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菩提心の称賛《宝珠の灯》第20偈

20)有情それぞれの全ての欠点を無くし、
各々にもはかり知れぬ功徳を
生じさせたいと望む最高の菩提心は、
稀有なものごとよりも、更に稀有である。
 
 
一行目「それぞれ」と、二行目「各々」のチベット語は、実は同じ「re re」である。
くどくなるかと思い、別の言葉をあてた。
四行目の直訳は「稀有よりもまた、これは稀有。」
稀有なものより抜きんでて、他の稀有なものごとからこれ(菩提心)がダントツに稀有であると説かれる。
 
菩提心の向かうところは仏陀の境地であるけれど、
何のためにといえば、
心を持つ存在それぞれの苦しみや欠点を無くし、
それぞれの良質を伸ばし、それぞれが幸せになるため。
 
イメージで大まかな括りの「一切有情」ではなく、
それぞれの場所で別々のものごとを経験している、ひとつひとつの存在を、
幸せにしたいと望んでいる。
 
仏陀はさておき、
菩薩は一切有情をそれぞれ知っているわけではない。
それでも、それぞれの有情を全て幸せにしたいと望む。
 
それ故に、菩提心は対象を了解しているわけではないともいわれるけれど、
いうなれば、覚悟のような
「やる気」なのだろう。

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