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『仮面ライダーセイバー』が好き

ボンヌレクチュ〜ル!!!

 ぼくはタッセル………ではなくデスデス。『仮面ライダーリバイス』始まりましたねぇ。ご覧になってますか?序盤段階ですがとても面白く、この先の展開が実に楽しみですねぇ。
ですが、新しい物語が"始まった"ということは"終わった"物語もあるわけです。

 今回は8月に物語の幕を下ろした『仮面ライダーセイバー』のお話をしたいなと思いました。それではお話のはじまりはじまりです。

 総評から言うと、『仮面ライダーセイバー」という作品に関しては個人の意見としては大満足で大好きな作品です

 ただし、見る人、好きになる人をかなり選ぶことになる万人受けしない作品であることは間違いないと思います。
・説明が少なすぎる
・何をやっているのか分からない
・伝え方が下手
・重要な設定を公式サイトで長々と説明する
・勢いだけで乗り切ろうとする展開

等々ファンである自分としても問題な点はいくつでも挙げられます。

 一言で言うと「不器用」な作品だと思っています。
 ですが、世間の目線ではなく自分の目線としては、ここまで上げた不満点含めてそれが魅力で、そういった部分にも惹かれているのかなと感じています。

 擁護のような聞こえ方にはなりますが、現実的問題として仕方ない部分で番組の企画段階ではコロナにより世界が一変してしまうのは予測が出来なかったこともあり、よりにもよってのこの作品の性質とコロナ禍という時代の相性が恐らく一番よろしくなかったのも強く感じます。

 ただ、セイバーって不器用な作品なんですよ。やたらごちゃごちゃしてますし説明は下手くそだし、でもホントに芯は眩しいぐらい真っ直ぐだし、死ぬほど前向きだし、決める時はバッチリ決めてくれる最高にカッコ良い奴なんですよ。そんなセイバーの事が好きになっちゃったんですよなんですよね。母性もある。

   恋愛モノでも結局はこういう奴が一番ヒロインの事を考えてくれて支えてくれるのに、ヒロインは金髪でふてくされてて何処を見てるのか分からない、何を考えているのか分からない奴に心を奪われてしまうんですよね。

 それでもこの作品は評価が高いというわけでも、他人にも勧めやすい作品でも無いと思います。ですが、この作品に対する声があまり良い声ではないというのは身に染みて感じています。

 セイバーを好きになってしまった身として、セイバーの良い所をちゃんと声を大にして伝えなければならない。という訳で自分のセイバーの好きなとこを語る記事を書いているわけです。セイバーの印象評価を勝手に決めるな!セイバーの良さは俺が決める!!!(ALMIGHTYのイントロ)

 ここからはセイバーの魅力を思う存分語りたいなと思います。とはいえ早速ですがセイバーの魅力。それは


「話して分かるものではない。」

という事です。いきなり放り投げるなって気持ち、わかります。

 ただ本当にそうなのです。自分の語彙力があまりないというのは間違いないのですが、セイバーは「理解する」より「感じる」タイプの作品であるのだと個人的に思っています。

 そもそも『セイバー』って一般的な特撮というかドラマとは雰囲気だったり作風がそもそも違うと感じていて、何かと言うと「舞台演劇」に近いと思うんですよ。

 舞台は基本的に役者の演技や感情、インパクトのある台詞、2時間の尺に収めなければならないところや、なんといっても物語があるのではなく、登場人物が動くことにより物語が生まれていく「生」の感覚
これは全てセイバーにも感じることですね。
「物語」がテーマのセイバーにおいて、やはりそういった演劇や舞台的な作り方、魅せ方になるのは必然的でもあります。

 舞台はやはり生のお芝居なので、感じることが大事なものなので、セイバーをまず舞台演劇として楽しむという事はかなり肝心になると思います。わたしは舞台演劇的なものは大好きなのでそこに乗れたというのもあります。

 とはいえ、1年間通してテーマ、作風がブレないというのはかなり評価出来ます。やはり前作『ゼロワン』がテーマを扱いきれずグダグダになっていた印象がどうしてもあったので、「物語の結末は俺が決める」という決め台詞通りの話を最初から最後まで貫いたのはとても大好きです。
 全知全能の書に書かれていた通りに物語が進んでいたという事が明らかになるのもエヴァの「ゼーレのシナリオ」を思わせるとこもあり個人的には大好きなヤツでした。

 まず、セイバーの分かりやすい魅力として、先ほども挙げたキャラクターが第一だと思います。登場キャラの扱いが変身前、変身後ともに全員良いというのもあります。
 登場人物一人一人のキャラの歩み、感情、それぞれの信念を丁寧に描いていたのは手放しに評価できるポイントかと思っています。

 自分は変にヘイトを集めて視聴者に嫌らわれるようにする作劇はあまり好きでは無いので、敵キャラも魅力的な悪者として描いてくれたのも嬉しかったですね。

 劇場限定のバハトにも出番があったのもとても良かったです。テレビでは無音は流せないという理由もあり、指を口に当て「シーっ」と合図するのもカッコよくて、何度も真似しましたね。

 多人数ライダーの作品はどうしてもメインのライダー、敵となるライダーに視点がいってしまい、全てのライダーに平等にスポットが当たる事は中々難しい事だと思います。 

 ですが、セイバーのどのライダーも登場から最後までちゃんと平等に出番と活躍があり、それこそ剣斬は最初こそ埋もれそうな感覚がありましたが、最終的には物語の中でもかなり美味しい立ち位置になったり、神代兄妹もインパクトのある戦い方、ゼンカイジャーとのコラボ回でも強い印象があります。

今振り返ると、やはりほとんどのライダーを序盤にまとめて出したのが返って良い方向に働いたのかなとも今感じます。やることが多い作品の中でここまで描けたのも凄いなと思います。

 そしてなんといってもライダー。ライダーのデザイン、アクション共にカッコ良く、 CG合成によるワンダーワールドとの融合に合わせ場面が切り替わりまくる戦闘シーンはとても楽しく見ごたえのある演出でした。 キャラ被りしているライダーが居ないためそれぞれ個性が出ていたのも良く、特に聖剣を振るうとそれぞれの属性のエフェクトを剣が纏うのも綺麗で見ごたえしかありませんでした。

 また、ライダーが沢山登場した分、玩具もその分出たわけですが、毎年武器玩具が幾つか出てもあまり劇中で印象に残らない、活躍しない、売れ残ってしまうといった現象も珍しくない中、1人のライダーにつき専用の武器を与え、それを最後までしっかり使ったというのも好印象です。
主役のセイバーでさえ、キングオブアーサーや、最終フォームのクロスセイバーもありますが、基本はずっと火炎剣烈火を使い続けてましたからね。

  所詮変身アイテムや武器は"戦う為のガジェット"でしかない(悪い意味は一切ない)中、聖剣には剣士それぞれの想い、感情、先代剣士からのストーリー、キャラクター性が全て乗っかっててアイテム以上に特別な物になっているってのが凄く良いんですよね。

 自分も実際に観ている最中は玩具のペースに追いつけない部分もあり、ソードライバー組とプレバンの虚無以外はスルーしてしまったのですが、放送を終わった今としては全ての聖剣を集めたいと心から思っています。集めがい凄いですからね。

   玩具のクオリティに関しても、本編のものとDXでサイズの違いによりどうしてもギャップを感じてしまうところは剣がメインであるところの痛いところではありますが、全体的にギミックは優れていて、メインのDXソードライバーに関してはギミック盛り沢山で遊んでいる時の楽しさや気持ち良さに関しては歴代でもトップクラスと肌で感じています。


 そしてお話です。セイバーの一年間は例年に比べて話の動き方が特殊だった感覚があります。クールごとに振り返ってみたいと思います。

・1クール目(第1章~第15章)

  毎週毎週新しいライダー登場人物、アイテム、新フォームが立て続けに出てきます。本篇の尺の割合でもかなり多い戦闘シーン、第一話から登場人物たちの異常な理解力の速さもあって視聴者を置いてきぼりにするレベルで物語はとんとん拍子で進んでいきます。そして1クール目ラストの上條カリバーとの決戦では最終決戦レベルの盛り上がり。恐らくこの異常なテンションとノリに序盤から着いていけなくなった人達はたくさん居たと思います。

  ちなみにわたしは毎週毎週新しいライダーやおもちゃが出てくるのでそれはもう楽しい1クール目でしたね。今見返してもとても楽しい序章です。

 また、CG演出や、いつ撮影が中断しても問題のないように急ぎ足ともとれる展開はコロナ禍での作品というのが分かりやすく出ていますね。

・2クール目(第16章~第25章)

 組織内に潜む裏切り者をめぐる仲間割れ、そして仮面ライダー最光/ユーリという超便利キャラの本格参戦、人間のメギド化。異常なスピードで進んでいた1クール目と打って変わってこの2クール目では説明されてこなかった作品の謎、キャラクターの掘り下げなどまるで交通整理を始めるかのよう作品が普通のテンションになります。

 この2クール目ではCG演出も落ち着きを見せ、出てくる登場人物の数も減り”見やすい作品”となりました。この時期から脚本も福田さんより長谷川圭一さんが担当することも多くなりました。ロケが多くなったのも先も述べたコロナ禍での撮影も余裕が生またのをを感じますね。

 わたしももちろん面白いし見やすくなったとは思っていましたが、自分の好きな1クール目との差に物足りなさを感じ、あまりのめり込むことは出来なくなっていました。今見返すと凄く良いのですが。

・3クール目(第27章~第38章)

 このクールでは2クール目の落ち着きも合わせながらプリミティブドラゴン賢人の復活賢人の目的神代兄妹の本格参戦に変身。エレメンタルドラゴンマスターロゴスの参戦全知全能の書の存在バハトの復活飛羽真と倫太郎の友情が描かれるなどイベントや目の離せない展開が盛り沢山で1クール目の勢いとノリを一気に取り戻すかのような楽しい展開。

 個人的にはここにセイバーの面白さが詰まってると思っていますし、普通盛り上がりにくい3クール目という期間をここまで盛り上げたのは凄いと感じています。そしてなにより大イベントであるセイバー坂もありますからね。

・4クール目(39章~増刊号)

  クロスセイバーの華々しい登場で幕を開ける最終章。賢人もノーザンベースに戻り、神代兄妹も仲間に加わり、クロスセイバーの活躍を見せると同時にマスターロゴスとの決着をつけ、蓮とデザストの決着、そしてストリウスとの最終決戦へ向かうソードオブロゴス。熱い展開ばかりです。

 合間にはゼンカイジャーとのコラボ回も挟まるヨホホーイ!な展開もあり、毎週盛り上がりました。セイバーが1クール目から持っていた盛り上げ術と煽りが上手く最終決戦とマッチしたという印象です。


 そして、『仮面ライダーセイバー』の問題点であり、究極の魅力、自分はやはり"異常なテンションと異常なノリと異常な勢いで突っ走る展開"だと思います。
  これは合わない人はホントに合わないものだと間違いなく感じますが、自分としては"どツボ"なんですよね。これがクセになるとたまらないんですよ。

  今回のブログを書くにあたってセイバーをざっくりと見返したのですが、正直な話をするとリアルタイムで追っていた時よりまとめて見返した時の今回の方が圧倒的に面白かったんですよね。

 そもそも、自分の人間性にもなるのですが、自分はどちらかと言うと感じるタイプの人間であり、細かい事はほとんど気にしない性格で、理屈より行動タイプでもあるので、1回落ち着いて考える理解するという行為をかなり面倒くさがっている節もあります。(ダメだと思います)
 そんな自分にとってはセイバーくらい説明をサラッと流し「わかるよな!?付いてこれるよな??」ぐらいの疾走感が観やすいというのはあります。

 そんな自分の好きな『仮面ライダーセイバー』の集大成のエピソードとして挙げられるのはやはり第35章「そして私は、神になる」です。

 セイバー坂が話題になった回なのですが、この回はセイバー坂以前に色々おかしいのです。なんといっても1分、いや秒単位で何かしらイベントが起きるのです。

(集められる剣士、奪われたブックと聖剣、賢人カリバー乱入!聖剣封印!ファルシオン乱入!剣斬乱入!剣斬と賢人カリバーが対決!賢人が倒れる!飛羽真登場!ファルシオンに苦戦!突然やってくるエモーショナルドラゴンライドブック!映画限定フォームがTVにも登場する激熱展開!対して一瞬でやられるバハト!消えるバハト!もうエモドラの出番は終わり!!!数秒!!!そして全てのブックが揃う!めちゃくちゃシュールに吸い込まれるルナ!突然現れたソフィア!カッコいい事言いながらルナを助けようとするも秒でやられるソフィア様!何しに来たんだソフィア様!!!!あーーーーっ!!!!ルナァァァァ!!!!飛羽真ァァァ!!!!!今度こそ………!今度こそ絶対に助けるッッッ!!!いっけえーーー!!!!舞台装置:約束セイバー坂ッッッ!!!!!うおおおおおお!!!!!ハァハァハァハァ!!!ァァッッ!!ルナ!!!ルナァァァァ!!!!!!そして手が届く!!!そして空中で抱き合う飛羽真とルナ……………。そして聖剣も復活!ユーリも復活!やっぱり飛羽真は最光だな!まぁいいでしょう……フフフ…………お前ホントにまぁいいのかマスターロゴス!!!結局消えるルナ!!!陽気なスカパラEDとダンス!!!今日は踊ってもいいぞ!!!

「なんだか凄く疲れた…………………」


 たった22分の出来事なのです。恐ろしい詰め込みっぷり。もはや狂気。異常映像ですよ。

 ネットではかなり荒れた印象ですが、自分はこの回をリアタイで観ていて拍手しました。正直なところを言うと、この話で「自分はセイバーが好きだ……」と気付いたのもありますし、この回から毎週毎週が尚楽しみになりましたね。

 このようなものは中々観れるものではないですし、どれだけ計算をしても作れるものでもないと思うのでセイバーの魅力が大爆発した回だと感じます。

   セイバー坂に関しては映像としては自分の笑いのツボ的にはど真ん中なので大好きですし、真面目な意味でもそれまで掴めなかったルナの手を「今度こそ…!」という想いでルナの所へ駆け上がる、約束を果たすのですから物語としてはとても好きです。

 また、この回から間髪空けずに出てきたクロスセイバーも自分がセイバーにのめりこんだきっかけの大きな理由です。クロスセイバー初登場回も35話同様セイバーの異常なノリとテンションが詰まっていて脚本としても大好きなのですが、何よりもクロスセイバーがかっこいい。

 いやあ、クロスセイバーいいですよね。自分はライダーの最強フォームというものにはあまり惹かれないタイプなのですが、クロスセイバーは自分の中でもエンペラーキバと並ぶ勢いで大好きですね。

 とにかくぱっと見の色味も造形もシンプルなのですが、芽衣ちゃんも言ってた通りなんといっても「キラキラで美ボディ!!!」宇宙要素透明感神々しさがあの表現の難しい美しい色味に観ていて吸い込まれてしまいます。それでいて戦い方もそのビジュアルに劣ることなくすべての聖剣を自由自在に操るというのがたまらなく、クロスセイバーには自分の中の乙女心と男子心を両方擽られる感覚があります。

  そしてなんといっても、ライドブックによって形状が変わることも大きな魅力で、こういった小物アイテムは最終章の時期にはおざなり状態になることが多いので、ワンダーコンボがまさかの復活を果たすクリムゾンセイバーには歓喜しましたね。そして飛羽真、倫太郎、賢人の3人のライドブックを使用したフィーチャリングセイバー。3人の力を合わせるというのが最終章で観れるのも熱いですし、これでマスターロゴスを倒すのも最高でした。

 また、玩具も素晴らしいプレイバリューで劇中で使われた三形態に加え、関連のないライドブックを使用したハイブリットセイバー、レジェンドライダーブックを使用すると特別音声が鳴るなどの豊富さ。

 クロスセイバーの魅力の一つとして、なんといっても”無限性”でしょう。基本的には色が変わるだけなので、ドラゴニックナイトやエレメンタルを使ったクロスセイバーなど妄想がとにかく広がるのがたまらないですね。

 挿入歌で使用された『Rewrite the story』もカッコ良く、音量もしっかりしていて近年の挿入歌でも一番印象に残った楽曲です。3人共歌が上手い。

  無限性があることにより、正解がない最強形態というとこで、まさに自分たちが物語を創造するというコンセプトとぴったりだと感じています。

 今思い返すと、セイバーはフォームチェンジが豊富で序盤のワンダーライドブックを使ったコンボや、セイバーの元々持っていた洋風の要素を更に強め、西洋の鎧をまとった竜騎士ドラゴニックナイト物語の呪いに支配されるように暴走するプリミティブドラゴン、その物語の中の孤独な少年を救い、友達を作ってあげることで和解克服したエレメンタルドラゴン小説家の要素が一番上手く作用されていましたね。暴走フォームの克服としても納得のいく展開でお気に入りの話の一つです。
  プリミティブドラゴンに関しては最終回の活躍も胸が躍りました。

 オールマイティセイバーも大好きです。最終回がそもそも大好きなのですが、全ての聖剣の力を合わせたクロスセイバーに対して、全てのワンダーライドブックという物語の力を結集させるのがセイバーの総括としても最高です。そんなライドブックの物語の力を駆使しストリウスを倒すも結局は世界中から物語が消えようとするのを、ライドブックだけではなく、世界中の生きる人々の大切な物語の力で世界を救うという、それまでを含めた”オールマイティセイバー”だと思っています。

 ホントにアナ雪の二の舞かとあれだけ不安視されていた視聴者映像をあそこまで素晴らしい形で使用したのは拍手ものです。

  演出的にもそれぞれのキャラが言葉を発し、皆の声で「物語は永遠に続く!」からのお決まりALMIGHTYが流れる激熱演出ですからね。手元に戻ってきた聖剣をベルトに勢いよく刺す動きがめちゃくちゃかっこいいんですよね……。片手でブックを開く賢人くんのカッコ良さに惚れてしまいます。

 本編では説明はされませんでしたが、ワンダーワールドで1年間消えてしまった人達の物語を書き続けた飛羽真先生はやはり尋常ではないですね。ストリウスとの決戦で「俺は英雄なんかじゃない!ただの小説家だ。」というセリフの通り、最後は”小説家”として人々を救い”英雄”となるのは素晴らしかったです。

小説家に対する詩人としてのストリウスの存在、自分がオリジナルだと思って書き上げた詩が既に世界に存在していたことを知ってしまう絶望というのはクリエイターらしい絶望だと思いますし、同時期に話題になった藤本タツキ先生の『ルック・バック』とも通ずるところがあると感じました。

 飛羽真の「なぜお前は詩を書こうと思った?」「そんなこととっくに忘れたわァァァ!!!」の掛け合いも大好きです。

増刊号も良かったです。冒頭のノーザンベースでビーチ気分を味わってるとこはセイバーの変な部分の結晶みたいでよかったです。ゲストに離れ離れになる幼馴染の中学生を置きながら、この作品のテーマの一つでもあった飛羽真・賢人・ルナの3人の幼馴染の物語総括しているようで感慨深かったです。

 この3人のお話と言えば、描き不足感もやや感じますが、第44章で3人の大事な場所である木の下で幼い頃と何も変わらない飛羽真と賢人を見て二人の輪にルナが入ると彼女も大人の姿に変わり、ようやく3人で再会できたシーンが本当にベタですが素晴らしくて、そこだけでこの3人の本質や伝えたいことが詰まっていた気がします。大好きなシーンです。

 この数年の作品というか仮面ライダーシリーズはビターな終わり方をするものが多い中、セイバーはしっかりハッピーエンドで終わらせたのも、なんやかんやハッピーな終わり方が好きな自分にとっては大満足でした。

 ここまではTVシリーズの感想です。ここからはざっくりとそれ以外のコンテンツのお話を。

『劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』

  冬映画として延期になってしまった『REAL×TIME』との同時上映作品ですが、1クール目のセイバーの作品性が20分間に凝縮されていて、この作品が苦手な人からしてみれば苦痛の20分。好きな人からしてみれば超快楽の20分。この作品を見ればセイバーとの相性が分かると思うので本編をこれから観ようか考えている人には良いかもしれません。

 とはいえセイバーのド迫力戦闘シーンは劇場と相性が良く、個人的にはかなり見ごたえのある作品だ感じています。 冒頭で神山先生っぽいひとが「君の物語の結末は、君が決めるんだ!」というセリフを発すると、同セリフが画面右下に手書きポエムのように表示されるとこなんかはセイバーの変なとこがかなり出てて良いですし、EDの『多重露光』は曲、映像ともに大好きですね。なんなら本編でもEDに使ってほしかったぐらいの出来です。

『スーパーヒーロー戦記』

  本来は夏映画であるところがライダー・戦隊の合同記念作品となった本作。当初は春映画の再来として恐れられていましたが、実際は過去の春映画とは真逆の印象の集合映画でしたね。

  過去作のキャラクター達の客演や恒例の採石場パートの印象が強くなりがちですが、元々はセイバーの夏映画枠でもあったので、セイバーの作品性やテーマ。飛羽真の小説家という設定もかなりしっかり作品の重要な要素になっていましたし、終盤の剣士たちの同時変身は本作で一番好きなシーンです。ワンカットで一人一人がライドブックを開くシーンがとてつもなくカッコいいんですよね。一人だけ息で開ける玲花様の美しさたるや……。

 また好きなポイントとして須藤芽衣さんですね。本編での扱いは少し疑問に思うところもある中、当作では演じる川津さんのもつ雰囲気が鈴木福君演じる石ノ森章太郎氏との関係性にうまくハマっていましたね。

 飛羽真・賢人・ルナのifの世界の描写ではセイバーの変な部分が大きく出ていて最高でしたね。山盛りのポテトサラダが食べたくなります。

 様々な意味で現行作品がセイバーだったからこそ出来た作品だなと思います。

『仮面ライダーセイバー スピンオフ 剣士列伝』

 配信サービスサイト「TELEZA」にて配信された作品。印象としてはやはり本編に入れてほしかったという感想に尽きるような補完作品ですが、やらなければならない事が大量に合った中で尺に入りきらず配信に回すしかなかったことは仕方ないですね。

『TTFC 産直シアター 仮面ライダーセイバー』

 冒頭部分で「セイバーは舞台演劇」のような話をしましたが、ヒーローショーという舞台がセイバーとの相性のよさを実感する作品です。

 時代が時代なのでそういったショーが中々開催されなかったのもとても残念に感じますが、当作はファンのリモート映像参加がかなり上手く使われていたり、セイバー本編でも使用されていたリアルタイム合成が上手くハマっていて、技術や演出の進歩と共に今後もどんどん凄いものに伸びそうな予感がするので、今後も続けてほしいコンテンツです。

 第2幕には自分も好きな間島なおみさんというグラビアモデルさんも出られていて発掘の場としても良いなと思います。

「別冊 仮面ライダーセイバー 短編活動萬画集」

 本編とは一切関係もないコンテンツですが個人的に大好きなので紹介を。EDダンスの撮影裏やメギドの英会話教室など本編とは打って変わって楽しいゆるゆるアニメですが、この作品のキャラの持つ面白さがかなり出ています。

 自分のお気に入りは第3集、第4集です。ソフィア様がノーザンベースの本棚をいじって脱出ゲームを作っていたら、自分が本棚に挟まって出られなくなるというキャラ大崩壊っぷりが炸裂する楽しいエピソードです。私はこれでソフィア様のことが大好きになりました。

 最後に個人的な1番の不満点というか心残りを話しますが、誰が悪いともいうわけでもないのですが、わたしはロックフェスやライブに足を運ぶことが大好きで、主題歌を担当された東京スカパラダイスオーケストラも[Alexsandlos]の川上洋平さんもロックフェスにおいてとても馴染み深いアーティストさんであったため、放送中にフェスでセイバーの主題歌を聴きたかったなというのが一番の心残りですね。

 いや~、フェスでセイバーEDダンスを踊るのは未だに憧れますね。なんならセイバーのEDがダンスだったのはフェスで踊るためぐらいに思っていますからね。

 「ALMIGHTY」の歌詞にもある通り「取り戻せ 平和な世界」というフレーズにもある通り、自分がフェスでセイバー楽曲を聴いたときにようやく一つの「物語の結末」があるのかなと思います。

こんな時代に未来に希望を持てる作品を出してくれたのは『仮面ライダーセイバー』の好きな大きな理由です。

 宣伝臭くなりますが、こちらの「フィギュア王No284」にセイバーの初期案や制作裏、製作陣の反省点がかなり細かく語られており、必見の一冊だと感じています。

 こちらを拝読して今思うのはセイバーの企画当初から現在までどれだけ大変な一年間だったのを改めて身に染みて感じました。そんな中でも「知恵と勇気を掴んで」というフレーズの通りに諦めずに走り抜けた軌跡、この物語をがむしゃらに作り上げた者たちの情熱の過程である"物語"も含めて、『仮面ライダーセイバー』は私の大好きな物語だとこれからも胸を張って大事にしていきたいです。



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