Like a『春色』バトルフィールド ♯15
♂♀
「それでまだ懲りずにいるってわけ?」
向かいに座る市村は頼んだダージリンに口もつけず、苛立たしげに僕を睨んでいた。
僕はサークルをやめた。お世話になった白井さん吉原さん坂上さんには一人ずつ直接会って、今まで僕が騙していたことを打ち明けた。全然気づかなかったと白井さんは言い、気づかない奴がいると思ってんの?と吉原さんは言い、野暮なこと言うなよと坂上さんは言った。
何度か潤さんを構内で見かけたが、潤さんは遠くから僕に気がつくと柔らかく笑うばかりで、言葉を交わすことは無かった。
「残念ながら、僕は比呂を楽にしてあげられないよ」別れた日、堤防の上で潤さんは言った。
「結局比呂は過去のこと、詳しく教えてくれなかったね」
「話せなかったんです」
「じゃあヒントはそこにあるんじゃない?」
そうなのか?だとしたら僕が会うべきなのは────
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