ソフトウェアテスト領域のトップランナーが語る!事業に貢献する品質保証とは

末村 拓也[Autify]/河原田 政典[グロービス]/風間 裕也[10X/B-Testing(以下人名敬「さん」、社名敬称略で統一)

「品質とは経営課題である」
これは本ディスカッションにて河原田さんが再三口にしていた言葉で、それは決して誇張ではない。

とはいえ、ソフトウェアテストといったらバグや不具合を検知するための確認作業の側面が真っ先に思い浮かぶ人は多いのではないか。
テストは作り手が想定通りの挙動をしているかを確認するために考案することが大半であろうし、作り手でないと分からないようなテストも存在する。

そんな中でのQAエンジニアの立ち位置とは何なのか。
非エンジニアが考えがちな心許ない2つの言葉に対して本質を突くディスカッションをソフトウェア領域に精通した3人が行った。

一つ目は「品質が悪いから製品が売れない」という言葉に対して。
QAエンジニアが立場として存在する企業では直接言われることは少ないかもしれないが、思われていそうな言葉ではある。
河原田さんはその言葉に対しては「品質というと広義すぎるため、売れない原因をしっかりと探る必要がある。」と答えた。
風間さんは「既存ユーザーが品質が悪いと言っていたならそれはチャンスである。」と答えた。また、「マクロな数字にだけでなく、ミクロな現場を見にいくことも大事」だとつづけた。
末村さんは既存顧客の声だけでなく、新規顧客の声を聞くことの必要性も唱えた。河原田さんがそれに重ねてエキスポなどで新規客となり得る人たちと交流ができたことを述べた。

二つ目は「QAって売り上げにつながらないからコストでしかない」という言葉に対して。
これこそ直接言われるということは少ないだろう。だが、末村さんは「QA、テスト、テスト実行は業務削減の時に最初に対象にされる」と残念そうに語った。
河原田さんはQAに限らず「品質というものは企業が書かれている北極星と紐づけるべき成果目標である。」と語った。
風間さんは「品質に対するコストは後になればなるほどかかるもの。品質保証という観点ではもっと前からやれることは多い」と答えた。

さて、パネルディスカッションのレポートとしては以上とする。
一つ一つの言葉の裏側、共通項、本質が余りに濃いものだったので、読み手の皆さんで吟味いただきたく、筆者にしては珍しく淡々としたものになってしまったことはご容赦いただきたい。

だが、少なくとも「QA」というものをソフトウェアの開発のためのもの。という視野の狭い考えは無くなったのではないだろうか。
品質保証のためには、設計・要件定義・企画・マーケティング全てに関わり、多くを巻き込むことが肝要となる。
私自身、「品質」というものに対しての意識をしっかり持ち、襟を正そうと思う。

登壇者様の著書、イベント一覧(一例です)
・末村様
テスト自動化実践ガイド 継続的にWebアプリケーションを改善するための知識と技法(末村 拓也)|翔泳社の本
※サイン会にて直筆サインいただきました…!

・河原田様
LEADING QUALITY | Ronald Cummings-John, Owais Peer, 河原田 政典 |本 | 通販 | Amazon

・風間様
Software Design 2024年2月号|技術評論社
※第1章「ソフトウェアテストとは何か?目的,プロセス,活用方法から新しい考え方まで」寄稿

開発を加速するためのテスト講座 〜アジャイル開発にも適用できるシフトレフトなアプローチ〜(2024.08.21) | CodeZine Academy


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