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規模の経済・経験曲線効果・範囲の経済・・・大量生産や経験量でコストダウンし、経営資源の有効活用で利益をアップさせる

POINT・・・規模の経済の定義、経験曲線効果の定義、範囲の経済の定義を言えるようにする。規模の経済は単純に製品の量を増やせば、1個当たりの生産コストが低くなる現象の事で範囲の経済は二つの事業があった場合、合わせた方が生産コストが下がる。経験曲線効果は経験が増すごとに、生産コストが下がること。

キーワード・・・規模の経済、経験曲線効果、範囲の経済

まとめ買いがお得。こんな宣伝を見たことがありませんか。たとえば缶コーヒーを1本買う場合、大抵120円ですが、1ケース(24本)をまとめ買いすると2400円(1本あたり100円)だったりします。1本あたりで比べると、まとめて買った方が20円安くなります。これに似た概念が規模の経済です。規模の経済とは生産量が増えるほど、製品1個当たりのコストが安くなる現象の事です。コストには、変動費と固定費があります。変動費はその名の通り生産量が増えればそれに伴って増えるコストです。具体的には材料費などですね。一方、固定費は生産量にかかわらず必ず発生するコストです。具体的には、家賃や正社員の人件費などです。
規模の経済が発生する理由の具体例・・・分かりやすくするために、ある製品の場合を想定してみましょう。その工場の人件費は1日10000円かかるとします。1日で製品を1個作った場合、その製品1個にかかった人件費は10000円です。では10個作った場合はどうでしょうか。1個当たりの人件費は10000÷10=1000円になります。さらに、100個の場合はどうでしょうか。1個当たりの人件費は100円ですね。
このように沢山作ることによって、1個当たりの固定費が安くなることがわかります。つまり大量生産で固定費を賄っているのです。

★「規模の経済」と「経験曲線効果」の違いを押さえよう
規模の経済と似た概念に経験曲線効果があります。ボストンコンサルティンググループ(世界的な経営コンサルティングファーム)が提唱したもので、累計生産量(経験量)に着目してる点が特徴です。一般的に、累計生産量が二倍になれば、単位当たりの生産コストが20-30%減少する。(経験曲線効果・・・1960年代にボストン・コンサルティング・グループが発見した法則で、同一製品において「累積生産量が増加するにつれて、単位当たり生産コストが一定の割合で低下していく」というものです。)また、生産だけでなく、販売やマーケティングなどの活動においても同様にコストが減少することが確認されています。例えば、千羽鶴を折る場合をイメージしてみましょう。最初は1個折るのに時間がかかったり、失敗して折り紙を無駄にしてしまったりとコストがかかります。しかし、100、200個とおり進めるうちに、どんどんスピードも速くなり、失敗もなくなっていくでしょう。このように、鶴を折る経験を積めば積むほど、1個当たりのコストも下がっていくわけです。「継続は力なり」とはまさに経験曲線効果のことだと言えるでしょう

★「範囲の経済」は経営資源の有効活用
範囲の経済とは、2つ以上の事業を行う場合、別々に行うよりもまとめて行った方がコストを削減できるという概念です。相乗効果(シナジー)と言われることもあります。例えば、ビールだけを売る店と、焼き鳥だけを売る店があったとすると、それぞれのお店の家賃や従業員の人件費、仕入れが発生します。仮に、店を一つにしてビールと焼き鳥を売った場合、どうなるでしょうか。ビールだけを買いに来たお客さんが、焼き鳥の良い匂いに誘われて、何本か購入するかもしれません。逆に焼き鳥だけを買いに来たお客さんがキンキンに冷えたビールを見て、ついでに買っていくこともあるでしょう。このように相乗効果が発揮されて、別々に事業をしていた時よりも収益が増えることが想定できます。また、コスト面で見れば、家賃も人件費も1店舗分でよいので、削減した分だけ、利益が増えると考えられます。まとめた方が経済的ということ。もちろん、複数事業なら何でもいいわけではありません。経営資源(人もの金情報)を事業間で相互利用できること、事業間にある程度の関連性があるなどの条件が満たされた場合の方が効果が発揮されやすくなります。実際に、大企業が多角化して様々な事業を行っているのは、範囲の経済の効果を発揮して収益を拡大されるためと言えるでしょう。もちろん、中小企業においても範囲の経済を意識した事業展開をすることが有効です。


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