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Costa Rica Harvest Report

 美しい収穫を垣間見た時や素晴らしいコーヒーを味わう時、私達はその経験をロマンチックに想像する傾向にあります。なだらかな丘と明るい青空、コーヒーの花の香りや心地良い風で揺れる木陰を想像します。ですが私達が本当に想像しなければならない事は、生産者達の数えきれない程の手間や努力、そして生豆のポテンシャルを最大限に引き出す為に行われた生産者達の数々の決断です。

 今年のコスタリカからの輸出において、私達は生産者達が必ずしなければならない幾つかの重要な選択を垣間見る事が出来るでしょう。いくつかの選択や状況は彼らが制御できる物ではありません。ですがその状況下で私達の幾人かの生産者パートナーがスペシャルティコーヒーに必要な複雑な工程を管理するのか見守りましょう。そして今年の収穫がどの様に計画されているか内部からの見解をお見せします。

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品種

 コーヒー農園の設立、拡大、改装、または改善の最も基本的なステップの 1 つは、どの品種を植えるかを選択することです。農業に従事していないコーヒーの専門家にとっては、これは簡単なステップのように思えるかもしれません。【最高の結果をもたらす品種を植えるだけ】とシンプルに言われておりますが、コーヒー作物の成否に寄与する要因は無数にあり農家(生産者)は、どの遺伝的特徴の組み合わせが自分にとって価値があるかまたいい結果をもたらすかを慎重に検討する必要があります。

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 ドン・サビノ・マイクロミルの所有者であるスティーブン・バルガスと彼の父ギルバートは、数年前に購入した7.7ヘクタールの土地であるフィンカ・オルボを含む、セントラルバレーで最も標高の高い農場をいくつか所有しており、最も標高の高い土地は1,670atsl (Above The Sea Level:海抜)まで続いております。その様な標高の高い土地では植物は自然とストレスを受けます。植物はゆっくりと時間をかけて代謝また成長していきますが、それは生産性にも大きく影響していきます。スティーブンが品種を決定する上で重要視している事は、木が二次枝を発育させる事でより多くのチェリーを収穫出来るかどうかです。この様にプラジオトロピック(枝分かれ式に枝を増やす事)は全ての品種にて起こる現象ではありません。例えばゲシャ種では見る事は出来ませんが、コスタリカにおけます原産種ビラ サーチでは見る事が出来ます。

 ウェストバレーにて生産を行うカルロス バランテスと妻ダイアナは、品種の実験について細心の注意を払っており、自らの農園を改装し失敗する可能性のある品種を栽培する前に徹底的にテストをする様にしています。過去数年間、ラ ぺルラ デル カフェを運営する二人は地元の農業学者の協力を得て幾つかの品種を研究してきました。カルロスは真剣に農園の運営をしており、また品質が常に安定しているので農業学者達は彼らの農園のシードバンンク(種の倉庫)として利用しています。学者達はTypica Majoradoまたは(品種改良されたTypica種)などを提供し、それらが発育し実をつけ品質が皆と共有出来るか確認した後に、カルロスは提供してもらった種と同等の量の種を研究結果として学者達に還元します。(バンテラスは現在200種類ものTypica Mejoradoを保管しており、それらは品質と甘味をより向上する為に開発されました。それらが繁殖される程の結果をもたらすか否かは時間が教えてくれるでしょう)

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カルロスが品種の選択の際に気を配る事の1つは、チェリーが特定の彼の広大な農園内の微妙な気候の違いや標高の違いでも、どれほど均一に熟すかです。

カルロス:熟す事が遅れると、収穫や剪定また精製に遅れが出ます。
(翻訳-Oxcart Coffee-Café Imports ラテン アメリカの買い付け協力者Francine Ramirez)

熟す事はピッカー達の働き方にも直接影響を及ぼします。もし均一に熟せばピッカー達はより集中して戦略を立てながら収穫を行う事が出来ますが、不均一であれば彼らは散らばりながら一度収穫した列を行ったり来たりしなければならないので、収穫期の期間事態を変更しなければなりません、それはピッカー達の家族や私生活にも多大な影響を及ぼしかねません。

プロセス

 コーヒーノキが成長し熟し、そして収穫された後(願わくばほぼ均一に成熟が進んだ後)生産者はまた大きな選択を迫られます。それは収穫後の処理方法です。(精製方法)

 2000年より前の収穫では、小規模生産者達は自身のチェリーを中央精製所または組合の運営する精製所へ持ち込み、ウオッシュト(水洗式)の処理をしていました。生産者達の仕事は栽培そして収穫そしてチェリーを保管に携わる期間へと運搬する工程まででした。それは生産者達が当時の流行や新種に影響される事なく栽培事態に集中出来る形態でしたが、同時に価格や最終の品質管理を行う事が出来なかった為自身のブランドや特定の顧客を獲得する事を妨げていました。
 それから20以上経過しマイクロミル革命がCosta Rica全土にて起こり始め、現在ではより多くの生産者たちが品質を自ら管理し、名前を売り自身のブランドを作って顧客に買い付けてもらう為、処理機と乾燥機に投資しています。「2005年に小さなデパルパー(果肉除去機)を購入しましたが、何をしているか分かりませんでしたよ」セントラルバレーに位置するラス ラハス農園を運営するオスカー チャコンと嫁のフランシスカは言いました。

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オスカー:私達はただ実験を繰り替えしていただけでした。
オスカーは以前までの自らのチェリーを組合のミルに運び現金を得る事をやめ、自分達での精製を決意しました。それは自分達が生産したコーヒーの価値を確立する為です。

 私達が最初に購入したデパルパーはウオッシュト(水洗式)のロットには正しく機能しませんでした。とフランシスカの通訳を通して言います。

 50%ものミュースレッジが生豆に取り残されたままとなっており、訪れた人々は【これはおかしい】と指示してきましたが、私達は彼らが支持した通りにデパルパーを起動させただけです。

それから数年間精製を調整し続けた結果、チャコンは国内におけるハニープロセスのパイオニアとなり、そのロットは様々な賞を毎年獲得し、人々の心をも掴む様になりました。
 10年程前彼らは、またもや重要な選択を迫られました。大規模な地震の影響により地域の電力供給と水へのアクセスが断たれた為機械を動かす事が出来ず、オスカーとフランシスカはウオッシュトはもちろん、ハニーでさえ精製出来ない事態に陥ってしまいました。変わりに、フランシスカはアフリカのコーヒー生産における一般的な乾燥工程からアイデアを得ます。それはコーヒーをアフリカンベット(高床の台)の上に拡げチェリーのまま完全に乾燥させるという方法でした。カルロスはラス ラハスにアフリカンベットを建築し、コスタリカにおいて最初にスペシュルティコーヒーをナチュラル精製にて行った1人となりました。それは勿論簡単な選択ではありませんでした。


オスカー:私達のシステムではナチュラル製法でのロットは欠点豆と見なされ、鞘で乾燥させられていましたよ。


彼らは問題解決の実験を理解し、共にリスクを冒す意思のある適切な買い手を見つける必要がありました。Café Importsのアンドリュー ミラーはその買い手の一人であり、Café Importsとラス ラハスの関係が始まりました。

メンテナンス

 剪定(枝狩り)管理、組織のマネジメントまた農園の改装はコーヒー生産の中でもセクシーさに欠ける部分の1つですが、それらは生産者の考慮時間、エナジーを多大に消耗させます。オフシーズン中に何が起こるかは、生産の成功の上で農園を管理する事と同等もしくはそれ以上に重要な事かもしれません。

 剪定は生産計画の初期段階にて最もデリケートな部分の1つです。コーヒーは一期に一回の生産となり、それはオフシーズンにコーヒーノキが横にそして上に成長していく事を意味します。その成長は生産のシステムを阻害し結果生産性の低下を引き起こします。剪定し組織の修復を促す事で、生産者は植物の生産性を取り戻すことができ、農場で枝が絡み合うことを避けることができます。一部の農民は、選択した木の切り株を切り捨て、枝や茎を文字通り切り株に戻し、幹として再生できるように工夫しております。Don Sabinoを経営するスティーブンは植物が3~5年間生産された後、3列毎に切り詰めます。次の年には2列目を、その翌年には1列目を切り詰めサイクルを終了します。

スティーブン:3年経つと、木は新しいときと同じように生産的になりますよ。と説明し昨年トリミングされた列を指します。

フランシスカ:生産者ごとに管理システムが異なります。何をどんな選択をしても、生産性がいくらか犠牲になるため、難しい決断ですと列ごと、もしくはロット毎、もしくは農園全体の改装をも視野に入れている事も語りながら説明しました。

スティーブン:区画の全てを伐採する事も可能ですが、それはポケットにわざと穴を開ける様なものですよ。

カルロスは、ウェスト バレーにある彼の農場でも同様の戦略をとっています。最初に、彼は 1つの穴に 2つの種をまきます。これはコスタリカのコーヒー生産者達が良く使う手法で、どちらがより強く、より生産的になるかは、彼がどちらを剪定して維持するかを決定するのに役立ちます。また、彼は新しく植えた苗の基部の周りに労働者と共に土の山を作り、その下に鶏糞を敷き詰める事で肥料として再利用していきます。
盛り上がった土は、農家のスタッフが草むしりの際に土をひっくり返しやすくし、水分をより多く閉じ込めて、根が乾季に耐える事を助けます。土の山は脆弱な木を固定することもでき、これはコスタリカのような風の強い気候では不可欠です。

フランシスカ:このテクニックは非常に手間がかかりますが、かなり実用的ですよ。

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2020年、気候が多大な被害を及ぼしております。

 生産者達の再三にも及ぶ決断や、農園の運営や生産への工夫がありつつも、そこには幾つかの生産者が全く管理(コントロール)出来ない物があります。それは天気です。今年、雨は断続的で予測不可能でした。これは、多くの生産者が生産量を減らし、収穫がやや遅れたことを意味しています。予測していなかった時期に雨が降る事は乾燥の工程を非常に難しくします。特に小さな敷地にて農園を営む生産者や、日光や乾燥した気候に頼るナチュラルやハニー製法を行う生産者達です。

 現にここ数週間の間に元々乾期であるハズの時期に大雨が降った事(多くのコーヒーは乾燥期に入る頃)これにより幾人かの生産者はナチュラルにて精製したロットが台無しになってしまいました。もし乾燥させているチェリーが部分的に濡れてしまうと、カビや腐った様な味、そして過剰な発酵間を生み出す恐れがあります。この事態は生産者達にとって何を意味するのでしょうか?それは、【彼らが新しいプロセスを発明しなければならない!という事です。】とOxcart Coffee のシニア コーヒー バイヤー、ルイスは冗談半分で言います。いくつかの生産者は、ナチュラルを乾燥床から降ろしてパルプを取り除く必要がありました。これは非常に珍しいことでリスクが伴いましたが、今年必要な挑戦でした。その挑戦がどの様な結果をもたらしたのか、それは未だ分かっておりませんが、そのロット達は数週間後に分析テーブルにて結果を示す事となります。

ルイス:これらのオフシーズンの大雨はコーヒーノキの早すぎる開花(成長しきって無い状態での開花)を引き起こしました。
彼はセントラル バレーとタラスの両方の生産者と話をしており、彼らは不均一な開花とそれが来年の生産に与える影響について心配をしております。ですがそれは時が来なければ分から無い物であり、残念ながらそれらは生産者達が管理出来る物ではありません。

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 コスタリカのコーヒー協会である ICAFE によると、2020 年の生産量は依然として理想よりも低いと予測されていますが、全国のヘクタールあたりの平均生産性は、昨シーズンの 18.3 に対して、今年は 20.4 ファネガでした。【ファネガは、体積ベースのコスタリカ固有の測定値で、およそ 250 キログラム (400 リットル) のチェリーに相当します。】今年はヘクタールあたりの収量が徐々に増えており、その事実は確かに有望ですが、同機関は今年、登録コーヒー農家が減ったことも報告しています。これは、農家が売却され統合されている可能性があることを意味し、昨年は 40,000 を超えていたが現在は 38,804 の登録生産者と減っております。

気候の影響が大きい事で、私たちのパートナーは予測不能な大雨が降る前の早い収穫の段階から品質の素晴らしいロットを望んでいます。生産者達は個人的に機器や実験に投資して将来の成長の為に励んでおり、スティーブンは工場に沢山の新しい乾燥ベッドを設置したため、家族の裏庭を利用してさらに追加することになりました。
オスカーとフランシスカは最近、新しいウェットミルを設置(自ら設計)しました。コーヒーの仕分けと輸送をより迅速にそして効率的に進められる設計となっております。

Costa Ricaの買い付けシーズンも近づいてきております。私達も皆さんと同じく【どんなロットや品質があるのか?】とワクワクしてます!アッと驚くような高品質ロットを多数買い付けしてまいりますので、期待してお待ち下さい!

より詳しくCosta Ricaにおける生産状況を知りたい方、また英文での説明をお好みの方はこちらをご覧下さい!

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