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タイ生活1年

 タイの地に降り立ち、2週間の隔離を経験した4月から1年ほど経った。ここまでの経験をまとめてみたい。
 私は教師として生徒を持ち、教えてきた。まず、子どもたちは日本と何も変わらない。日本と同じように元気で同じようにものを考える。日本の文化は親から確実に受け継がれているということだ。
 それから、仕事もあまり変わらない。日本人と働くのである限り、そこにあるのは日本のルールであり、日本との違いを意識することはない。

では何が違うか。それは当然仕事以外の生活である。まず、飯がうまい。タイ料理はうまい。酒もうまい。ビールがうまい。それから暑い。そんなことは読者の方はご存知かもしれないが。
 そして最大の違いは人が明るい。これに尽きる。とにかく明るい。悲しい顔をしているものや、疲れた顔をしているタイ人を見たことがない。東京ではありえない光景である。みな、毎日楽しげ、とまではないかなくても、ニコニコしている。
 なぜだろうか。まず、1に思ったのは、経済の発展である。タイにはどんどんと新しい電車の建設計画ができており、新しい路線が開通。手軽に移動できるようになっている。まだまだ発展の余地があり新しいビルがどんどん立つ。地震もないので、すぐに立つ。これは国民としてそこに寄与していなくても、明るくなるだろう。
 それから基本的になんとかなる。人が助けてくれるからだ。苦しいことがあったとき、追い込まれたとき、助けてくれる家族、友人がいる。それがいなくても、知らない人が助けてくれる。前に、大学の学費が足りなくて大学に行けないので、学費をクラウドファンディングのような形で集めたら、学費の何倍もお金が集まったというニュースがあった。一個人に対してだ。私個人としては見習いたい。
 そういった経緯からか、皆が刹那的に生きている。今を生きている。10年後のマイホームのためにお金をためて、欲しい物を我慢するような生き方をしている人は少ない。今の仕事でスキルが貯まるかを考えている人も少ない。「精神的に向上心がない」といえばそれまでだが、向上心だけが幸せではないことを知っている。足るを知ることの意義を知っている。私にはそう見える。

 楽観的な見方かもしれない。日本にはなじまない考え方かもしれない。間違った切り取り方をしているかもしれない。しかし、私は羨ましい。楽しく生きること以上に重要なことはあるのだろうか。

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