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近代建築で読み解く日本 / 祝田秀全

この本を読んだ目的・らしくない本を読むシリーズ第三弾 ・自分の知らない世界を知る、意外な考え方と出会いたい ①近代化の始まりと擬西洋建築 明治維新後、日本が近代国家になるために、「自分は国民である」という意識が日本国民に共有される必要があった。こうした中、鉄道は移動時間を短縮するという形で、「バラバラの藩の集まりではなく統合された日本国民」という意識の形成に寄与した。鉄道に付随する駅は文明開化を形にしたような西洋風の建物であった。西洋に追いつこうとする日本において、鉄道と駅

    • 美意識の値段 / 山口桂

      この本を読んだ目的・らしくない本を読むシリーズ第二弾 ・自分の知らない世界を知る、意外な考え方と出会いたい この本を読んで私は「美術館に行きたい!」と思った。何がその駆動力になったのかに着目して、以下に「すごい日本美術」「印象に残ったオススメ作品」「美術鑑賞入門」としてまとめる。 本題に入る前に、著者の紹介から。山口桂氏は世界最大手の美術品オークションハウス、クリスティーズの日本法人代表である。会社での担当が日本古美術。本書の内容もそれが中心であるが、若い頃から現代美術にも

      • わかりやすく<伝える>技術 / 池上彰

        この本を読んだ目的自分の話はわかりにくいと思っている。どうすればわかりやすく話ができるのかを知りたい。 聞き手に「地図」を話を聴いてもらうためには、相手の興味を引き付けなければならない。そのためには、まず「これから話すことは端的に言うとこういうことです」と伝える。何の話をされるのかがわかれば、つまり、話の目的を示す地図を受け取ると、聞き手は安心して聴くことができる。話の結びに冒頭の掴みを繰り返すことで、「目的地に着きましたよ」と相手に伝えることができ、一層相手を納得させるこ

        • 新宿二丁目 / 伏見憲明

          この本を読んだ目的・らしくない本を読むシリーズ第一弾 ・自分の知らない世界を知る、意外な考え方と出会いたい まとめこの本では、現在LGBT関連のバーだけで450軒ほどとも見込まれる新宿二丁目のゲイバー街がいつ、どのように形成されたのか、その背景に迫る。新宿は元々性風俗の街として置かれ、70年代頃までは異性愛男性向けの店舗が見られたが、80年代になると同性愛者向けの店舗が圧倒するようになる。筆者はゲイバー街としての二丁目が急速に発達した時代を1960年代後半とし、その背景に以

        近代建築で読み解く日本 / 祝田秀全

          令和日本の敗戦 / 田崎基

          この本を読んだ目的日本の政治の問題点・争点を知ること まとめ①労働に関する問題  年功序列、終身雇用、企業別労働組合を特色とする日本型の雇用慣行はバブル崩壊以降変調し、コストカットと徹底的な効率化がはかられた。その結果、非正規雇用が増加し、正社員の長時間労働が常態化した。非正規の労働者も短時間の労働では食べていけず、必然長時間労働となる。こうした傾向により、人々の「考える力」は奪われていると指摘する。  労働に関する問題に対する取り組みとして、働き方改革関連法が2019年4

          令和日本の敗戦 / 田崎基

          「聞き上手さん」の習慣 / 著:佐藤智子

          読んだ目的人に話をしてもらい、その人らしい意見を引き出せる人になりたい、その方法が知りたい。 まとめ「聞き上手さん」は、相手に「この人に私は大切にされている」と思ってもらえる人である。「聞き上手さん」になれれば、人は協力を惜しまず、喜んで情報を提供してくれる。「この人に私は大切にされている」と思われるために、信頼関係は不可欠だ。 こんな「聞き上手さん」は、質問が上手いだけの人ではなく、情報を得ながら相手とwin-winの関係になるように工夫することで、信頼を得ている。そのた

          「聞き上手さん」の習慣 / 著:佐藤智子

          USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? / 著:森岡毅

          読んだ目的議論でのアイデア出しに参考になるフレームワーク、意見が欲しい。 2011-2014のUSJ2001年に開業したUSJ、2006年頃から来場者数の低迷が続いていた。筆者でマーケターである森岡さんは2010年にUSJに着任した。需要予測によれば年間1000万人は達成できるはず、なぜ7,800万人止まりなのだろう? ▽社風の問題:方向性を間違えたこだわりがある 海賊船のエイジングにこだわるあまり古臭いと言われてしまう ▽不必要に狭いターゲッティング 大人向けの映画専

          USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? / 著:森岡毅

          FACTFULNESS / ハンス・ロスリングほか

          この本を読む目的いかにして思い込みをなくし、事実に基づいて世界を見るのか、方法を知ること。 まとめ 人はドラマチックに世界を見てしまう。それは何千年もの間、生き抜くことを通して身に付いたものだ。だが、現代で世界を正しく認識する上では、弊害となりうる。この本では10の本能を取り上げ、本能を抑え世界を正しく見るための方法を説いている ①分断本能:「世界は分断されている」という思い込み 分断されているものなど滅多にない。両極端なものの間に、大多数の中間層が存在する。所得に関し

          FACTFULNESS / ハンス・ロスリングほか

          自分の小さな「箱」から脱出する方法 / 著:アービンジャー・インスティチュート

          この本を読んだ目的 漠然といつも「自分が正しいと思っている」「人を見下している」。そんな態度を改めたいという悩みがあった。そのためにどうしたらいいか、答えを見つけることが目的。 箱の中に入っていませんか?<こんなことに心当たりがあったら箱の中に入っているかも> ▽例1: 電車で隣の席が空いていて、近くに夫婦が立っている。向こうの方には一席だけ空いているのが見える。席を譲ろうかと思ったけど「今日は疲れてるし、他の誰かが譲るだろう」と思ってやめた。 このとき、自分の座っていたい

          自分の小さな「箱」から脱出する方法 / 著:アービンジャー・インスティチュート

          変貌する民主主義 / 森政稔

          この本を読んだ目的日本は民主主義国家である。政治(主に国政)に対する評価を行う基準を自分の中で作るため、民主主義というシステムのメリット、デメリット、そして限界を知ることを目的とした。 ポイント1章  「自由民主主義」として一緒くたにされがちな「民主主義」と「自由主義」の関係の歴史的な変遷を論じている。前者は民主制という政治体制を表し、後者は自由を尊重する考え方を示す。これらはぴったり重なり合わないどころか矛盾をも孕んでいる。例として挙げられているのが、個人決定と公的決定の

          変貌する民主主義 / 森政稔

          教養としての政治学入門 / 編:成蹊大学法学部

          この本を読んだ目的私は投票権を持っていて政治に参加することができる。しかし、政治・行政をどのように評価したらいいのだろうか?首相を叩くだけ、提示された政策に文句をつけるだけでいいのだろうか?現在の政治体制は何ができて、何ができない仕組みなのか?そういうわけで政治(主に国政)に対する評価を行う軸を持つために、政治学について勉強しようと決意した。右も左もわからないため、広範な知識を得るための入門書として今回この本を手に取った。 感想この本は全12章から成り、それぞれの章で異なる

          教養としての政治学入門 / 編:成蹊大学法学部

          インプット大全 / 樺沢紫苑

          この本を読んだ理由は、これまで本を読んでも頭に残らないことが多く、時間を無駄にしているという思いがあったこと。4月以降は、読んだ本のまとめノートや図表化を試みて、ある程度成果を感じていたが、より効率的に本を読み、記憶するためにどうしたらよいかを知りたかった。読後の感想として、目的に合った本であったと思う。 インプットを効率化するために、この本で最も強く勧められているのが「アウトプットを前提とすること(AZ)」である。この考え方は、私が4月以降の新入社員研修を通じて得た気付きと

          インプット大全 / 樺沢紫苑