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仕事の「味覚」を広げる (2022/7/5)

記事の長さはおよそ2,000文字。3〜4分程度で読めます。

社員の働きがい 役員賞与に反映
パナソニックHD系
変動幅は100万円超

2022/7/4(月)日本経済新聞朝刊

記事のポイント

  • パナソニックHDの自動車部品を手がける子会社、パナソニックオートモーティブシステムズ(PAS)は従業員のエンゲージメント(働きがい)が大きく改善すると、執行役員の年間賞与が増える制度を導入する。

  • 2023年3月期から導入し、米国法人トップを除き、社長を含む13人の執行役員が対象となる。

  • 働きがいの改善は、国内約6千人の従業員を対象に実施するアンケートをもとに測る。前年度のアンケート結果と比べて改善や悪化を5段階で評価する。

  • 執行役員が管掌している部署で、働きがいが改善していれば賞与の支給額を増やす。変化がなかったり、悪化したりすれば減らす。年間支給額の差は百数十万円になる場合もある。

  • 執行役員が職場の働きがいを改善し続ける動機にする。

  • 新規分野の開拓に向けて、従業員の意欲を高め、新たなアイディアを引き出す狙いもある


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パナソニックHDの子会社で、エンゲージメント(働きがい)を役員賞与に反映させる仕組みが導入されるそうです。

私は「働きがい」の高さが、「個人の成長」にも「会社の業績向上」にも大きく貢献すると思っているので、このような制度が導入されることには賛成です。

ぜひ成功していただきたいので、記事を読んで気になった点を3点お伝えします。
(PAS社さんから頼まれた訳ではないので、まったくのおせっかいですが(笑))


  1. なぜ米国法人トップだけ対象外なのか

  2. 「ぬるい」職場にならないか

  3. 役員自身が実際に体験したことはあるか


1. なぜ米国法人トップだけ対象外なのか


14名の執行役員のうち、米国法人のトップ1人だけが今回の制度対象外だそうです。

PAS社HPへのリンク:


ギャラップ社の「エンゲージメント」調査では、日本とアメリカのエンゲージメント=熱意あふれる社員の割合には圧倒的な差がありますので、その辺りを考慮されたのでしょうか?

でも前年度との比較で評価するのであれば、相対的な国別の差は関係ない気もしますが。

ギャラップ社調査関連記事へのリンク:


2.「ぬるい」職場にならないか

石井遼介 著『心理的安全性のつくりかた』に、「心理的安全性」と「仕事の基準」の4象限があります。

A:心理的安全性、B:仕事の基準

         B:低い            B:高い   
・A:高い ヌルい職場   学習する職場
・A:低い サムい職場   キツい職場

社員のアンケート結果が賞与に反映されるとなると、良い評価が欲しくなって「働きがい」より「働きやすさ」に意識が向いてしまう危険性があります。

  • 「働きがい」=「学習する職場」→安全性も高く、仕事の基準も高い

  • 「働きやすさ」=「ヌルい職場」→安全性は高いが、仕事の基準は低い


心理的安全性を損ねず、仕事への基準を高く保ち続けられるかが重要ですね。

出版社へのリンク:


3.役員自身が実際に体験したことはあるか

いろんな会社の「エンゲージメント」向上に関わる中で感じていることなのですが、「エンゲージメント」が高まらない会社に共通する大きな原因は、役員をはじめとした管理職の方が、

  • 実際に「エンゲージメント」の高い職場で働いた経験がない

  • 心の底から「エンゲージメント」に共感していない

ことです。


「昭和」と「令和」では、「良い職場」の条件は違います。

役員の方には、「昭和の良い職場」しか経験したことがなく、エンゲージメントの高い「令和の良い職場」がどんなものか理解し、心の底から納得している人は多くないように思います。


例えば、チョコレートケーキに関する本を読んだり動画を見たりすれば、どうやって作るのかわかりますし、どんな味かも想像できます。

でも、その方が左党(お酒好き)で、チョコレートケーキに興味もなければ、

  • 口に運ぶまでにどんな香りがするのか

  • 口に入れたときの舌触りはどんな感覚か

  • 喉越しは?

  • 食べた後でどんな気持ちになるのか


を理解することもできませんし、積極的に食べてみようと思わないですよね。

  • チョコレートケーキがブームだし、美味しいから食べてみて、といわれても半信半疑。

  • 試しに一口食べてみたものの、あんまり美味しいとは思わない。

  • (作れといわれ)仕方なく作ってみたものの、あんまり美味しくならない。

  • なので、すぐに作るのをやめてしまう。


食べものでも甘みや塩分が控えめになるなど、時代によって味覚の好みが変わるのと同様に、仕事で好まれる味も時代によって変わります

塩気の多いものばかり食べていると体を壊してしまうように、仕事でも昔の濃い味付けのものばかりだと組織を壊してしまうかもしれませんよ。



本投稿は日経新聞に記載された記事を読んで、
私が感じたこと、考えたことについて記載しています。

みなさんの考えるヒントになれば嬉しいです。
「マガジン」にも保存しています。

「学びをよろこびに、人生にリーダシップを」
ディアログ 小川



美味しいものを食べて、次回の投稿に向けて英気を養います(笑)。