採用側が考えにゃいけんことを、受験者に聞くなや!
レトリカ教採学院(教採塾)、学院長の川上です。
タイトルから、いきなりの広島弁丸出しで、ごめんなさい。
標準語のタイトルとしては、「採用側が考えないといけないことを、受験者に聞くべきではない!」ですね(笑)
ついつい、広島弁丸出しになるほど、毎年、あらゆる自治体の面接で問われる質問に、理不尽を感じています。
その質問とは、【不祥事】です。
例えば、昨年の広島の教採では、どの面接室でも、「不祥事について所属校で取り組んでいることは何ですか。」と聞いていました。
もちろん、「知りません。」、「わかりません。」は論外でしょうが、何かしら学校で受けた研修や講話についての話を、面接でするわけです。
でもよく考えてみてください。
組織として取り組んでいることを、面接で受験者個人に聞いているわけですよね。
え・・・それって、自分の合否に直接関係なくない?
「あなたが不祥事防止のために取り組んでいることは何ですか?」なら、まだ百歩譲って分かります。
でも、所属校で取り組んでいることを聞いて、何を語れば及第点になるのでしょうか。何を語れば、不合格なのでしょうか。
仮にA評価のことを語っても、それは、自分の判定ではなく、学校が取り組んでいる内容について、A評価だということに過ぎません。
面接で不祥事について、C評価がつく内容を語っても、それは、自分の判定ではなく、学校が取り組んでいる内容がC評価なだけです。
つまり、何を語っても、自分自身の評価にはならないのです。
むしろ、学校が取り組んでいる内容を伝えただけなのに、C評価なんてもらった日には、たまったものじゃありませんよね。
もちろん、その1つの回答で、面接の総評価が決まるわけではないのですが。
他の自治体でも、
「不祥事は、どうすれば減らせると思いますか。」
「不祥事が起こる原因は何ですか。」
などの質問を、受験者に尋ねてきます。
いやいや、それは採用側が考えるべき問題なんだから、受験者に聞くなよ!
この一言に尽きます。
でもね、これは、ちょっとばかり採用側の気持ちに寄り添ってあげるとすれば、
採用側も、連日のように報道される教師の不祥事を前に、不祥事の防止・撲滅に取り組みたい想いは、相当強いのだと思います。
しかしながら、有効な手立てが見当たらない。
だからこそ、数百~数千にもおよぶ受験者全員に不祥事のことを聞いて、数うちゃ、誰か一人くらいは、良い対策案を持っているかもしれない。
そう思って、聞いているのだと思います。
あるいは、昭和・平成の根性論を繰り出す面接官であれば、「不祥事を自分事として捉えないといけない。」というつもりで、面接で聞いているのかもしれません。
しかし、面接において、万が一にでも、不祥事を起こす可能性がある人が受験者にいたとして、「自分は不祥事しそうです。」なんて絶対に言いませんよね。
こんな茶番みたいな質問をすること自体がもう、ダメだなと感じますね。
毎年、不祥事の過半数は、交通違反・交通事故です。
次いで、毎年変動はしますが、大体は、個人情報の取り扱い・守秘義務に関する事案、体罰、性犯罪・性暴力、その他と続きます。
ただ、面接官達の意図としては、不祥事=性犯罪・性暴力という想いで聞いてきているなというのが、よくわかります。
性犯罪・性暴力など、確信犯的な不祥事を、「自分事」として捉えて考えるというのは、かなり無茶があります。
例えば、警察官を志望する人に、警察の採用側は、犯罪について、「自分事として考えろ。」、っていうのでしょうかね。
言ってそうで怖いですけどね(笑)
他人事ではいけないのは、理解できますが、
なってもいない、やったこともない、見たこともない、聞いたこともないことなどを、自分事として捉えないといけないというのは、本当に難しいことです。
面接官に、まずは逆質問で、「あなたは、性犯罪・性暴力をどのようにして自分事として捉えているのですか。」と、聞いてみたいものですよね。
どうせ「子供たちの手本・模範として・・・。」とか、「全体の奉仕者としてふさわしい・・・。」、「公務員としての自覚をもって・・・。」とか、その程度の精神論しか語れないでしょう。
自分達も、そこまで大して考えられていないことを、受験者に聞くんじゃないって話ですよ。
所属校で取り組んでいる内容としても、「風通しの良い職場環境を。」とか、「声掛けを。」という人もいます。
そもそも、何をもって風通しの良い環境なのかが、分かりません。
同僚や上司と話しやすい、相談しやすいと、不祥事が減る根拠もデータはどこにあるのでしょうか。
先述のように、不祥事の過半数は、交通違反・交通事故です。
相談しやすいと、話しやすいと、交通違反・交通事故が減るんですかね。
根拠やデータもない、曖昧なことを言う時点でもう、自分事として捉えられてないですよね。適当に精神論を振りかざして述べているだけの他人事です。
声掛けについても、「飲酒運転ダメですよ。」とか、「扉開けて対応してくださいね。」とか、それって結局は、その人のことを、不祥事を起こすかもしれない人だという前提で見ていることにもなります。
そんなのが、本当に風通しの良い環境なのでしょうか。
声掛けで本当に、不祥事は無くなるのでしょうか。
なんかもう、薄っぺらすぎて、全部話にならないのですよね。
そんなことを受験者に聞いて、一喜一憂する面接官もつらいでしょうが、だったらハナから、聞かなきゃいいだけのことです。
だって、不祥事について、初対面同士の、たかだか20分程度の面接で、その人が不祥事を起こしそうかどうかを見極めるのは、至難の業ですから。
というか、よほど変な人じゃない限り、不可能でしょう。
聞かれる受験者としても、自分が不祥事を起こすかもしれないと思われているのかな、と感じながら受ける面接は、心地の良いものではありません。
面接官の皆さん、どうかお願いです。
本来は、採用側が考えないといけないことを、手当たり次第に受験者に聞かないでください。
ではまた。
レトリカ教採学院
学院長
川上貴裕
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