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かばんの中のシリカゲルに告ぐ(詩)

明け方の桟橋を歩いて
人工の海岸を見渡す
〈じんたいにゆうがいな〉宇宙線と
〈うちゅうにみちている〉エーテルとか
〈かくじつにとどいている〉ニュートリノとか

昨今この辺りはは密度が増していて

古いフランス映画みたいに
「全てが無意味」などと酩酊してはたと気づけば深海にいる
極めて深刻な情緒に身を浸しているが実のところまんざらでもなく

存在の危うい
色のない
眼球も持たない生物は

どなた様にも認知されないが故存在していないのかもしれなく
上昇と下降を幾度か繰り返すだけの慎ましやかな
さして美しくもなく人様にお目にかかりたくない架空の魚類

かれらを脳裏に鮮明に再生させた後

スニーカーの紐をきゅっと締め直し
立身出世を胸に刻みつけ

退屈な冗談そのものみたいな人生を謳歌する

全てがハリボテの都市に壊されて本望です

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