「聞き上手さん」の習慣 / 著:佐藤智子

読んだ目的

人に話をしてもらい、その人らしい意見を引き出せる人になりたい、その方法が知りたい。

まとめ

「聞き上手さん」は、相手に「この人に私は大切にされている」と思ってもらえる人である。「聞き上手さん」になれれば、人は協力を惜しまず、喜んで情報を提供してくれる。「この人に私は大切にされている」と思われるために、信頼関係は不可欠だ。
こんな「聞き上手さん」は、質問が上手いだけの人ではなく、情報を得ながら相手とwin-winの関係になるように工夫することで、信頼を得ている。そのための方法は、大別すると2つある。①「相手の承認欲求を満たす」そして②「相手のニーズに合った情報を提供する」である。

①相手の承認欲求を満たす
まずは相手に興味をもつこと。「人は誰しも何かの専門家」、得意分野について聞かれて嫌な人はいないはず。相手の信頼を得るためには、まず自分が心を寄せること。意識的に相手のことを100%好きになり、相手の一番の理解者になるつもりで話を聞こう。話す場所にも趣向を凝らすと◎。仕事の話でも、情報漏洩に注意した上でホテルのカフェや洒落たレストランなど、相手が話したくなるような心遣いを。また、不躾な質問の仕方はNG。質問するときには目的や意図を伝えた上で、「その人にこそ聞きたい」という気持ちを伝える。教えてもらったらお礼とともに、後ほど新たに得た情報をフィードバックするとなおよし。迅速なレスポンスと、大げさなリアクションができる「打てば響く人」はポジティブな印象を与え、「この人に話したい」と思ってもらえる。

②相手のニーズに合った情報を提供する
相手のニーズを聞くことで、相手を理解できると同時に、「この人は話を聞いてくれる人だ」と思ってもらえる。自分の話したいことを話すより、相手のニーズを聞きとり、それを満たす情報を渡そう。信頼の獲得に繋がり、「また会いたい人」と思ってもらえる。

①、②を踏まえて、自分が知りたい情報を知っている人を見つけるための方法を解説している。まず(1)情報収集の目的を明確化 し、(2)「目的の理想的な完成形」をイメージ する。(3)「理想形」を実現するために必要な情報は何かを明確にし、 (4)情報を持っている人と協力者を見つける。このとき、協力者のメリットとニーズを考え、自分が知りたい情報が、相手にとって教えたい情報であるような人に聞くのがポイント。
文中の例を挙げよう。(1)雑誌に載せる企画のために「失恋から立ち直った女性」の話が聞きたいとする。(2)理想形は「失恋をバネに成長し、自分を変えた女性」の記事を書くことである。(3)この「理想形」のために必要な情報は、「失恋をきっかけに自分磨きをして劇的に変わった女性たちの体験談」である。(4)情報を持っているのはそうした女性たちに寄り添ったトレーナーやエステティシャン、そうした人たちと繋いでくれる協力者はジムやサロンだと考えられる。このとき、ジムやサロンには、「店のクレジットを雑誌に掲載する」というメリットによって、「来店者を増やす」というニーズを満たすことができる。

情報は誰の役に立つかわからない。そのため、筆者は誰に対しても①と②を実践し、情報を蓄積することを薦めている。ある人から得た情報は、別の人のニーズを満たすかもしれない。情報を貰うだけでなく与えることで、人に信頼され、情報を渡したくなる「聞き上手さん」になることができ、情報交換の好循環の中心となることができる。

感想

上記まとめでは省略したが、筆者が実際に行った芸能人に対するインタビューなどの例が多く取り入れられ、親しみやすく読みやすい内容であった。①と②に共通するのは、相手を中心に考えるということ。相手の承認欲求とニーズを満たすことで、相手は自分のことを信頼し、結果自分に対して興味を持ってくれるようになるという視点は、インタビュアーとしての経験をもつ筆者ならではのものだと感じた。自分が話すよりも、相手のニーズを汲み取り、自分の知識や意見を提供することを実践したい。

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