値を付ければ相手を勝たせることができるのか。

これについてを考える事が、結果として自身のビジネスを持続させることに繋がっていく。

ビジネスを持続的なものにしていくためには、ひとりでは難しいし、他者を利用して奪うだけというのも先がない。

長期的に関わる事ができる人を勝たせて、そこに乗っていくことがトータルして持続的なビジネスを作ることに繋がる。


まとめ

勝たせるべき人を勝たせることが自身のビジネスを長期的なものにすることに繋がる。


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