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スクラムの社内意見交換会をフルオンラインで主催してみて学んだこと

先日、二ヶ月間ほど時間をかけて準備を進めていたスクラムの社内勉強会を無事開催するができたので、今日はその取り組みから得られたことを話したい思います。

きっかけ

そもそも最初は自分が音頭をとることになるとは思ってもいませんでした。

デブストU30 2019の懇親会でアジャイルチームを支える会の理事を務めていらっしゃる飯田さんとお会いした際に、「もしよかったらゆめみの勉強会にゲストで何か喋りに来てくださいよ!」なんて言ったら二つ返事で快諾していただきました。

よし、じゃあスクラムとかアジャイルとか興味持っている人多いし、あとはこの繋がりを社内に展開したら誰かがよしなに勉強会セッティングしてくれるだろ!なんて当時は甘いこと考えてたのですが、そんなことあるはずもなく…

そこで誰もやる人いないなら自分がやろう!と勉強会の企画をすることにしました。

準備フェーズ(before COVID-19)

とは言っても今まで勉強会に参加することはあっても主催したことなんて一度もありません。

早々に一人だけでやることは諦め、とにかく人を巻き込むことにしました。

運よく社内の熟練のスクラムマスターと熟練のファシリテーターの2名に協力をお願いすることができ、さらに途中からは追加で2名の方に協力していただくことができました。

最終的には自分を含め5名(自分以外全員スクラムマスターの資格持ち)で準備を進めて行くことになります。


さて、具体的に勉強会に向けてどんな準備をしたか見てみましょう。

1. 週に一度1時間ほど集まって数行程度の必要最低限のアジェンダだけ用意し、問題点や疑問点、その場で思いついたことなどに関してディスカッションする。
2. MTGで判明したタスクを各自が翌週までによしなに消化する。

これだけです。

特にルールを作ったりは一切せず、課題をメンバー全員で共有することで自然とチームが自走していました。

意図した訳ではなかったのですが、気がつけばゆるいスクラムで上手くチームビルディングできていたように思います。

自分としてはスクラムの勉強会をスクラムで企画するというエモい体験ができて、とても楽しかったです。

準備フェーズ(after COVID-19)

ここまでがおよそ二月の中頃までの話です。

ちょうどこの頃に新型コロナの影響ため不要不急のイベント開催の自粛要請があり、当勉強会も泣く泣く開催を延期(時期未定)とすることにしました。


その中止の判断をした週のMTGでは今の心境を一句読んで五分程度で解散しようかなと考えていたのですが、なぜか今までのMTGの中で一番盛り上がり、気がつけばオンラインで勉強会を開催することになりました。

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ですが参加者が全員オンラインでの勉強会なんて社内を見渡してもノウハウなんか誰も持っていません。

なのでどんなツールを使うか、どうやったら参加者に疎外感を感じさせないかなどたくさんのことを議論しました。

その結果、最終的には以下のようになりました。

・勉強会ではなく、参加者が自然と議論に混じれるように意見交換会に変更。
・Zoomを使用(Discordなどを使用する案もあったが今回は見送り)
・muralというオンラインホワイトボードを使用
・グラレコをしてリアルタイムで議論のまとめを見ることができるようにする。
・試験的な試みのため、今回は社内メンバーでのみ開催

勉強会から意見交換会へ

まずは開催するにあたり、この勉強会が終わった後に起こって欲しいことを考えました。

・次回以降の勉強会に繋げられること。
・ゆめみ(受託会社)としてのスクラムについて現状と課題を明らかにすること。
・スクラムについて一緒に考える仲間が増えること。...etc

これらを実現するには参加者の方達にも協力していただけるような空気を、参加してよかったと思えるような場を作る必要がありました。

しかしオンラインでは雰囲気が作りにくいなどといった問題があり、勉強会に対する没入感が得られない可能性がありました。

そこでただ聞くだけの勉強会ではなく、気になることがあれば気軽に質問できるような全員が議論に参加できる意見交換会に変更することにしました。

ツールの選定

・音声まわり

オンラインとオフラインの差異をできる限り少なくし、ストレス無く議論するためにはツールの選定が重要です。

オンラインでの会話ツールとなるとZoomを初め、SkypeDiscord、最近だとVR空間でイベントを開催することができるclusterなどが挙げられるでしょうか。

弊社ではZoomがデファクトスタンダードですが、最近ではリモートワークをするにあたってZoomでは手の届かないところを補うためにDiscordが試験的に導入されています。

またclusterは一部の有志が実験的に使用している段階です。

Discordは個別の音声調整ができたりと優秀なのですが、社内メンバーがZoomの方が使い慣れていること、macでの画面共有の動作が非常に重いこと、議論するにあたって顔が見えないのは大きなデメリットになるなどの理由から、今回はZoomを使用しました。


・議論の場づくり

通常、勉強会では喋らない人がほとんどで、しかしその分リアクションというのは登壇者や主催者にとって手応えやモチベーションに直結します。

オフラインでなら会場の雰囲気を感じたり、参加者の顔を見ることである把握することが可能ですが、オンライン環境ではリアクションが感じられず場をコントロールする難易度が爆上がりします。

今回はその見えない声をどのようにして拾い上げるかについてもだいぶ頭を悩ませました。

そこで思いついたのがオンラインホワイトボードのmuralを使うことです。

muralは複数人で同時に編集でき、ほとんどラグの無い共通のワークスペースを作ることができます。
使い勝手もリアルのホワイトボードとほとんど変わりません。

そこで気軽に質問をできるように思いついた内容を付箋として貼りつけ、それを分類ごとに整理し、意見交換&対話するといった流れを構築することでリアクションを拾い上げようと工夫しました。
(以下の画像はリハーサル時のもの)

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また他のメンバーにグラレコをお願いし、議論のまとめをリアルタイムで作成することで記録に残し、いつでも議論や背景を見返せることができるよう意識しました。

やってみて

Good
・社内のスクラムを使った案件事例やそれぞれのチームでどのような工夫をしていたのかや、同じチームでもスクラムマスターとチームメンバーのそれぞれの視線から意見を聞くことができ大変参考になった。
・コアメンバーだけでなく参加者に話題を振ることで意識的に意見を出してもらうことができた。
・一部の有識者に質問が集中しかけたが、上手く話題を分散することができた。
・ホワイトボードに参加者から質問が書き込まれ、上手く疑問や質問を拾い上げることができた。

やってみて感じたのが、今回2時間の枠を用意していたのですが思った以上に盛り上がり、あっという間に終わりの時間になってしまったことですね。

参加者の皆さんも積極的に質問や体験談を話していただけ、とても意見を有意義な時間を過ごすことができました。

少なくともゆめみという組織においてどのようにスクラムに取り組んでいくべきか?という議論のきっかけには十分なり得たのではないかと思います。

Problem
・社内案件の情報共有が主になってしまい、その先のゆめみにおけるスクラムの今後について議論する段階まで行けなかったのが心残り。
・意見交換中心なのでスクラム初心者の方には置いてけぼり感があったかも。
・Zoomのチャット欄とmuralとでコメントが分散してしまった。
・ホワイトボードにまだまだ改善の余地有り。

初めての勉強会にしては十分すぎるほどの成果を挙げられたと自分では思っているのですが、それでも改善点は少なくありません。

特に意見交換というよりも各案件の情報共有だけでほとんどの時間を使い切ってしまい、ゆめみでのスクラムの在り方を議論する段階まで進めなかったのが一番の心残りです。

また今回の主目的が意見交換ということもありスクラムに興味を持って参加していただいた初心者に向けたフォローがほとんどできず、2時間は長く感じてしまったかもしれません。

こちらも社内でスクラムを広めていくために避けては通れない道なので、簡易的なスクラムのワークショップなんかできたら面白そうだなと考えています。

最後に

よく「カンファレンスや勉強会では主催者が一番多くのものを学び、得ることができる。」と聞きますが、今回はまさにそれを実感することができました。

スクラムに関する知識やゆるくではありますが実践することができたり、勉強会の準備の進め方、オンライン開催のノウハウなどたくさんのことを得ることができました。

今回の意見交換会は社内のスクラムに対する疑念的なモヤモヤとした感情を払拭するには十分過ぎるほどの成果を上げ、今後スクラムを浸透させていくための足掛かりとしても大成功だったと言えるでしょう。

これを機にゆめみという組織にとってのスクラムの在り方を模索していくため、この活動を次へと繋げていきたいと思います。

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