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副作用の間、末っ子がずっと同じ頭でいてくれた話。

5月末からの抗がん剤治療が決定した時の話。

「もちろん髪は抜けます。個人差はあるけどだいたい投与後2週間後ぐらいからかな?それは免れないです。」

主治医からの説明でショックを受けたのは元美容師の主人の方でした。
私は『がん治療=髪の毛なくなる』とイメージしていたのでそれほどのダメージは(この時はまだ)感じていませんでした。

まず、胸まであった髪を、行きつけの美容室でショートカットにしました。
もう10年以上の付き合いになる担当美容師のはるちゃんに事情を説明すると、いつもの明るい笑顔で「くみちゃんならきっと乗り越えられる!乗り越えられるから、くみちゃんなんやで!絶対に、絶対に大丈夫!今日はお代はいいから、その代わり絶対に乗り越えて1年後元気な姿見せてな!」と言ってくれました。その時の綺麗なはるちゃんのキラキラの笑顔と、お店のご厚意は一生忘れません。

帰宅後ショートカットになった私を見て、また涙ぐむ主人。

「ショートカットも似合うんやな。知らんかった。」
もうすぐ抜けてなくなるのに・・・。

主人の心の声が切なくて、「こんな綺麗な髪形にしてもらってもったいなかったね(笑)」と笑って言うのが精一杯でした。

その日の夜、
主人が末っ子(当時3歳)をお風呂に入れてくれたのですが、出てきた末っ子を見て悲鳴を上げました。

えっ!?めっちゃきれいな坊主頭になってるんやけど・・・・・・・・・

「ちょっと!!ここまでやるなら一言言ってよ!!!何てことしてくれたん!!せめてツーブロックとかにしといてよーー(泣)」とわめく私に、「男は坊主ぐらいがちょうどいいねん!」と主人。
その悪びれのない様子にカチンときたのを今でも覚えています(笑)。

年少さんになったばかりで丸坊主・・・

ママ的には初見ショックすぎて倒れそうになりましたが、末っ子本人は気に入った様子だったので泣く泣く受け入れました。。


5月末 私の抗がん剤治療が始まりました。

投与から1週間ほどして体毛が、そしていよいよ2週間後から髪がごっそり取れはじめました。

ゴミ箱を抱いて抜け落ちる髪を集めては泣いて。お風呂でシャンプーをすればとめどなく流れ落ちる髪の毛を見て泣いて。。

正直、ここまで精神的にダメージがあるとは思わなかった。

もう耐えられない。
坊主決行します。

突然バリカン片手にお風呂場へ向かい勢いに任せて前方から剃り込みを入れると主人が追いかけてきてくれて

「待て待て・・わかったわかった・・・俺にも決意が必要やのに・・」

と、涙声でつぶやきながらきれいに仕上げてくれました。
(前記事の動画参照)

「つらい?」

「うん・・・」

そりゃそうやろなぁ・・・奥さんの頭をバリカンで坊主にするなんて普通じゃ考えられへんことやもんなぁ。。つらい思いさせてごめんね。。

バリカン途中のモヒカン姿がこちら。

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出来上がった坊主姿がこちら。

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リビングでドギマギしながら待っているであろう家族のもとに姿を見せると、その反応は意外なものでした。全員が口を揃えて

「わぁー!しおん(末っ子)と同じ頭やーん!」
「しおんみたい~~!!」

って。。。

え・・・?それだけ・・・?

あ・・・なるほど、こういうことやったんか・・・。

その時に初めて私は、先月主人が末っ子を丸坊主にした意味を理解しました。私の髪が抜け落ちる前に、周りに坊主を浸透させてくれていたんです。私の髪がなくなることに、私よりも気を使ってくれてたんだ・・・。

ドセタキセルになる頃にはツルツルにもなりましたが、それからラスト抗がん剤の12月まで、末っ子がずっと同じ坊主で寄り添ってくれていました。

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ありがとうしおん。。ありがとうパパ。

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