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タボのご縁①

今回の旅行で最も長期滞在し、お世話になったのはタボだった。
写真:https://note.com/dechenblog/n/n5bb5a564bb0d
僧院の風景ミニ動画:https://www.facebook.com/100047003386254/posts/411480887095354/?d=n

先ず、マナリを出発しその日のうちにタボ着。
身体を高地に慣らすために数日滞在した。

その後ナコへ移動し、ナコ近辺を堪能した後で、再度長めに滞在した。
タボ僧院やゲストハウスで知り合った人々と、一緒に時間を過ごしたせいもある。

友人を通じて紹介してもらった方がタボ僧院のお坊さんだったこともあり、僧院のゲストハウスに滞在した。
少し高値だったかもしれないが、宿泊費は全て僧院へ納められる。
僧院運営の助けになればと思い、宿泊した。
知人の紹介だということで、少しまけてもらったけれど。

到着日、大家の大先生がおっしゃっていた事務長先生は、僧院にいらっしゃらなかった。
大都市の病院へ検査に行かれているとのことだった。

この事務長先生は、タボ僧院のマネージメントを長くお1人でしてこられたそうである。
下で働くお坊さん方も勿論おられただろうけれど、多くの人は「1人でやっていた」と話していた。
数年前に肺の手術をされ完治した。
今年は胃の検査ということだった。

後の話になるが、2度目の滞在時にはお目にかかることができた。
数日お顔を拝見し、再度検査の為に病院へ向かわれたそうである。
他のお坊さんから、事務長先生が1人でやっていた仕事は7人のお坊さんに分配され、先生ご自身は引退され治療に専念することになったと聞いた。

タボ僧院は、現在も運営されている僧院のうち、インドで最古だそうである。
2021年9月現在で60人以上のお坊さんが勉強し、
僧院のスタッフ(付属の売店や厨房等で働く人々も含む)は約77人。
この数字はどこから出てきたかというと、厨房で僧院全体の食事を作るインド人女性がおり、彼女が「77人分」と言っていた。

スピティには幾つも僧院があるけれど、ゲルク派(チベット仏教の1派)の学問所は主に2僧院。
タボ僧院は、周囲3村(タボ村&プー村&○○村・・・)出身のお坊さん達が集まる僧院だそうだ。
もう1つ200~300人の学僧が学ぶキー僧院がカザの近くにあるが、
キー僧院の規模が大きいのは、それ以外の全ての村からお坊さん達が集まるからだそうだ。

これらの僧院で勉強する学僧達の中で、更に詳しく仏教を学ぼうとする者達がダラムサラや南インドに派遣され、学業を修めて帰郷するとも聞く。

タボ僧院は、1025年前にロツァワ・リンチェン・サンポによって開基された。
当時、ロツァワ・リンチェン・サンポは、スピティ&ラダック地方に108の僧院を開設したそうだが、そのうち100僧院は異教徒(イスラム教徒?)に壊され、今は8僧院しか残っていないと、
ゲストハウスのレストランの外に時々座っているおじいさん先生が教えてくれた。

このおじいさん先生は勿論お坊さんなのであるが、
僧院の朝食後、僧院ゲストハウスのレストランの外のベンチに腰掛けて、学校へ行く子ども達を眺めていたりする。
子どもが道脇の売店で何か買ったりすると、「何買ったんだ?」なんて大きな声で話しかけたりしていた。

優しい人で、友人と筆者がレストランで朝食を取っていたりすると、「お寺の朝茶を飲めば良いだろう?」とも言ってくれた。

しかしながら勿論、僧院の食堂に旅行者が何の断りもなく入って行ったら追い出される。

僧院の話にもどる。

現在のタボ僧院には、1025年前に建てられた古い僧院と、1970年代以降に建てられた新しい僧院の、2種類の建物がある。

古い僧院建築も幾つかに分かれており、メインのお堂、
チベットの偉大な修行者ドムトンパを仏様の様相で描いたお堂、
ターラー母尊のお堂、等々がある。

僧院から見上げる山の斜面には幾つかストゥーパが見え、
先人方が籠って修行をされたという洞窟も複数ある。

人が行くには難しい滑りやすい斜面に、オムマニぺメフームという観世音菩薩のご真言が白く描かれている。

ダライ・ラマ法王がカーラチャクラ灌頂会を2回行われたということで、
精巧に作られた、新しくて大きなカーラチャクラ・ストゥーパがある。

新しいお堂は明るく開放的で、土地の人々(おばちゃんが多い)が仏教入門のクラスを聴きにやってくる。

村人向け仏教クラスは、恐らくお坊さんたちの先生として派遣された中堅のゲシェ・ラー(仏教博士)が担当する。
しかしゲシェ・ラーはチベット語で話し、土地の人はチベット語を全て理解できないので、チベット語からスピティ語への通訳をする若いお坊さんが主副2人つく。
授業を受ける皆は元気よく、講話中でも時々ボソボソと話し合っていて、端に座っていると、先生の声が小さいこともありよく聞こえない。
通訳のお坊さん(現地出身)は元気で声も大きく、おじちゃんおばちゃんが理解できないだろうなと思うと、違う例を出して先生の言ったことを説明しようとする。

『・・・ちょっと違う・・・』とか思うこともあったけれど、
真面目に仏教を学ぼうとする人々が集う、微笑ましい授業風景だった。

仏教クラスに集まった人々も、テキストをシェアしてくれようとしたり、
新顔に優しくしてくれた。

この新しいお堂では、高僧方を招いて法話会が催されたりもする。

タボ僧院は、他にもセルコン・スクールという基本無料のプライベート・スクールを運営していたりもするのだが、別の回で記そう。

つづく。


DECHEN
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