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サイレント・サイドライン

私がUEFA指導者ライセンスを取得したアイルランド・サッカー協会による印象的な取り組みをご紹介したいと思います。


Respect Our Game


これは、アイルランドで2月2日〜2月4日に行われるあらゆる子ども達の試合で、その週末だけは静かに子ども達を見守りましょう、と打ち出したサッカー協会のある取り組みです。

サイドラインで見守る指導者、保護者は以下の項目を守り、子ども達にとってポジティブな環境を作るためのルールを守ることが前提とされて試合を観戦します。

●試合を静かに見守る - 選手自身にプレーさせ、考えさせ、学ばせる。
●ポジティブなサイドライン - 応援や拍手が原則。指示や文句ばかりなら静かにしましょう。
●自分の役割を知る - 選手にプレーを任せ、審判に審判を任せ、コーチにコーチングを任せ、観客として積極的に見守る。
●試合の応援やコーチングにおいて、不適切な発言、怒鳴り声、攻撃性、身体的暴力、他人を笑うようなことを常態化させない。

FAI

体験した選手達の感想は?


「チームとしてのプレーが良くなり、自分たちのプレーに自信を持つことができた」
「リラックスできて、とても良かった」
「コーチや親からの指示がなかったのは新鮮だった。時には助けとなる声が必要だけど、いつも必要というわけではない」
「とても楽しかった。お互いの声がはっきりと聞こえたし、それによってよりチームをオーガナイズすることができた」
「新しいことにチャレンジできた。いつもはミスすると外から声が飛んでくるけど、今日はそれがなかったから」
「大変だった。いつもはミスしたら聞こえてくるコーチングが今日はなかったから」

FAI


こういう週末を試験的に年間で何度か取り入れて、浸透させる試みを協会が主導していくのも面白いのではないだろうか。少なくとも悪い方向に進むことはない。

試合の応援やコーチングとは明らかに異なる不適切な発言や怒鳴り声、攻撃性のある言葉使いや暴力、他人を嘲笑するような態度を常態化させないために。

何も取り組まないということは、それを行っている本人は容認されていると勘違いしてしまう。

日本がしばしば抱える問題は世界でも同じなのです。



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