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私はこう考える ー 日経新聞の気になった記事(2022/2/12~)
本投稿でお伝えすること
本投稿では2月12日以降に読んだ日経新聞の記事の中で、気になったものについての私の考えをご紹介します。
進んで無知を認める意思
今を読み解く人生100年時代学びの力 仕事の「先」を考えよう
立教大学教授 中原淳
この記事のポイント
かつて「社会人になる」とは学び終えることだったが、変化の早い現代社会では「働きながら、学び続け、変わり続けること」を意味する。
パーソル総合研究所の調査では、「とくに何も学んでいない」と答えた日本人就業者は46.3%で、アジア諸国の中でダントツに低い。
仕事をした「先」に何を望み、どのような人生の軌道を描くのか、ひとりひとりが考えなければならない時代を生きている。
私は日本人の大人が学ばない最大の理由は、「終身雇用制度」にあると考えています。
日本では正社員として企業に採用されると、よほどのことがない限りクビになることはありません。
そんな環境で生きていれば、早く家に帰って新しいことを学ぶより、仕事帰りに上司とお酒を飲んで愚痴や自慢話を聞いて上司をいい気持ちにしてあげたり、社内政治に力を入れるほうがよいと考えるのが自然でしょう。
また下手に上司より高いスキルを身に付けて、”エラい”と誤解している上司に嫉妬され、評価が下がるくらいなら、会社や上司が重要と考え、社内で評価されるスキルをほどほどに身に付けておけば良いと考えるのも当然です。
そして、同じ会社で10年、20年と過ごすうちに社内のことが一通りわかり昇進してくると、世の中のすべてがわかったような気になって、それ以上新しいことを学ぼうとはしなくなるのです。
ユヴァル・ノア・ハラリ著『サピエンス全史』によれば、宗教のような近代以前の知識の伝統は、この世界について知るのが重要である事柄はすでに全部知られていると主張しました。
そのため、個人が知らない場合はもっと賢い人に尋ねれば良いし、社会全体が無知な場合は偉大な神が伝えていないので重要ではないと考えていたのだとか。
その後人類は、自らにとって最も重要な疑問の数々の答えを知らないことを認め、そのことが科学技術が発展するきっかけになったそうです。
多くの日本人が、「進んで無知を認める意思」を持てば、自ずから学びの意欲は高まってくるのではないでしょうか。
recognize my ignorance
「ヨックモック」な気持ちで
ゆっくり移動のすすめ Slow Ride, Slow Life
この記事のポイント
ゆっくり、スローに動く乗り物が注目されている。
移動に対する意識がこれまでの仕事のための「コスト」から、日常の「豊かな時間」へと変わってきている。
ゆっくり移動することで対話が弾み、まちに潤いが生まれる。
同日の日経新聞朝刊に「空飛ぶタクシー日本投入」という記事もありました。
米航空機大手ボーイングが出資する米新興企業が、早ければ2020年代中にも東京で空飛ぶタクシー事業を開始する計画なのだそうです。
同じ日の同じ新聞の中で、ゆっくり移動することによって新たに生まれる価値と、速く移動することで生まれる価値が紹介されているのが面白いですね。
ゆっくりと速く
コストと豊かな時間
地上と上空
ここ数年、自分の信じる意見に固執し、反対意見を受け入れない傾向がますます強まっているように感じます。
人間には自分の考えや思い込みに固執して、都合のいい情報ばかりを集めてしまう傾向があるので、ある程度はやむを得ないことかもしれません。
行動経済学では、自分の考えや思い込みに固執してしまう思考プロセスを「固執性ヒューリスティック」、その結果自分に都合のいい情報ばかり集めてしまうことを「確証バイアス」と呼ばれています。
学校の勉強と違って実社会には正解がないので、どちらか一方の意見が正しく、他方が間違っているということはありません。
むしろ両方の意見があるからこそ、上に挙げた移動手段のように多様な価値が生まれてくるのではないでしょうか。
人間の思考のクセを意識しつつ一方的に相手の意見を非難しないように、私はYOCMOC(ヨックモック)の精神を心掛けています。
Your Opinion is Correct and My Opinion is Correct too.
(あなたの意見は正しい、私の意見も正しい)
※有名なお菓子メーカーさんとは無関係です(笑)
妄想のススメ
2022/2/16(水)の日経新聞夕刊から
企業経営に思考実験のすすめ
野村マネジメントスクール フェロー遠藤幸彦
この記事のポイント
単純な状況を想定して帰結を考える知的な営みを思考実験という。簡単だが時に本質的な洞察に至ることができる。
アインシュタインは理論の構築や他の物理学者との論争で思考実験を多用していた。
思考実験を企業経営に応用すると「何もしないことのリスク」をあぶり出すのに役立つとともに、新しい考え方(流行)に惑わされず自社にとっての本質を見極める助けになる。
日本では古くから言葉には霊力が宿っていて、口に出して言葉にすると発した言葉が現実になると信じられています「言霊(ことだま)」。
そのため不吉なことや望まないことは、あえて口にしない傾向がありますよね。
しかしIT技術の進展や自然環境等の変化・グローバル化などによって不確実性が高まっていて、どんなことが起こっても不思議でない時代になっています。
日々新たに起こったことを情報として目にしていても、その影響までは真剣に考えないことが多いですよね。
「どんなことでも予期しているものにはその分だけ打撃が少ない」
「何もしないことのリスク」をあぶり出すこと、新しい考え方(流行)に惑わされず自社(自分)にとっての本質を見極めることは、不確実性が高まるなか企業だけでなく個人にとってもとても重要なことだと思います。
思考実験を使って目にした情報が自分の人生にとってどんな影響があるのか、妄想を膨らませて考えてみることも必要ですね。
ジーバーイーツ
観劇、字幕端末とともに
この記事のポイント
耳の不自由な人も演劇を楽しめるように、字幕を表示したタブレット端末を貸し出すといった鑑賞サポートを行う劇場が増えている。
鑑賞サポートを利用できるようになり観劇の回数が増えた方もいる。
著作権の関係で一部歌詞が表示されない課題が残っている。
現在のITテクノロジーは、若干とっつきにくかったり、使うのに慣れが必要だったりすることもあり、どちらかというと若い人やある程度豊かな人が、生活をより快適にするために使っていることが多いように思います。
でも実は紙の本よりも電子書籍の方が文字のサイズを大きくできるので、目が悪くなってきた方にも使いやすいように、体の不自由な方だったり高齢者の方でも簡単に使えるようなITテクノロジーが開発されれば、より生活の質をあげることができるのではないでしょうかね。
例:
高齢者が簡単に注文できる料理の宅配サービス(通称:ジーバーイーツ)
指先の動きが悪くなって、小銭がうまく扱えなくなった方向けのキャッシュレス決済サービス
足腰が弱ってきた方が最寄りのスーパーに買い物に行くときに使える自動運転車
体の不自由な方が海外旅行体験できるVR(仮想現実) など
これからますます高齢化社会を迎える日本では、こういったサービスは需要が高いように思います。
日はまた昇る
2/18は世界のなかでの日本の影響力の低下を感じさせる見出しが目につきました。
円の実力50年ぶり低さ
実質実行値 購買力落ち、家計に負担
企業の資金 日本離れ加速
円の実力50年ぶり低さ 経常黒字でも円高進まず
貿易赤字、原油高で定着も
1月8年ぶり2兆円超 コロナ禍、輸出も鈍く
日本国債売り 狙い撃ち
先物巡り海外勢 一時「逆イールド」も
5週連続で株売り越し
海外勢
今から30年ほど前の1980年代後半から90年代の初めの頃の日本は、巨額の貿易黒字を抱え為替レートも円高基調だったので、海外に行くと物価がとても安く感じられました。
まさに日の出の勢いだったその当時と比べると、隔世の感がありますね。
3月からの水際対策緩和策は表明されたものの、入国できない外国人が40万人もいて、足止め解消にはしばらく時間がかかりそうな状態も続いているそうです。
影響力の低下も相まって、日本がどんどん外国との距離が遠い国になっているように感じました。
一方、同日の記事によると、上場企業の業績は好調なようです。
上場企業、純利益最高に
増益・黒字転換7割 海運や商社けん引
この好業績を世界への貢献に繋げていきたいですね。
「良いものをより安く」の罪
賃上げへの課題(下)「適材適所」雇用で生産性向上
大阪大学教授 佐々木勝
この記事のポイント
岸田首相が経済界に賃上げを強く要請しているが、労働者の生産性が高まらなければ持続的な対応は困難。
日本生産性本部によると時間あたり実質労働生産性上昇率は長い間ゼロ近辺で推移している。
雇用のミスマッチがあると生産性引き下げにもつながる。
人材の流動化を進めるための「解雇規制緩和」や「ジョブ型雇用」もミスマッチの解消には効果的。
日本の生産性の低さは以前から問題になっていますね。
確かにこの記事で指摘されている「雇用のミスマッチ」も生産性を下げる理由のひとつではあるのでしょう。
私は日本で生産性が上がらない最大の理由は、日本の多くの会社が標榜している「良いものをより安く」という方針にあると考えています。
日本生産性本部によると、名目労働生産性は「就業1時間当たり付加価値額」として表されます。
労働の結果生み出された付加価値を分母として、生み出すために投入した労働時間を分子として計算するわけですね。
とすると生産性を上げようと思えば、生み出す付加価値額を増やすか、投入する労働時間を減らすかのいずれか、または両方が必要です。
ところが「良いものをより安く」を方針としている会社では、より安くする(=付加価値を減らす)ためにはどうすれば良いか、社員の方が日夜残業して(=労働時間を増やして)考えることになります。
付加価値=価格x数量なので、安くしても今までよりたくさん売れるのであれば、付加価値を増やすことができるかもしれませんが、人口が減っている日本ではあまり期待できません。
となると「良いものをより安く」を追求している限り生産性が上がるわけないですよね。
さらに高くしようと思えば、買う側に納得してもらうための「創意工夫」や「知恵」が必要です。
頭を使って新しいアイデアを考える必要がありますし、せっかく新しいアイデアを考えても「前例がない」と上司に反対されてしまうかもしれません。
一方で安くすることは売る側が「我慢」すれば実現できます。
納入業者や子会社に「我慢」を強いることに加えて、日本の職場では「我慢」して遅くまで働くことが”努力している”と評価されることも多いので、どうしてもそちらに意識が向きがちになるのではないでしょうか
せっかく自分の時間を仕事に使うなら「我慢」に時間を使うより、納得してもらうための「創意工夫」や「知恵」を考えることに使うほうが良くないですか?
芦屋みちお
美味しいものを食べて、次回の投稿に向けて英気を養います(笑)。