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「想い」は共有されていますか? (2022/8/10)

記事の長さはおよそ1,400文字。2〜3分程度で読めます。

東工大・医歯大、統合協議へ
10兆円ファンドの支援対象
「卓越大学」指定めざす

2022/8/9(火)日本経済新聞朝刊


記事のポイント

  • 東京工業大と東京医科歯科大が統合へ向けた協議を始める。

  • 関係者によると2大学の法人を統合して1つの大学となり、名称も変更する案が浮上している。

  • 統合の狙いの一つは国際卓越研究大学への指定だ。選ばれると10兆円規模の大学ファンドの運用益をもとに1校あたり年数百億円の支援を受ける。高い研究力や年3%の事業成長を条件に公募され、23年度にも最初の支援先が決まる。

  • 東工大は理工系で国内トップクラスの研究力をもつが「卓越大に選ばれるためには研究分野が広くない点が弱み」(文科省幹部)という指摘があった。

  • 日本の大学の国際評価が伸び悩んでいる。英教育専門誌タイムズ。ハイヤー・エデュケーションによる22年のアジアの大学ランキングでトップ10に入ったのは東大(6位)のみだった。

  • 同誌は「日本の全体的な順位が下落傾向にある」と指摘した。

  • 大学内では「国際競争力の低下は研究費や優秀な人材獲得に大きなマイナス」という懸念が強い。

  • 少子化が進むなかで大学の再編・統合や機能強化を求める声も強まっている。

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こんなふうに考えた


理工系と医学系の分野でそれぞれ国内トップクラスである、
東京工業大と東京医科歯科大が統合に向けて協議をはじめるそうです。

私は大学が競争力を高めることはとても大切だと思いますが、
その実現方法として、統合して規模を拡大し総合的な大学になることが、
本当に正しい選択肢なのか疑問を感じます。


みなさんご存知のように、
産業界ではこれまでにさまざまな業界で再編・統合が行われてきました。

  • 都市銀行は平成が始まる1989年時点で13行あったがいまや3行。

  • 小売業では百貨店、家電量販店、コンビニなどで統合が進んだ。

  • 自動車業界ではかつて「400万台クラブ」のキーワードのもと国際的な合併が進んだ。

  • 市町村でも2005〜6年ごろにピークを迎えた「平成の大合併」があった。


これ以外にも、みなさんの馴染みのある業界で
再編・統合があったと思います。

その結果、国際競争力が高まったと思われる企業はありますか?

さきに挙げた業界のなかで国際競争力が向上した印象があるのは、
トヨタ自動車ぐらいではないでしょうか。

企業(市町村)としてコスト削減は実現できたかもしれませんが、
消費者(顧客・市民)としてもメリットが享受できた記憶は
あまりないですね。


「卓越大に選ばれるためには研究分野が広くない点が弱み」と
文科省幹部の方はおっしゃっているそうですが、

私はバーチャル化が進み、「個」が強くなっていく時代においては、
「想い」を共有しない規模拡大は、メリットよりもデメリットのほうが
大きいと思っています。


6/24の投稿で、100%オンラインが実現した世界では、
「総合力」はなくても一科目だけでも際立ったものがあれば
世界中から優秀な学生を集められる可能性が広がる。
というアイデアをご紹介しました。

6/24投稿へのリンク:


両校の建学の想いを把握していませんが、
もし両校の価値観が異なるなかで、国際卓越研究大学への指定(予算獲得)が主目的の統合だとしたら、果たして学校の競争力は高まるのか。

逆に両校の強み(個性)が削がれるのではないかと心配ですね。



本投稿は日経新聞に記載された記事を読んで、
私が感じたこと、考えたことについて記載しています。

みなさんの考えるヒントになれば嬉しいです。
「マガジン」にも保存しています。


「学びをよろこびに、人生にリーダシップを」
ディアログ 小川





美味しいものを食べて、次回の投稿に向けて英気を養います(笑)。