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ネイティブアメリカンの言葉をご紹介

今回は、「ネイティブアメリカンの言葉」をまとめた本を紹介したいと思います。その言葉は、自然を観察して学んだ深い知恵が感じられるものです。少し長めの記事になってしまいましたが、よかったら読んでみてください。

はじめに

2020年の年末に、地上波で放送していた韓国映画「パラサイト」を見ました。外国映画で初めて「アカデミー作品賞」をとったことでも話題になった作品です。

半地下の住居に住む貧困層の家族が、裕福な家族の生活に寄生(パラサイト)していく・・・というものでした。

裕福な生活を送る方の家族には、男女2人の子供がおり、男の子の方はなぜかインディアンの恰好をしていました。何かしら比喩的な意味があったのだと思いますが、見終わった後、そのことが何となく印象に残ったのです。

そして昔に読んだネイティブアメリカンの本を思い出し、久しぶりに読み直してみました。あらためて読んでみると、いくつか気に留まった言葉があったので、こちらで紹介してみようと思った次第です。

「それでも、あなたの道を行け」

本画像①

最初に紹介するのは「それでもあなたの道を行け」という本です。著者はアナベキ・インディアンの血を引く、ジョセフ・ブルチャックという人。その言葉は、1600年代から1900年代にかけて語られたものです。

本の帯は、臨床心理学者の河合隼雄さんが書かれています。

まず訳者の中沢新一さんが書いたあとがきの内容を、少し紹介したいと思います。

こういうタイプの本を読むときには、これらの言葉をしゃべっているのが、英語を母語としていない人々であり、しかも彼らは、自分が表現しようとしている世界と、英語をバックボーンにして自分たちの文明を崩壊させた人々の世界とのあいだには、根本的な異質性が存在していることを知りながらも、・・・誠心誠意、賢明な努力をして、言葉を紡ぎ出しているのだということを、いつも注意して、読んでいただきたいと思う。

翻訳については、英語で語られたものをさらに日本語の標準口語に移し変える作業が、大変難しかったそうです。

いくら文法的に正しい翻訳をしても、それだけでは決して正しい翻訳とはいえず、むしろ「知恵の世界」からは遠く離れたところをさまよっている感じがしたとのことでした。

ちなみに中沢新一さんは、「アースダイバー」などの著作が有名な方です。

それでは、本の言葉を紹介していきます。まずはこちらから。

すべてのものが、あなたのために用意されている。
あなたの道は、前方にまっすぐ伸びている。
ときどき見えないこともあるが、それでも道はそこにある。
道がどこへ続いているのか、あなたは知らないかもしれないが、
どうしてもその道をたどっていかなければならない。
それは創造神への道であり、
あなたの前に伸びているのは、一本のその道だけなのだ。

本のタイトルにもつながる言葉が、書かれた箇所です。

この本を買ったのは約20年前になります。いろいろと悩んでいた時期で、インパクトのある本のタイトルと写真が目を引いて、購入したのだと思います。

自分を頼りに、自分を信じて進め、というふうに受け止めましたが、いかがでしょうか。

つづいて紹介するのは、こちら。

ユーモアというものが、どこからやってくるかは知らないが、たぶんこの世で最悪の状況というのがユーモアのやってくる場所で、あんたはそこに落ちついて坐り、笑うことさえできるようになる。俺の思うにそれは、俺たちの内部の<善いもの>が、いつどこででも吹き出してくるためなんじゃないだろうか。

最悪な状況でユーモアを持つというのは、なかなか難しい気もしますが、逆に吹っ切れることでユーモアが出てくるのかもしれません。

今もいろいろと大変な状況ですが、テレビで時折、クスッと笑ってしまうようなユーモアある取り組みを見かけると、少し気持ちがなごみます。

日本のユーモアというと、私には「落語」が思い出されました。落語の登場人物は、とても貧乏だったり、お調子者で失敗してしまう人だったりしますが、皆とてもユーモアがあります。

落語については、以前におすすめの「落語」をご紹介という記事を書きました。

もう一つ紹介するのは、こちら。

すべてのものが円を描いています。
私たちは自分自身の行いに、それぞれ責任をもっています。
それが円を描いて戻ってくるからです。
・・・宇宙の力が行うことは、すべてが円環(サークル)をなしている。天空は丸いし、地球や多くの星たちもまた、ボールのように丸い形をしているのだと聞いている。風は全力で吹くときには、渦を巻く。鳥は丸い形をした巣をつくる。鳥もわしらと同じ信仰をもっているからだ。太陽は円を描いては昇り、そして沈んでいく。月も同じだ。そして、両方ともに丸い形をしている。

季節でさえ、変化しながら大きな円を描いていく。そして、季節はかならず自分のいたところに戻ってくる。人の命は子供から子供へとつながる円をなしており、こうして円環は、力の働くあらゆるものに見られるのだ。

少し長いですが、引用してみました。科学的な説明や知識とは違って、自然を観察することで見つけた知恵が感じられます。

いつも歩く散歩道に梅の木があるのですが、今ちょうど蕾の状態で、もうすぐ花が咲きそうです。毎年同じ季節に花が咲くというのも、よく考えてみれば不思議なことだと感じます。

CD「今日一日のアファメーション」

ここで少し話が変わりますが、西尾和美さんの「今日一日のアファメーション」というCDを紹介します。

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西尾和美さんは、アメリカや日本でサイコセラピストとして活動されていた方です。

このCDには、西尾和美さんが書いた本「心の傷を癒すカウンセリング366日(今日一日のアファメーション)」の中身をいくつか取り上げて、本人が朗読したものが収められています。

ちなみにアファメーションとは、自分を肯定する言葉のことです。本には自分を大切にする言葉やサポートする言葉が、カレンダー形式で1年分書かれています。

さて、ネイティブアメリカンの本を読んでいると、よく東や南という方角のスピリットのことが出てきます。今回本を読んでいてふと、先に紹介したCDでもそのことが語られていたのを思い出しました。

CDの見開き

こちらは、CDの中身の見開きに書かれている方角のスピリットです。CDには「スピリットの祈り」というタイトルで収録されています。それでは、その内容を紹介したいと思います。

のスピリットよ
新しいことを学ぶ力
変化していく力
今までとは違ったことを始める力をお与えください
のスピリットよ
喜びを見つける力
人生を楽しむ力
情熱、パッションを感じる力をお与えください
西のスピリットよ
捨てていく力
水に流していく力
害のある人間関係を去っていく力をお与えください
のスピリットよ
待つ力、忍耐力
ゆっくりやっていける力
自分の暗い面に直面していく力をお与えください

という内容です。それぞれの方角の特徴やそのスピリットを、よく表していると思います。

CDは基本的に本の内容をそのまま朗読したものですが、前述した「スピリットの祈り」に加え、最後に「流れとともに-Go with The Flow-」というメディテーションの朗読もついています。

こちらも、どこかネイティブアメリカンのスピリットが感じられるものです。目的に早く到達しようと焦らず、「今この時を大切にしましょう」という内容です。

「ネイティブ・アメリカン 聖なる言葉」

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2冊目に紹介するのは、「ネイティブ・アメリカン 聖なる言葉」という本です。こちらも約20年前に購入したもの。著者はオジブウェー族やモホーク族の血を引く、ロバート・ジョーンズとジーナ・ジョーンズの夫妻です。

訳は早稲田大学名誉教授であり、ラジオ番組「テレホン人生相談」のパーソナリティーとしても有名な加藤諦三さんです。

この本には、ネイティブアメリカンの言葉のあとに、加藤諦三さんの解釈による簡単な解説も付いています。

それでは紹介していきます。まずはこちら。

狼は我慢強さと
先を読んではかること、そして待つことを教えてくれる。
狼は風のように走ることも
石のようにじっとしていることもできる。
石のように静まっているべき時もあれば
思い切って野心を追いかけるべき時もある。
これが狼の教え。

ネイティブアメリカンの本を読んでいると、こうした動物や草木などの自然を観察して学んだ言葉がよく出てきます。

つづいてはこちら。

そこにたどりつこうとあせってはいけない。
「そこ」など、どこにもないのだから。

本当にあるのは「ここ」だけ。
今という時にとどまれ。

体験をいつくしめ。
一瞬一瞬の不思議に集中せよ。

それは美しい風景の中を旅するようなもの。
日没ばかり求めていては
夜明けを見逃す。

これは禅の瞑想などで言われる「今ここに集中すること」というのと、同じ内容だと思います。

こんな言葉もあります。

急いではいけない。
あなたは急ぐために創られたのではない。
急ぐのは自己から目をそらすため。
よそ見するとアー・ダ・ニンにたどりつけなくなる。
あなたの心の中の家に
やすらぎがある。

アー・ダ・ニンは「心の中の家」という意味があり、本では「平和の聖域」とも表現されています。

最後に紹介するのはこちら。

私たちが精霊世界に還った時、
創造者がおたずねになる最初の質問は
きっとこのようなものだ。
「あなたは私の創造物を楽しんだか?
あなたは日なたぼっこをしたか?
あなたは鳥の歌を聴いたか?
あなたは姉妹なる杉の香を嗅いだか?
あなたはいとこなるシダの
輝く露の光を見たか?
あなたは森の恵みを味わったか?」

私は趣味で、水彩スケッチを行っています。スケッチをはじめるようになってから、花や草木などの自然によく目が向くようになりました。以前はそれほどでもなかったと思います。

スケッチで描きたい気持ちになるのは、やはり自然のものが多いです。

ネイティブアメリカンの言葉のご紹介でした

本には紹介した以外にも、たくさんの言葉が掲載されています。また気になる言葉は、読む人によっても読む時期によっても違うのではと思います。

ネイティブアメリカン関連の書籍はたくさん出ているので、もし気になる本があれば読んでみてはいかがでしょうか。

私は悩んでいる時や判断に迷っていた時に、たまたま本屋で見つけて手に取りました。読んだあと、なんとなく気持ちを後押ししてくれたり、自分を肯定してくれた感じがしたのを覚えています。

それでは最後まで読んで頂き、ありがとうございました。


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