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【緊急会議】 スタバ、俺たちから内緒で借りた60億円を毎年踏み倒してるって知ってた? 

どうも、みやしただいすけ(@dd_chaiz)です。

衝撃的なタイトルですが、内容は至って真面目です。
今回は我らがスタバの知られざる財政上の工夫から、いわゆる退蔵益(失効益)ビジネスと呼ばれるものの概要までをサクッと書きつづっていきたいと思います。

ぜひ最後までお付き合いください!

1.借金界の新星 スターバックス

A.お金が必要な直営店モデル

言うまでもないですが、会社を運営するには多くの資金が必要になります。
家賃や人件費、商品開発費などいろいろなところにお金がかかってきます。

とくにスターバックスのように、ブランド価値を守り続けることを重要視し、多くの店舗を直営で持っているような形式ではなおさらです。
フランチャイズならば新規出店時の初期投資をオーナーの方に負担してもらうことができますが、直営店の場合は会社がその全てを負担しなければいけないからです。

このような場合、利益剰余金(内部留保)を利用する以外で投資に回せる資金を用意する方法として一般的に考えられるのは以下の二つです。

①銀行からの借入
②投資家から自社株の放出や新株発行で資金調達

ただしこれらの二つにはそれぞれ問題があります。例えば①の場合、借入には利子がつきますし、②の場合は上場企業であればかなり困難です。(既存株主の不利益につながるため、簡単に賛同が得られるとは思われません。)

B.顧客からの借入

そこでスターバックスでは第三の方法を利用しています。それは

③顧客から無利子でお金を借りる

という方法です。

はにゃ? お金貸した覚えないんだが。

これはどういうことかと申しますと、スターバックスは顧客向けにプリペイドカードを発行し、資金を販売に先行して確保しているんですね。スタバってだいたいどこの店舗行ってもギフトカード売ってますよね。季節とかイベントごとにデザインが変わるアレです。
アレをお客さんに先に売りつけることでお金をゲットしてるんですね。
これと同じような方法は日本企業で言えばコンサルマッチングのサービスを提供するビザスクさんなどが採用しています。ビザスクはこの先払い制度を利用してガンガン投資し、業績を伸ばしてきました。

プリペイドカードは購入価格と行使価格にほとんど差がないので、その差分で儲けることはできませんが(むしろ購入価格の方が低い場合が多い)顧客から前もって資金を集める手段としては非常に有効です。
実際スターバックスの場合、プリペイド発行額の内利用されていない分が世界全体で1,500億円くらいあり、すなわちこれは顧客からの短期での借入と見なすことができます。

会社全体の負債は全部で2兆円ほどなので、顧客からプリペイドカード経由で調達した金額は負債全体の6〜8%程度を占めることになります。
まあまあ多いですよね。

プリペイド発行額のうち未利用額。単位は百万ドル。左は2021年度、右は2020年度のもの。

ちなみにプリペイドカード発行には他にもいい点があって、例えば顧客の購入を促進する、店舗側がクレジットカード手数料を払わなくて済む、などが挙げられます。

2.忘れ去られた60億円

ということでここからが本題です。
なんだかこの文字だけ見るとB級映画のサブタイトルのようですが、スタバが毎年60億円もの借金を踏み倒せている方法は、とっても単純です。

人間は忘れるんです。
スターバックスはお客さんの記憶力の弱さを利用して毎年なんのコストもかけずに60億円も儲けているんです。

スタバを利用するようになってから、なんでスタバのギフトカードはテレフォンカードみたいに残高を印字しないんだろう、いちいち公式サイトから確認しなきゃダメなの面倒だよなぁと思ってたのですが、これは忘れさせるためだったんですね。

あな恐ろし、スターバックス。

3.退蔵益ビジネスで儲けている企業&サービス一覧

A.退蔵益とは?

今申し上げたような、プリペイドカードなどが商品と交換されないまま失効したことによって発生する発行者側の利益を退蔵益(失効益)と言います。

この退蔵益を利用した儲けかたを総称して、退蔵益ビジネスと言います。

以下は退蔵益ビジネスの例です。

  • 回数券(交通機関やサロンなど)

  • 記念切手、記念乗車券(当初から利用を想定していない。公的ビジネスとして行っている地域もある。)

  • 商品券

  • プリペイドカード(電子マネーや失効期限のある施設利用カードなど)

  • 月会費(フィットネスジムなど)

B.退蔵益ビジネスで儲けている企業

退蔵益でガッポリ儲けている会社はスタバ以外にもたくさんあります。
ここではそのうちいくつかをご紹介します。

①ティーガイア(日本)
ティーガイアは2004年に東証1部に上場した、国内最大手携帯電話販売代理店です。2017年より日本で一番有名なプリペイドカードであるquoカード発行会社を、完全子会社として持っています。
この会社、実はとんでもないくらいの退蔵益を生み出しています。

単位は百万円

ここからもわかるように、この会社は毎年55億円ほどを退蔵益として計上しています。
この会社の毎年の営業利益はだいたい120億円程度。
すなわち儲けの半分近くを退蔵益から得ているんですね。えぐいですよね。

②Chipotle Mexican Grill(アメリカ)
Chipotle Mexican Grillはアメリカ、イギリス、カナダ、ドイツ、フランスに店舗を構えるメキシコ料理レストランチェーンです。
少し古いデータですが、2016年の時点で未使用残高は60億円近くあり、そのうちの4%は使われないだろうと推測されています。
同社の在庫の1/3はプリペイドカードで集めた資金をもとでにしています。

③Barnes & Noble(アメリカ)
当社はアメリカで最大の実店舗書店チェーンであり、また最大の専門小売店です。
書籍販売のオンライン化への対抗で苦戦する中、退蔵益は同社にとって大きな収益源となっています。
同社の発行するギフトカードのうち利用されない分は10%に及び、金額としては毎年およそ35億円となります。これは同社の営業利益の60%を超える数字となっています。
実際、顧客は同社にとって2番目に大きな資金の貸し手として重要な位置を占めます。

4.まとめ

退蔵益最高。


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