レトリカ・ブログ (学院長 川上貴裕)

レトリカ教採学院の学院長&大学講師。 現在は、小学校で非常勤講師もしています。

レトリカ・ブログ (学院長 川上貴裕)

レトリカ教採学院の学院長&大学講師。 現在は、小学校で非常勤講師もしています。

最近の記事

フィリップスのバズセッション:対話的な学びを引き出す効果的なディスカッション手法

レトリカ教採学院、学院長の川上です。 主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)、個別最適な学びや協働的な学びが謳われて、随分経ちます。 今日はその中でも、教職教養の知識と理論を、 対話的な学びや協働的な学びで実践する方法を、ご紹介したいと思います。 フィリップスのバズセッション(Buzz Session)の概要と教育現場での活用 フィリップス(J. Donald Phillips)が提唱したバズセッション(Buzz Session)は、短時間のグループディスカッ

    • 内田クレペリン検査:日本企業や教員採用試験などが採用する“作業曲線”の真価と課題

      レトリカ教採学院、学院長の川上です。 本日は、就活や教採でも採用される、性格検査・適性検査の実態について、追究していきます。  就活や教採で、適性検査を受ける皆さんにとっては、 検査の内容や、背景を知った状態で適性検査を受けるのと、知らないまま受けるのでは、心持ちが違うと思います。 内容が分からないものを受けるということほど、不安なことはないと思いますからね。 ぜひ、今回のブログで、知ってくださいね! 内田クレペリン検査の内容 内田クレペリン検査は、被験者の作業

      • 「やる気」は科学的には、存在しない。だからこそ、踏み出す勇気、行動する勇気、挑戦する勇気をもちましょう!

        レトリカ教採学院、学院長の川上です。 「やる気が出ない」、「やる気スイッチが入らない」などの言葉をよく聞くことがありますが、科学的には、やる気なんてものは、存在しない概念なのだそうです。 脳研究者の池谷裕二先生によれば、「やる気」という言葉は、「やる気」のない人間によって創作された虚構だそうです。 勝手に、心理的な壁を作っているだけだということです。 確かに言われてみれば、「やる気が出ない」と言ったり、思ったりしている段階で、行動に移している人はいないのですよね。

        • 緊張を克服する科学的アプローチ:系統的脱感作療法による面接成功のステップ

          レトリカ教採学院、学院長の川上です。 以前のブログ、【緊張や不安を払しょくするには、99レベルになるしかない。】でも、緊張について、考察していきましたが、本日は、教職教養の知識・理論の側面から科学的に、緊張の克服について、迫っていきたいと思います!  系統的脱感療法(Systematic Desensitization) 「系統的脱感療法(Systematic Desensitization)」は、心理学者ジョセフ・ウォルピによって1950年代に開発された行動療法の一種

        フィリップスのバズセッション:対話的な学びを引き出す効果的なディスカッション手法

          記憶を制する者が受験を制す!エビングハウスの忘却曲線を活かした最強の勉強法

          レトリカ教採学院、学院長の川上です。 本日のブログは、筆記試験のための勉強や面接にも必要な教職教養の知識が、なかなか覚えられない、記憶できない、身に付かない人に捧げるブログです。 エビングハウスの忘却曲線 エビングハウスの忘却曲線は、ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが行った実験から得られたもので、人間の記憶が時間とともにどのように減少するかを示した曲線です。   エビングハウスは、無意味な音節を使って、自分自身を被験者として記憶実験を行い、時間経過に伴う記憶の減

          記憶を制する者が受験を制す!エビングハウスの忘却曲線を活かした最強の勉強法

          観察と模倣の力:バンデューラのモデリング理論を活かす教育の在り方

          レトリカ教採学院(教採塾)、学院長の川上です。 本日も、教職教養の知識教養を、教育現場の実践事例とともに、お届けしていきます。 バンデューラのモデリング(観察学習)とは バンデューラのモデリング(観察学習)とは、個人が他者の行動を観察し、その行動を模倣することで学習するプロセスです。   この理論はアルバート・バンデューラによって提唱され、社会的学習理論の一部を形成しています。   モデリングは、直接的な体験による学習とは異なり、他者の行動やその結果を見ることで学びを得

          観察と模倣の力:バンデューラのモデリング理論を活かす教育の在り方

          発達の最近接領域(ZPD):個別指導と協同学習で学びを深める教育理論

          レトリカ教採学院(教採塾)、学院長の川上です。 本日も、理論と、教育現場・授業での実践を往還した学びを提供してまいります! 本日の内容は、筆記でも面接でも、再頻出の【個別最適な学び】や【協働的な学び】にも関連付けることができる理論です。 教員採用試験を受験される方も、必読です! 分かりやすく解説していますので、ぜひ、理論と実践の往還を、ご一読ください。 発達の最近接領域(ZPD: Zone of Proximal Development) ヴィゴツキーの「発達の最

          発達の最近接領域(ZPD):個別指導と協同学習で学びを深める教育理論

          主体的な学びと創造力の融合:ケーラーの洞察説が授業に与える力

          レトリカ教採学院(教採塾)、学院長の川上です。 連日、繰り返しになりますが、筆記試験や、教育現場において、「ケーラー・洞察説・チンパンジーの実験」とだけ、意味も分からず丸暗記していては、以下の文章の内容を学び損ねることになります。 ケーラーの洞察説は、現在の日本にも大きな関連がありますよ。  ケーラーの洞察説 ケーラーの洞察説(insight learning theory)は、ドイツの心理学者ヴォルフガング・ケーラー(Wolfgang Köhler)が提唱した学習理

          主体的な学びと創造力の融合:ケーラーの洞察説が授業に与える力

          信憑性のない教育神話:アヴェロンの野生児とアマラとカマラの物語がいまだに引用される理由

          レトリカ教採学院(教採塾)、学院長の川上です。 アヴェロンの野生児やアマラとカマラの事例は、2024年現在でも教育心理学や発達心理学の入門書に時折、引用されていますが、その信憑性には多くの疑問が残っています。 これらの事例は、科学的根拠が薄いにもかかわらず、なぜ引用され続けているのでしょうか。 その理由として、これらの事例が「人間の教育には人間が必要である」というテーマを強調するために、教育の本質を象徴的に表すものとして利用されている側面があると考えられます。 アヴェ

          信憑性のない教育神話:アヴェロンの野生児とアマラとカマラの物語がいまだに引用される理由

          全体像で勝負する!ゲシュタルト心理学で教員採用面接を攻略する方法

          レトリカ教採学院(教採塾)、学院長の川上です。 本日も、教職教養の知識・理論と、実践の往還です! 昨日までは、教育現場での実践・応用をテーマにした教職教養の知識・理論のご紹介でしたが、本日は、面接攻略のために必須の教職教養を、皆さまにご紹介したいと思います! では、さっそく!  ゲシュタルト心理学(Gestalt psychology)とは ゲシュタルト心理学は、20世紀初頭にドイツで発展した心理学の理論で、人間の知覚や認識のプロセスを探る学問分野です。  「全体

          全体像で勝負する!ゲシュタルト心理学で教員採用面接を攻略する方法

          潜在学習と認知地図の力:トールマンの迷路実験が示す学習の新たな視点

          レトリカ教採学院(教採塾)、学院長の川上です。 さて、本日は、先日のブログで登場した、スキナーやソーンダイクを批判して登場したトールマンについて、掘り下げていきます。 今回も、アカデミックにまいります!   トールマン(Edward C. Tolman)のネズミの迷路実験は、学習理論に大きな影響を与えた実験の一つであり、特に「認知地図」や「潜在学習(Latent Learning)」の概念を提唱する重要な基礎となりました。   この実験は、行動主義心理学を発展させ、学習

          潜在学習と認知地図の力:トールマンの迷路実験が示す学習の新たな視点

          試行錯誤が導く学びの力:ソーンダイクの理論を教育現場で生かす方法

          レトリカ教採学院(教採塾)、学院長の川上です。 私は、レトリカの講座や、大学の講義で、教職教養を教えているのですが、例えば、ただ単に、「ソーンダイク→試行錯誤説、猫を使った問題箱の実験」などと項目だけを暗記させるような指導はしていません。 ソーンダイクの理論がそもそも、どういう理論で、それが何を意味して、学校現場や授業で、どのように活かせるのかを説明しています。 その一例を、ブログ記事にしてみました。 かなりの大作です。 今回は、 ソーンダイクの試行錯誤説を、主体

          試行錯誤が導く学びの力:ソーンダイクの理論を教育現場で生かす方法

          スキナーのプログラム学習とICTの融合:現代教育における学習の新たな展開

          レトリカ教採学院(教採塾)、学院長の川上です。  本日も、教職教養と現場を結びつけながら、プログラム学習やICTの活用について、お話していきます。 はじめに スキナー(B.F. Skinner)が提唱したプログラム学習は、1950年代から1960年代にかけて発展した教育法です。   スキナーは、行動主義心理学の理論を教育に応用し、学習者が自己ペースで段階的に学習を進められるシステムを作りました。   この学習方法は、学習者が少しずつ学び、各段階で正しい答えを導くたびに即

          スキナーのプログラム学習とICTの融合:現代教育における学習の新たな展開

          【教育現場で活かす!レヴィンの『場の理論』で生徒の成長を最大化する方法】

          レトリカ教採学院(教採塾)、学院長の川上です。 クルト・レヴィン(Kurt Lewin)が提唱した「場の理論(Field Theory)」は、個人の行動がその人を取り巻く環境や状況、そしてその環境内での他者との関わりなど、様々な要因によって影響を受けるという理論です。 この理論では、個人が行動する「場(フィールド)」を、物理的な環境だけでなく、心理的・社会的な要因を含む全体的な状況として捉えます。 レヴィンは、個人の行動を理解するためには、その人が置かれている「ライフス

          【教育現場で活かす!レヴィンの『場の理論』で生徒の成長を最大化する方法】

          一次試験(筆記試験)免除者の戦略:筆記試験免除に安心せず、人物評価で確実に合格を目指す!

          レトリカ教採学院(教採塾)、学院長の川上です。 一次試験や筆記試験の免除を受けることができた方は、その瞬間に安堵の気持ちを抱くかもしれません。 これまでの学習量が軽減されることから、自然と「やった!」という気持ちになるのは理解できます。 しかし、試験の本質を考えると、この免除が必ずしも有利とは限らないことを理解しなければなりません。 筆記試験が免除された場合、残された戦いの舞台は人物評価です。 この評価が、面接、模擬授業、場面指導といった実践的な試験で決定されるため

          一次試験(筆記試験)免除者の戦略:筆記試験免除に安心せず、人物評価で確実に合格を目指す!

          教員採用試験に向けた真の努力:現実に向き合い、合格への道を切り開く挑戦

          レトリカ教採学院(教採塾)、学院長の川上です。  教採界隈では、よく、「正しい努力が必要」だとか、「努力すればいつかは報われる」だとか、「努力したのに、不合格になった。人生を否定された気分」などのような、「努力」に関する表現が、散見されます。 ただ、これらの多くの表現は、冷静な分析や戦略的な視点なく、感情論や精神論先行で語られがちです。 今日は、「努力」について、客観的に、戦略的に、学術的に、分析をしながら、ひも解いていきたいと思います! 努力という言葉に逃げず、戦略

          教員採用試験に向けた真の努力:現実に向き合い、合格への道を切り開く挑戦